モリコーネ 映画が恋した音楽家のレビュー・感想・評価
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天才を描いた監督の技に喝采
作品数が多すぎて大変だったろうなあと思うけど、編集が巧みで飽きさせない。映画の画面や演奏シーンやインタビューを小出しにしながら音楽はずっと流れてる感じ。インタビューも、古くからの知人や音楽の専門家がその人ならではの視点で語ってて示唆に富む。
アカデミズムとの確執も、各監督とのいざこざも織り交ぜながら、モリコーネの作家性を伝える。
特に面白かったのは、NGのバージョンと本編を両方流すのがいくつかあったこと。知らない映画が多かったけど、映画の中身より音楽に重心があるからむしろ良かった。
何度も遠ざかろうとしてたのに、そのたびに映画に引き戻されるのはもう神様に呼ばれてるとしか…。
見ながら思ったのは、あんなロングインタビューや自宅での間近の撮影、できるときにできたのは奇跡かも、ということ。
ドキュメンタリー撮る人の嗅覚、センス、すごい。そして、再構築して編集する能力の高さがはっきり表れるもんですね
「映画音楽の巨匠モリコーネの生い立ちから晩年までを音楽と映像で丁寧に構成した逸品!音楽は映画でもあり映画は音楽でもある!必見!」
上映時間157分を長い!おっしゃる方もいると思いますが、60年代後半辺りのイタリアなどのヨーロッパ作品からそれなりに観てきた人なら一度は、映画やテレビから聴いた事のあるサウンドが、枚挙にいとまがなく流れ、飽きる隙与えない音楽と映像構成をモリコーネを師匠と仰ぐジュゼッペ・トルナトーレ監督が紡いでくれる至宝にして最高の157分でした。
モリコーネ入門としてもだが、ちょっとしたイタリア映画史的な側面もあり、紹介される作品も日本でも人気のあるマカロニウエスタンから未公開の社会派やアート系まで幅広く興味深い部分を見せてくれるので、その後の作品セレクトの参考にもなる。
無論モリコーネと仕事しなかったイタリア映画名匠巨匠も多数いるが、その辺は、アメリカ映画界の巨匠でもあるマーティン・スコセッシ監督の『マーティン・スコセッシ 私のイタリア映画旅行』などをサブテキストに観ると分かりやすいかも。(TSUTAYAなどでレンタルしてるハズ)
本作の見所としては、ともかく多くの映画や音楽の著名人が語るモリコーネの功績や凄さを簡潔に語っていて、その影響力に驚く。
もちろん本人のガッチリとした語りや創作秘話も満載で、年齢にしてはパワフルてお肌ツヤツヤで元気だった在りし日のお姿を見れるのもありがたい!(モリコーネの時の撮影ライティング機材の光源がとても強めになのに硬くなくクリアな光で綺麗だけど蛍光灯型LEDかしら)
気になるところは特に無いけど、個人的にレオーネ監督とのコンビ作で男性コーラスが印象的だった傑作『夕陽のギャングたち』の話しも欲しかった。(レオーネがキューブリックの依頼を勝手に断ったところのみのだった)
あと『夕陽ガンマン』のクライマックスを初めて大きなスクリーンで見れたのは嬉しい!4K版あたりを映画館で観たい。
個人的には音楽映画の側面もあるので音響機器の良い映画館での鑑賞をお勧めしたいのと、本作に入っている全ての音源や作品の権利がソフトや配信で使えるのか分からないので、劇場に行って見て欲しい。
本作はこの手の作品としては珍しく地方のシネコンでもやってるので是非劇場で観て聴いて下さい!
『モリコーネ 映画が恋した音楽家』の余談
昔テレビで見た謎の戦争映画で、戦場に散布された毒ガスで人間がドロドロ溶ける恐ろしい場面のある作品が、モリコーネが音楽で参加した『黄色い戦場』(1969年)と本作を観て判明した!😱
あとモリコーネが音楽を担当したリリアーナ・カヴァーニ監督の日本未公開作品の2本も興味深いです🤔(公開を望む)
なんて映画なんだ
えらいもんを観てしまった◎一言で感想を書くならコレしか書けない。そんな映画◎撮影編集し世に出した監督への敬意は勿論だが一言言えるのであれば良くこんな作品を作りましたね。と和かに微笑みつつ静かに謝辞を述べたい(^^)
だってさ、ほぼ20世紀の映画史だぜ。この映画自体に織り込まれているのは。そしてストリートは含まれていないけど、音楽史でもあるんだよ。
ヤバいでしょ。色んな観点から考えても。
ヒップホップがサンプリングという手法でストリートのカルチャーをぶった斬り縫い合せ色鮮やかなタペストリーを織り上げてきた元ネタはほぼほぼモリコーネにある。と言うことに気付くとこれからのレコードコレクションの困難さが想像に難くないからねwとか言いつつ、宝積ならぬ地道さでモリコーネ音源をコレクションしようと新たな趣味を見つけられる映画体験でした。タラタラタ〜♪👋
2時間半はあっという間に過ぎ去って
しゃべり倒すモリコーネ翁と、褒め倒すレジェンド軍団。至福の時間、あっという間の157分!
