マイ・ブロークン・マリコのレビュー・感想・評価
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俺だって救われますよ、こんなの。
セッタを気まぐれに吸う20代女性主人公が、マーチン履いて人生捨てる衝動と絶望感の先で、人生に救いを見つけた物語。
ひょっとしたら遺骨抱えてマンション飛び降りた時既に主人公は死んでいるのかも知れない。
マリコもシィちゃんもたまに人生で見かける、ただのダメ女なのかも知れない。
でもそんな事はどうでもいいのです、いや、だから良いのですよ。
これは別に人生特に幸せでも無い、映画見るくらいしか脳の無い俺達への救いでも有るんだと。
ラストTheピーズが流れる。
こんな映画がつまらない訳ないだろ。
ロックで有り、文学で有り、俺達の話でも有る。
クッソ、最高だったですよマイブロークンマリコ
受け止め方次第で世界は変わる
亡くなった親友の遺骨を"強奪"するために窓から飛び降りる衝撃的予告。完成披露試写会で見せた永野芽郁ちゃんの自信も相まって、公開を待ちわびた一作。
何度も手を差し出した親友の予期せぬ死に対する「なぜ」という思い。しかし本作では、その死を「どう」受け止めるかに焦点を当てている。
印象的な場面は、やはりシイノ(芽郁ちゃん)がマリコ(菜緒さん)の遺骨を奪い取るシーン。
最終目的を成し遂げるため、取り繕ってマリコの実家に"侵入"するシイノ。遺骨を前にうなだれる父親に震え上がる。実の娘を虐げ被害者面している彼に対する怒りはもちろん、親友を亡くした悲しみと救えなかった自責、衝動的な行動へ突き動く感情の高ぶりなどを纏わせる、罵倒にも近い捨てゼリフは、まさに心が震える。
沸き上がる感情を詰め込んだ表現力に、涙が零れ落ちたのは久々の感覚だった。そして、あの短時間で威圧感たっぷりの眼光を見せつけた尾美さんも素晴らしかった。
ふたりの絆を深めるラストカットも見所。「なぜ」をあまり知りたくなかった自分は少し安堵。普段のとりとめのない話題だったかもしれないが、それはふたりにしか分からない。シイノ(芽郁ちゃん曰く自分3割)の豊かな表情にも注目だ。
菜緒さんも6月に舞台を観に行った大好きな演者。朗らかで脆さ漂うマリコを好演した。細かい点だが、回想シーンのセリフを映像より先出しする編集も好み。
遺骨を傍らに携えた"二人旅"を終えた現実世界は、何倍も強く健やかだ。亡き親友と共に生きる決意を固める疾走感あるショートトリップを、ぜひ大スクリーンで。
※上映後舞台挨拶つきの観賞。取材なしのリラックスムードでこぼれ話を拝聴できました。
リハに強かった日本製線香花火が、本番では中国製に取って変わられたエピソードが面白かったです。笑
キャッチ・ミー イフ・ユー・キャン
原作は購入、読了していたので
映画化されると聞いて楽しみにしていました。そして本日観賞。
「単行本一冊を映画にするって時間的に展開が延ばされてしまう?」と懸念していましたが
上映時間はおよそ90分なので無駄な追加要素はほとんどなく、むしろ原作でアッサリ流された部分のシーンを追加しているのでありがたい。
なにより90分は見やすい。
中身も個人的には満足。
上記にも書いたようにムダな引き延ばしがほとんどなく、イイ原作をちゃんとしっかり映画化してくれた、という感じ。
中身が良いから話題になったのに
映画化するとなると
監督や脚本家が張り切ったりお偉いさんが口挟んだりして中身が変えられる→中身が崩れて駄作になる、なんて事も多いので
今作はその観点からもこれまたありがたい。
演技の面でいうと
特にマリコと中学生時代のトモヨ、
この二人の演技が素晴らしく思えた。
窪田さんは野暮ったい格好しててもイイ男がにじみ出てる。
永野さんのガラ悪い演技珍しすぎて面白い。ちょっと似合わない所も含めて。
全体的に満足しましたが
ただ気になった事がなかったワケではない。
主人公の独り言が多い。
