この子は邪悪のレビュー・感想・評価
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不穏な空気と世界観に浸食される
原作モノの映画が多い日本で、このようなオリジナル作品が製作されることの意義は大きい。タイトルから伝わるニュアンスどおり、冒頭から何やら不穏な空気が張り詰める本作。善良な医師と彼が診療を行う古びたクリニック、そこで飼われている無数のウサギ、家族、仮面の少女、気がつくと耳の奥深くへ染み渡ってくる鈴の音色・・・これら作り込まれた独特の世界観が胸を絶えずザワつかせ、一体どこに連れて行かれるのかわからないまま、怪しさにじわじわと浸食される自分がいた。すべての原因を作り出す(ネタバレになるので詳述はしないが)側の演技力もさることながら、劇中でそれを受ける側のリアクションも決して単調に陥ることなく、透明感の中に一筋の意志を秘めた目線で、観客の心をしっかり寄り添わせる。ちなみに個人的に、後半の展開を受けて自ずと「あの映画」のことを思い出したのだが、なんらかの影響やインスピレーションを受けているのだろうか。
「タイトルの意味はどういうことなのか」と考えながら見る。序盤の不気味な世界観が徐々に明らかになるが「なるほど」と思えるサスペンス映画。
冒頭の不気味な人物らが意味不明で、当初は「よく分からないホラー映画なのかな?」と若干不安を覚えました。
ただ、本作は、オリジナル作品の企画コンテスト「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2017」準グランプリ作品の映画化で、この賞を受賞した作品はクオリティーが確保されたものが多い印象です。
そのため、「きっと何か光るものがあるはず」と信じて見続けましたが、正解だったようです。
徐々に「謎解きサスペンス映画」の様相になっていき、キチンと納得できる出口が用意されている点で、本作はサスペンス映画として十分な独自性がありました。
南沙良、大西流星、玉木宏らの演技も良く、世界感を上手く構築していました。
評価は★3.5か★4で悩みましたが、「監督」としては実質的にデビュー作のような状況なので期待を込めて★4に。
「ホラー映画」のような作品を、説得力を持ち合わせた「謎解きサスペンス映画」にするのは難易度が高いですが、工夫の仕方で巧く作れることを示せたのが本作の功績でしょう。
新世代サスペンスホラーの潮流が日本にも
2010年代後半の米国発ホラーの新たな潮流を好ましく思っていた。具体的には、デビッド・ロバート・ミッチェル監督の「イット・フォローズ」(2016)、ジョーダン・ピール監督の「ゲット・アウト」(2017)と「アス」(2019)、アリ・アスター監督の「ヘレディタリー 継承」(2018)など。共通するのは、異形のクリーチャーや人間離れした猟奇殺人鬼が次々に登場人物を派手に虐殺していったり、突然の大音響で驚かせたりするような、根っこの部分はアトラクションのお化け屋敷から変わらない前時代的な怖がらせ方に頼るのではなく、観客の想像力をじわじわと刺激する状況や出来事を効果的に積み重ね、抑制された演出と印象的な映像で提示するスタイルだろうか。
「この子は邪悪」は、そんな米国発の潮流に呼応したかのような新感覚サスペンスホラーだ。TSUTAYAのコンテストで2017年に準グランプリを受賞した企画だそうだが、片岡翔監督は脚本作りに4年、30回以上の改稿を重ねたとか。練りに練られた脚本は無駄がなく(この内容を100分に収めたのも見事)、たとえば町で多発する奇妙な精神疾患風の人々の症状にしても、しっかり伏線になっている。
演出手法などには洋画ホラーの影響があるとしても、日本人になじみ深い死生観や、肉体と魂の関係、輪廻思想にもつながるような要素を織り込んだのも、よりリアルな恐怖を感じさせるポイントだろう。傑作「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」で蒔田彩珠とダブル主演した南沙良が、本作でも好演。ホラーファン以外にもおすすめしたい一本だ。
哲学....
