「境界線を打ち砕く!」ALIVEHOON アライブフーン pipiさんの映画レビュー(感想・評価)
境界線を打ち砕く!
映画com.の仲良しの皆様のレビューに触発されて、どうにもシアターに足を運びたくなり、息子に付き添いを頼み病身に鞭打って出かけて参りましたw
4ヶ月ぶりに鑑賞対象に決めた作品は「ALIVEHOON 」
まぁ、私の誕生日に公開初日というのも何かの縁かとw
個人的には大絶賛の星5をつけていますが、ごめんなさい!
大多数の方々には、そこまでの評価ではないだろうと思います。
では、誰なら5をつけるのか?と言いますと「車好き」or「映画マニア」ですねw
車好きならば文句なしの星5。
「映画ファン」だと、、、5はつきにくいな。何故ならばストーリーが余りにも単調過ぎるから。
車は超絶ドリドリ決めてますが、ストーリーはモンツァか!ってくらい直線オンリーの超高速サーキットですw
「シナリオ」「キャラの掘り下げ」「演技」など色々足りないと感じるはず。
でもね、王道スポ根映画ならこのくらい直線ど真ん中でもいいんじゃないか?と思います。
作品擁護の為に思い浮かべた映画は「ロッキー」(陣内さんは巨人の星って言ってたなw)
もう、ストーリーは何のヒネリもない直線展開ですが、それでも十二分に面白いですよね。
本作もロッキー同様、ヒネリとか伏線とかほとんどありませんが(大羽が柴崎に何を頼んだか?とかも秒でわかるw全然伏線にはなってませんがな)
でも、かつての王道スポーツドラマ展開ですので、これで充分だろうと思います。
さて、映画マニアならこの作品は放っておけないですよぉ?
何より特筆すべきは「音響」と「映像」の2点に尽きます。(シナリオではないなw)
音響はさぁ!もう最高だよね。
S15の心臓に火が入った時の音。
SR20をぶん回した咆哮!
エビスや練習場での心揺さぶるスキール音!
(峠で4000から落とすな!って言われたら「はい!」って素直に従っちゃいそうwもう、耳を研ぎ澄まして「音」に集中して観ていましたw)
あ、「音楽」の音響じゃないですw
車そのものが奏でるサウンドの話です。
(エンディング曲もねー、歌詞やメロディーは悪くなかったけど発音がなー。
英語で歌うなら、もう少し発音トレーニング受けた方が良いと思う。)
でも、それより驚愕なのが「映像!」
ワイスピでもなんでも(古くは007でもw)現在ですらスーパードラテクの映画を実写で作ろうと思ったら、基本的には特撮or CGになります。それが当然であり、当たり前です。
しかし、本作は違いました!
CG、一切不使用。
ドラテクはすべて本物!リアル映像です!
やっぱり、CG使われると「どーせ作り物のファンタシー」ってどこかで興醒めしちゃうんですよね。
このウン十年間、熱くなれるモータースポーツ作品って、漫画・アニメ・特撮しかなかったわけですよ。(もちろんワイスピも本物のカーアクションシーンはおてんこ盛りだけど、特撮もやっぱり、ねぇ)
リアルなモータースポーツを観戦していても(動画orリアルのサーキット)車は遠景だし、視点は固定にならざるを得ないし、「観客として、迫力ある迫真の映像が観たい!」と思ったら、誰かが描いてくれた「絵」を観るしか方法はなかったわけです。作り物を観るしかなかったんです。
しかして!本作は違う!
車体はもちろん、いったい路上(コース上)にいくつカメラ仕込んでるの?!と質問したい。
思わず「どんだけー?」と言いたくなってしまうとんでもない数のカメラを路面に仕込んでいると思う。当然、次から次へと踏み潰されているだろう。
数十個の小型カメラ戦隊クン達が命懸け(擬人化w)で送ってくれたナマの映像を繋いでこの映像は出来ている。
こんな事は、実際のレースでは絶対に出来ない。
だから、本作は
「映画というコンテンツにしか出来ない仕事」なのだ。
まさに、映画を創る、という醍醐味を満足させてくれる作品なのだ。
「本物」のみを使って「観客の"本当に観たい映像"を創る」
化学調味料だらけのインスタ映えする料理よりも、健康に育った本物の素材だけを使って調理した白米と味噌汁の方が何百倍も美味いのと一緒。
「本物」だけが持つ迫力が、興奮と感動をもたらしてくれる。
だから「映画」としては空前絶後の偉業を成し遂げてくれた貴重な作品だと評価したいんですね。ストーリーの弱さを差し引いても、お釣りが来るので星5評価ですw
内容の部分で心に残ったシーンをいくつかあげると
・team aliveテストで総一郎さんが追撃を始める。
(この辺りからようやく面白くなっていく)
・羽根でペットボトル5本薙ぎ倒し。
(もう、神映像です!最高!)