いや、正確に言えば多い事が問題じゃない。
独り言が多い人は家だろうが一人だろうが本当によく喋る。自分もその一人。
ただ独り言にしてはハキハキしすぎている。そこだけ舞台のように感じた。
現代のマイクなら小さい音でも拾ってくれるのでもっと独り言らしくボソボソと、なんなら観客が聞き取れるか微妙なレベルでもいいから声量や滑舌など気にせずに喋ってくれれば更に良かったな、と感じた。
まぁそこ差し引いても全然満足しました。
そ、そ、それ、俳句からは遠過ぎるだすw
今年の邦画のダークホース来た!w
タナダユキ監督が好きなんだと思います。と言うか、直近3作が「浜の朝日の嘘つきどもと」「ロマンスドール」「お父さんと伊藤さん」です。全部好きですもん。4打席連続長打、と言うか4試合連続ゴール、的な当たり感。だから、好きだと思います、じゃなくて好き、大好きw
堪らんなぁ。泥臭い人物設定。熱血でもなく、ニヒルでもなく。隣に住んでそうな女子とか、隣のビルで店を開いてそうな会社とか。男女が不必要にベタベタしないし、上から目線の説教もないし。なんと言っても、歯磨きするしw
いやー、映画の中で、歯磨きしませんよね、皆さん。結構w
要するに、まさに現在、日本のどっかで繰り広げられてる、どっかの誰かさんの物語であるよ、って素直に受け容れてしまえるんです。
でもって、リアルに泥臭くて、綺麗事にも無駄な感動話にもしないって言う。
やっぱり好きw
それと永野芽郁さんですよ。コレは来た。来ました。二皮くらいは剥けた感あり。長回しにたじろぎません。1人で物語を、難なく背負ってます。余裕で背負ってます。ラストシーンなんて、手紙の内容なんかどーでも良くなるくらいに演技だけでココロ持ってかれます。いや、彼女の中学生時代役の女の子も凄く良かったですけど。伊藤沙莉ちゃんを思い浮かべてしまいましたw
そうかぁ。タナダユキ監督作品って、どれも主演女優がめちゃくちゃ良い芝居してるんだ、そう言えば。あー、タナダユキ監督作品が好きな理由は、これかw
自分自身、今、スッキリ腹落ちしましたw
良かった。
とっても。
ワイルド永野芽郁
この映画は感動とかは求めすぎずに、主人公トモヨ(永野芽郁さん)の超ワイルドなキャラを楽しみながら観るのが正解ですね。ところどころクスッと笑えます。
あと、侍のようなキャラのマキオ(窪田正孝さん)も面白かった。
ロケ地マップが無料配布という嬉しい特典サービスに星0.5個プラスさせていただきました。
俳優さんたちの演技力を信じて、説明的描写を割愛した脚本なのだと思います
原作でどう描かれているのか、まったく知らないのですが、この映画では、次のようなことは具体的には描かれていません。
①マリコは児童養護施設に引き取られていないので、父親の虐待は、児童相談所に通報されるような傷が目立つようなやり方はしていないのではないか。つまり、それだけ父親は狡猾さも持ち合わせたモンスターである。(映画の中では、かなりキズやアザが目立っていましたが)
② 回想シーンでは、マリコは学校に普通に通えていたように見える。ということは、虐待の気配を感じながらもご近所や学校は見て見ぬふりをして問題の表面化を避けてきた。
③そのような過酷な境遇にいるマリコを、きっとトモヨだけが無視することなく友達で居続けた(トモヨ自身がマリコ以外の他人とはうまくやっていけなかったのだとしても)。そして結果的には、イジメっ子たちからも守ってきたのではないか。
クソ先生ども、クソ父兄ども、クソクラスメートども、という感じで。
モンスター父との闘いやマリコを取り巻く悪意や無関心(見て見ぬ振りをすることも含めて)との勝ち目の無い闘い…そういうトモヨの〝無鉄砲〟ともいえるクソ人間どもへの反発心が、読む者、見る者の共感を誘うのだと思います。
これらの描写を映画のストーリーの中ではくどくどと見せない。