個人的解釈としては、魂を入れ替えるというのは司朗さんの独自解釈での話かと思います。
本質としては「魂を入れ替える」ではなく「生まれる前、胎児の頃から己は○○本人なのであるという刷り込みを行い、本人だと認識させれば、それはもう○○本人になる」という哲学的思想かと思います。
言語化が難しいですが、胎児レベルまで遡り刷り込みを行えば、それは本来の人格を他の人格と入れ替えと何ら変わらないのではないか?という哲学的ロジックから成る合理的かつ現実的な手法かと。
これは、作中のルナとマユコが未だ催眠に掛かっている演出 (目がグルグル回っている) から見て導き出せる考察です。
つまり、客観的に見るとルナ本人と思い込んでいる少女、ジュン本人と思い込んでいるウサギ、ウサギと思い込んでいる人間達という理解をしています。
この考察では一つだけ問題が起きます。
司朗さんとハナは「人格さえ入れ替わればそれは本人である」=「魂を入れ替える」という認知をしている恐怖が襲ってくることです。
余計に司朗さんへのおぞましさ、サイコパスである恐怖を覚えます。
そして花自身もこれをすんなりと本人と認めている辺り、血筋を感じます。
作中で説明はありませんでしたが、花本人が自分自身を攻めトラウマとなっているはずなのにたった5年で忘れている、ルナが死亡したことを認知していない、父親へのプレゼント刺繍の存在を忘れていたこと等、明かされていない伏線も残されています。
明らかに花の記憶にも司朗さんが介入している、もしくは花すらも本人であるか疑わしい演出です。
深読みを出来る余地を残しつつ、司朗さんへの感情移入を可能とし「正義と悪」についても考えさせられる演出、深層心理の人格と魂の解釈など、個人的には邦ミステリー史に残る名作かと思います。
陳腐な解釈ばかりされる現代では本当に勿体ない作品でした。
催眠療法で魂入れ替えるって‥ サスペンスよりホラー感がスゴいw 子...
催眠療法で魂入れ替えるって‥
サスペンスよりホラー感がスゴいw
子供や家族のためと言いながら、父親がおかしくなってる状態でしたね。
結局解決はせず? ウサギにされたまんまで父親は亡くなるが家族は続く、、、まぁ中身は母親と妹な訳だけど。父親いなくても催眠療法はずっと成立するのだろうかとか、新たな命はどうなっていくのだろうってところで終わった。
ホラー?ミステリー?まずまず楽しめた
玉木宏の笑顔が不気味。
そんな展開?!と思ったけれど、
映画ですもの、現実離れしていてもOK。楽しめる範囲。
不気味な余韻で閉じられる幕もよい。
最後にもうひと推し来るサスペンスホラー!
日本映画には珍しい凝った構成の映画らしい映画。ただタイトルがなぁ、、、、。最後にこのタイトルにした意味がわかるんだけど、パッと見のタイトルのインパクトが弱くて、これが流行らなかった理由じゃないかと思ってます。
とはいえ、いい映画。面白かったです!
欲を言えば、ヒロインを救おうとするジュン君にもう少し頑張って欲しかったー。鐘ならされたら、実はイヤホンしてるとかね。
あえてつっこみをいれれば、なんで長女にはまったく催眠をかけなかったのか。母の違和感感じたりしてるなら、信じ込ませるようにすることはいくらでも可能だったはずなのに。それはお父さんなりの良心だったのかな。
途中で予測はできたけど、目の理由がわかったとき、
さらに怖さが増しました。
人の良さそうな精神科医の玉木宏がハマり役でした。
タイトル
劇中ででてくる誰が邪悪の子なのか推測しながら見ました。
最後のほうになり明らかになっていく違和感が強調されすぎていて
残念だったと思います。
もう少し謎が残るくらいにしたら不気味な感じをうまく
感じられたのかなと思いました。
内容的にはわかりやすい部類だと思います。
ただどんでん返しを期待していた自分にとっては予想がつかなくとも
そこまでの驚きはありませんでした。
大体魂だけ入れ替わることが可能などがどうしても信じられず
それを周りの登場人物たちがすんなり受け入れてることに
違和感を感じました。
設定描写いろいろな面で☆2です。
違和感の行き着く先は・・・
よく見る雑誌で連載を持っている南紗良さんの主演ってことで、以前から気になっていた作品です。
どんな内容なのかは全くわかってなかったんですが・・・
玉木さん演じる精神科医の家族が5年前に交通事故にあう。自身は足に、長女は精神的に障害を患い、次女は顔を火傷して随時仮面を装着している。母親は植物人間状態で、5年間眠り続けていた。
その母親が帰ってくるところから、ドラマは始まる。
帰ってきた母親に違和感を感じる長女が、南紗良さん。きれいな顔立ちで、今後の活躍が楽しみです。
さて、本編に戻ります。
玉木さん演じる精神科医に不信感を抱き、独自に調査をする大西さん演じる高校生が長女に近づく。
自分の母親が精神疾患を患っており、その原因を突き止めるために、精神科医の近辺を探るうちに違和感を感じていく。
そして、驚くべき真実がそこにあった・・・
【ネタバレ】
最初は、5年前に交通事故で失くした幸せな家族の補填を行っているかと思いました。催眠術で偽りの人物を、さも本物のように振る舞わせるのかと。
ところが、同じ催眠術でも退行催眠で生前まで戻すと、魂の移動が出きるなんて・・・
何と、都合の良い設定!