・実際のペダルワークをじっくり見られる。
(左足ブレーキ、もっと上手くなりたいなー。利き足じゃないとまるでデリケートな操作出来ないよぉ)
・芸術的8の字
(あれだけの上級者はサイド使わないのかと思ってたけど、スライド中にリアロックさせた方が小回りになるのかー!奥が深い)
・ドリキンが柴崎に辛口過ぎる。
(もう、色々と爆笑)
・柴崎の嫌な奴っぷりが素晴らしいw
(脳内に「た〜お〜せ〜卑劣な敵を〜♪」って歌が流れたw)
・恐怖に捉われた紘一に対する武藤さん、葛西さん、総一郎さんの対応がそれぞれ素敵♪
(みんな、漢(おとこ)だねぇ♪)
・芸術的並走ドリフト。一瞬の隙をついて交差する走行ライン!
(凄ぇ!何cmまで寄ってるんだー!鑑賞帰り、駅の改札で割り込むように急いでいく人を見るたび、息子と一緒に「(インを)刺す!」と言って遊んでしまいましたw)
・日没直後の闇を切り裂くヘッドライトって、どーしてこんなにカッコいいんだろう・・・。
(クライマックスを夜景モードにしたのは美しすぎる。光跡の何もかもが痺れる。そう言えばウェットコンディションのシーンも味わいがあったなぁ。同じドリドリでも、櫃まぶしのように味変えして楽しめました。)
・鍋と焼肉が食べたくなる。
(この暑いのに夕飯は鍋にしましたw翌日(今夜)は焼肉の予定w)
随分、長文になってしまった。ここからレビュータイトルの件まで書くと更に長くなるな。要は
・リアルとゲームの境界線
・陽キャと陰キャの境界線
・未熟と熟練の境界線
・男と女の境界線(夏実がメカニックであったり、それなりのドラテクを有している事も、技術や嗜好に性差はないという意味が見出せる)
など、人が抱きがち、決めつけがちな固定概念や社会通念に問題提起し、境界線にそびえる実在しない壁を打ち砕く。そんな主題も垣間見えたように感じました。
いやあ〜、とにかく無条件に面白かった!(ドリフトシーンがw)
>モンツァか!ってくらい直線オンリーの超高速サーキット
うまい!ほんとうにストーリーはなんの捻りもないインディのオーバルコースなみでしたね。
>「観客として、迫力ある迫真の映像が観たい!」と思ったら、誰かが描いてくれた「絵」を観るしか方法はなかったわけです。作り物を観るしかなかったんです。
>「本物」のみを使って「観客の"本当に観たい映像"を創る」
>「本物」だけが持つ迫力が、興奮と感動をもたらしてくれる。
ここ!大いに共感しました。
素晴らしいレビューをありがとうございました!
こんばんは~。コメントありがとうございます。
制作費そうなんですね‼️
びっくりです。
私も皆様のレビューに触発されて観に行きました。
大正解でした。
ただ、好みもありますし、みんなが良くても、自分にはいまいちってありますよね
私は来週、ミステリという勿れじゃなく、リピしようかと悩んでいます。
1日に2本の映画はお尻と腰が痛くなるので、観ない事にしています。
今晩は。
素敵な息子さんですね。キチンと育てられたpipiさんご夫婦の姿が分かります。
などと、冷静にコメントを始めましたが、
ウワワワ!”何故に、今朝9時の私とbionさんとの遣り取りを知っているんですか!あー、恥ずかしい!”
で、今作。ストーリー展開としては粗い所もありますが、私、野村周平さんの作品は(も)欠かさず観ておりまして。
彼の鬱屈しながらも再生していく主演作「順平、考え直せ」「WALKING MAN」(残念ながらヒットせず)が好きなんですねえ。
因みに私の勤務先及び乗っている車は教えません!(ホント、大変だったんですから・・。三か月免停、及び社内での”車を作っているのに!”の私に対して面と言わない輩達からの陰口・・。及び偉ーい方からの叱責・・。(涙))
勿論、今では高速でもMax100キロ走行です。では。
pipiさん、怖いなあ・・。家人も優しいけれど、イロイロと怖いです・・。
(独り言。咳をしても独り・・。)
pipiさん
映画史上最高のドリフトシーンでしたよね。僕もめちゃくちゃ興奮しました。
イオン配給は家から遠いため普通は行かないんですが、「土屋圭市監修」の文字があったので、最速で予約しました。大正解です。