この映画は、説明的な描写は敢えて控え目にして、永野芽郁と奈緒という、この作品のキャラクターになり切れる稀有な表現力を持つ女優ふたりにそれらの背景説明まで委ねてしまったのだと思います。
奈緒さんの悲しい笑顔が出てくるたびに泣いてしまうし、永野芽郁さんが、セリフ以上に雄弁な表情や仕草で必死に抗う姿に震えるほど感動してしまいました。
ついでみたいで恐縮ですが、窪田正孝さんの静かで説教臭く無い〝大丈夫〟もとても良いスパイスでした。
あのブラック企業のクソ上司も、ラストのほうの描き方からすると、意外と〝ただのクソではない、実はいい奴〟な感じがして、なかなか良かったけど、あの会社、いったい何を売ってるんだろう?とても気になります。
やっぱり永野芽郁
最初、このシーちゃんは永野芽郁の役かな?と思ったけど、いや永野芽郁じゃなかったらもっと重く暗くなってたろうし、永野芽郁だからずっと観てられたから、やっぱり永野芽郁だ。
タバコ吸う永野芽郁もいいな。
叫ぶ永野芽郁もいいな。
大丈夫に、見えるな。
やっぱり永野芽郁はいいな。
マリコは奈緒以外考えられない。
窪田正孝も良かったし、鬼畜父親が気の弱そうな尾身としのりなのも良かった。
ふたりの子ども時代の女の子たちもすごく良かった。
俳優さんたちがみんなこの人でなければ、って思えるほど好演してるのは、俳優さんたちの演技力は勿論だけど演出の力が大きいんだろう(川っぺりムコリッタの時も思った)。
演出にも演技にもすべてにおいて熱いものが感じられる作品でした。
(それ、とはえらい違い)
確かな手応え
原作未読だったので敢えてそのまま鑑賞。
あのやさぐれたシィちゃんに永野芽郁を採用するところ、鼻水を垂らしながら泣くのを撮るところ、奈緒に空っぽな目をさせるところ、伝わってくる痛み、感じる後悔、どこを取ってもタナダユキ監督の覚悟と確かなディレクションを感じた。
短く、ある意味ドラマ的な(どんでん返しのような)盛り上がりには欠ける物語ながら、だからこそ少しずつ紡がれるマリコとシィちゃんの歴史が切なく愛おしい。
あと、エンディングテーマも良かった。
邦画としては今年ベスト級…
主演二人の代表作でしょうね
永野芽郁、奈緒二人とも代表作ではないだろうか。
シーちゃん(永野)の生い立ちやプライベートへの描写、言及が省かれているのが、変な説明や技巧を見せつけていなくて良い。
時間も短いが、急ぐことのない語り口だし、ラストは見事です。マリコからの最後の手紙を読み、泣き笑うシーちゃん。きっと手紙は、マリコからのいつもの内容だったから。自殺だったのではなく、事故死だったのだろう。それがシーちゃんには(私にも)「救い」だった。
私がほぼ毎年のように訪ねている八戸を撮影地に選んでくれたことに感謝します。
飛び降りる
シイちゃん2回飛びましたね。2回とも飛び降りるシイちゃんがスローモーションでとても美しかった。シイちゃんは心も身体も(骨折で済んだのが)強い人だなあ、と。そして優しい。親からの筆舌に尽くしがたい虐待とDV彼氏のせいでぶっ壊れてしまったマリコに寄り添うには強くならなければいけなかったんだよね。シイちゃん自身もそれで自分を保っていけたのかもしれない。マリコの言った「シイちゃんから生まれたかった」がわかる気がします。マリコ、自分で終わらせた人生にシイちゃんがいてよかった。多くの人にシイちゃんはいないから。最後にようやくシイちゃんの笑顔が見られました。
人が一人死んだことは、多くの人には日常。日常を生きる私たちの宿命でしょうけど。
ズッ友とは
ズッ友ってこういうことなのかと。最初はシイノの行動にここまでする?と少し引いた自分。でもマリコの家庭環境からすると…。それにしてもマリコは幸せ者。どこかで大切に想ってくれる人がいる。窮屈に考えるほど世界は狭くない。シイノの不思議な旅からそんな感情がふと。