結局、玉木さんは破滅しちゃうんだけど、女性3人は偽りの家族で幸せを掴んだみたい。
赤ちゃんも産まれたしね。
ここでタイトルの「この子は邪悪」・・・
最初は、随時、仮面をつけている少女が邪悪なのかと思っていたのだが、どう考えても玉木さんが悪の根元で、子供に邪悪の要素は感じられなかった。そのままエンディングに流れ込んだ最後の最後に・・・
玉木さんが生まれ変わったような示唆を見せる赤ちゃん。
なるほど、この赤ちゃんが邪悪ってことか。
悪い子は○○にしちゃうぞ。
原作はコンペで準グランプリを受賞した作品だという、アイディア自体は確かに面白かったと思う。
失った家族を取り戻すために精神科医の男が催眠療法を使い、人間の魂を別の肉体に入れ替えるという、もはや催眠療法というよりもオカルトチックな内容ではある。
ただ監督に技量がないのか、全編通して学芸会タッチな感じが否めない。この原作が持つ世界観を映像化するには監督の力量があまりに足りなさ過ぎたようだ。役者さんもジャニタレを除けば特にへたくそというわけではないんだろうけど、演出のせいなのかすべてが学芸会に見えてしまう。
あと、見ていていろいろと疑問が残った。そもそも意識のない昏睡状態の人間に催眠療法は可能なんだろうか、冒頭で人間の体に魂を入れ替えられたウサギ男が毛虫を食べるシーンがあるが、ウサギはそもそも虫は食べないはず、なぜ大西流星はセリフがあんなにも棒読みなのか、玉木がおばあちゃんに置物で頭を殴られるシーン、そしてそのおばあちゃんを玉木が置物で殴り返すシーン、どちらも殴ってるふりをしてるだけで殴られた時の鈍い音がならないのは何故なのか、そしてそのあとの子役の芝居もかなり不自然、というように一番盛り上げなければならないクライマックスのところで演出がどうしようもないことに。
最後の最後に本作の題名の意味がわかるというラストのシーンはなるほど。
わかりやすい内容
怖いからぁー!精神の病気、、、、
そして内容もわかりやすくて見やすい!
しかし最後の結末はスッキリはしない笑
でもそこらへんにあるB級ホラー映画とは違う!
不気味で見てて飽きない!
これは面白い!
新しい感じのサイコホラー
ネタバレになっちゃうから詳しくは語れないけどこれはみんI度は見てください!
この意味がわかります!
ストレートすぎる
ずっと玉木宏が胡散くさく危ない要注意人物としてみていた。
物語が進むにつれ催眠術で記憶を改ざんしているとわかってくると
もしかしたら長女の記憶がジュン君の記憶がなどどんでん返しを期待していたが
ストレートに玉木宏が悪役じゃねえか!
そもそもそんな催眠術ごときで入れ替えることが出来るなら
最初から説明しておけばよかったのに
それとも母親と子供は催眠かけていただけで魂までいれてなかったのかな?
ファンタジーでもないのに突拍子もない展開は一貫性がなくて好きではないストーリーでした。
☆☆☆★★ 原作と言うかノベライズ版?とりあえず小説版読了済み。 ...
☆☆☆★★
原作と言うかノベライズ版?とりあえず小説版読了済み。
当然ならが内容を知っているので、意外と言うか。結構色々なところから聞こえて来る評判は高い。
「あらっ!そうなの?」…って事で観に行く。
確かにホラー・サイコパス系に耐性があるかどうかは重要かも。
文字からは音は聴こえては来ないから、不穏な音だったり、突然爆音バーンと脅かされたり…って辺りで。
でも、、、耐性のあり過ぎる人だったら、「なんじゃこれ!」ってなりそうかなあ。
ちょっとだけ気味が悪い作品ではありますが…
ぐ〜るぐるぐるぐるぐる〜
ぐ〜るぐるぐるぐるぐる〜
ぐ〜るぐるぐるぐるぐる〜
2022年9月4日 TOHOシネマズ日本橋/スクリーン3
玉木宏が良かった!!
玉木宏ボイスで退行催眠だと言われると、そのような気になってきました。終盤のやり取りは何かギャグだと思いましたが、良いと思います。折角の特徴的なタイトルですが、ラストはまだストーリーの途中だと思いました。監督は南沙良さんで沢山映画を撮っていて、ミューズがいて楽しそうですね。
自分の情報不足でホラー映画じゃないと思っていたので、目がギョロギョ...
自分の情報不足でホラー映画じゃないと思っていたので、目がギョロギョロするところ怖かった(笑)ただホラー要素は他には無かったので安心した。前半まではとても面白く観ていたけれど、「ウサギと魂が〜」みたいな所から……。
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