警察や家族と逃走劇を長々と繰り広げたり、裁判が特に起こるわけではない。基本的には緩い。でもその余白がとてつもなく重くて、心にのし掛かる。シイノが何を考えているのか分からなくて咀嚼が難しい場面も。それが人間の良さでもあり、闇でもあり。1回ではそのギミックに…。
恥ずかしながら帰ってまいりました
映画を見てから原作コミックを読んだけど、
感想としては「素晴らしい映画化」だった。
この世に生み出したって意味で原作は尊くって、
その素晴らしさを映画のフォーマットで表現できていると思う。
永野芽郁・奈緒という俳優を初めて意識して見たけど、
こちらもブラボーの一言。
言葉にならなくても、しなくても、滲み出す情感というか。
共依存と言えばキツいけど、誰でも何かしらの拠り所ってあるわけで。
それが崩れたときに、どうやって自分を取り戻していくかって話でして。
「恥ずかしながら帰ってまいりました」
このセリフが本当に大切なキーワードだったと思う。
父親のSEX奴隷マリコ
父親のSEX奴隷な人生。全身痣だらけな人生。学校と警察は見て見ぬふり。やっと出来た彼氏はDVか差別。最後にやっとの思いで一つだけ得られた自由は自殺する事でつまりは死ぬ自由。直接の原因は父親が逮捕されない事だが見て見ぬふりした警察と学校も同罪。
生きのばし
ジョーカーを観た時にも感じましたが、なんと言うか、心をぐっと掴まれて持っていかれるようなこの感覚…原作を先に読んでいたので、観るのを躊躇いましたが、エンディングにピーズまできて最高だこれは。
恥ずかしながら帰ってまいりました
恥ずかしながら日常はループする、
恥ずかしながら日常は、継続し回帰する。
自分にとって大切な、死んだ人にまた会うには自分が生きているしかない。
その通りだと思う。
ここでは、ストーリーとして、シイちゃんとマリコという二人の個人の関わりにおいてそのことが強く語られ、窪田正孝演じる男の口からも漏れる。
死者とまた会い死者とまた語りそして死者を語るには、私たちは生きて生き続けなければならないのだ。ウクライナで!パレスチナ で、ミャンマーで、香港で、シリアやイラクで、そのことは実感され生きて出会い生きて忘却を拒み生きて語り続けられていることだろう。
そこまでの大きな広がり、と、舞台である日本の生活、シイちゃんのブラック企業、小さく殺風景なアパート。くたびれたスーツと黒のパンプス、ターゲット顧客となる高齢者、マリコのありえないくらい不幸な家庭環境、それを当たり前と刷り込まれた故の人格形成とそれによる災難、性被害暴力被害などの具体的に閉鎖的な抑圧。
そして驚嘆すべき、どんなピンチやどん底の時に持ちよっとおもろいことを言って自分を笑い飛ばすシイちゃん。シイちゃんはこれができたこと、と、成長と共にぶっ壊れていくマリコを支えるという使命に支えられてきたから恥ずかしながら飛んだり跳ねたりひったくられたりラーメン牛丼お弁当ガツガツ食べたりしながら生きている。
窪田正孝のセリフのテンポがよい。
マイブロークンマリコは、マイブロークンジャパンであり、マイブロークンワールドだ。
何とかなるよと言いたい
シィちゃんのヤサグレ感とまりちゃんの不幸、マキオの優しさとか何ともフワッとした空気感が私には良かった。三人とも息子と同年代なので彼らにしてみれば迷惑やろうけど応援したくなります。
「永野芽郁最高の好演」
今年120本目。
プライベートでも仲のいい2人だからこそ見せれた珠玉の演技。ここまで凄い演技見ると自分も頑張らなきゃ。窪田正孝好演。ヴェネツィア映画祭でも上演された「ある男」が気になります。
人間大抵の事は風呂入れば何とかなる、ある漫画のセリフです。
原作未読
マリコを回想することで主人公自身の育ってきた環境、今の環境も想像できてきますね。
二人の関係、うらやましい。
そして、これを観ることで今の私はどうなんだろう?今までって本気で友人や家族と付き合ってたかなあ?って考えることもできました。
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