エンニオ・モリコーネは、僕にとって特別な作曲家だ。
プロフィールにも記してあるとおり、僕はセルジオ・レオーネの熱狂的な信奉者であり、彼の残した6本の「聖典」は、未来永劫語り継がれる世紀の大傑作であると信じてやまない。
そして、セルジオ・レオーネ映画の30%くらいは、エンニオ・モリコーネで出来ている。
大学時代、レンタルVHS狂騒曲のただ中にいた僕は、毎日のように新宿と恵比寿のTSUTAYAに足を運びながら、「名画」として知られる映画を片端から借りまくっていた。
そのなかでも『荒野の用心棒』の面白さは、これまで面白いと思って観てきたハリウッド映画のすべてが色あせるほどに強烈だった。
さらに『夕陽のガンマン』をはさんで、『続・夕陽のガンマン』を観たときは、世界観が根底からひっくりかえるくらいの衝撃をうけた。
「こんな面白い映画が、世の中に存在したのか?」
「今まで観てきた映画はなんだったんだ?」
さらに、『ウエスタン』と『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』を観て、僕はレオーネ映画にぞっこんに惚れ込んだ。
当時、『夕陽のギャングたち』のパッケージだけはなぜかアクセスできず、観られたのはだいぶあとになってからだったが、待たされた甲斐はある、最高にイカした傑作だった(ション、ション、ション!)。
一方で、大学に合格して上京してきた初年、シネスイッチ銀座でロングランヒットを飛ばしていたのが、『ニュー・シネマ・パラダイス』だった。流行っているから観に行くか、くらいの軽い気持ちで足を運んだ僕は、思い切り号泣させられるはめに。
映画館で泣いたのは、たぶん人生で初めての体験だった。
どちらの映画でも音楽を担当していたモリコーネに、僕は強い関心を抱いた。
『ニュー・シネマ・パラダイス』のサントラを買い、レオーネ映画のサントラを買い、ベスト盤を何種類も買い、他のマカロニの音源も買い、日本未公開作のサントラまで買いあさった。とはいえ、モリコーネの音盤は、CDだけで400枚近くあって、自分が所有しているのはそのほんの一握りにすぎない。
その後、渋谷東急での『1900年』のリバイバル上映も、僕にとっては大事件だった。
去年初めてパゾリーニの『大きな鳥と小さな鳥』を観たら、音楽だけ先に知っていた、なんてこともあった。
僕の映画人生には、つねにモリコーネ・ミュージックがあった。
いや、僕だけではない。
中高年の映画ファンの多くにとって、モリコーネは特別な存在であり続けてきたはずだ。
ー ー ー ー
そして、楽しみにしていた『モリコーネ』が、封切られた。
こうして、まだ存命中のモリコーネが、生きて、動いて、しゃべっているのを観られるだけでも、僕としてはもう大満足なのだが、そのうえとにかくこのモリコーネ、よくしゃべる!! しゃべりまくる!!!(笑)
爺さん、すげえ記憶力だよなあ。しかも口ずさむどの曲も、キーがばっちり合ってるし。
160分近い長尺のドキュメンタリーだが、1秒たりとも退屈する間はない。
貴重な映像、貴重な証言、まだ観ぬ映画、まだ知らないモリコーネ。
圧倒的な情報量で、モリコーネという人物と、彼の手になる音楽、彼の生きた時代と、築き上げてきた評価が語られる。
観る前は尺の長さを見て、トルナトーレ監督、またこいつ「カットできない病」を発症したのかと思ったけど、邪推して悪うござんした。
この映画に削っていいところなんか、どこにもなかったよ。
当然出てくると思っていた人物も出てくるし、思いがけない人物も出てくる。
モリコーネより先に死んだはずのアレッサンドロ・アレッサンドローニ(『荒野の用心棒』で口笛吹いてた人)や、ベルナルド・ベルトルッチが普通に出てきて、ちょっとびっくりしたり(撮影にはモリコーネが亡くなる2020年まで5年くらいがかけられているので、その間に亡くなった人物の証言もちゃんと画面に記録として残されているのだ。素晴らしい!)、ジョン・ケージのハチャメチャな器物損壊コンサートを観て、頭を抱えて首を振ってる観客のオッサンが映ったり(こういう「自然」な反応は、今はケージとゲンオンの「権威」化によって喪われてしまった)。
恩師のペトラッシと卒業試験の95点の話でモリコーネが泣きかけたり。
僕の大好きなオーソン・ウェルズの『オセロ』の音楽に実は参加していたり。
バリトンについて語る当のレオーネの声が、凄い美声のバリトンだったり。
モリコーネ御用達のスキャット名人エッダ・デッロルソの姿を初めて目にしたり。
あのオリバー・ストーンやタヴィアーニ兄弟がモリコーネにクッソ怒られてたり。
クインシー・ジョーンズやブルース・スプリングスティーンら「モリコーネ絶賛部隊」に、指揮者のアントニオ・パッパーノが交じってたり(モリコーネはアカデミーやクラシック畑のような「権威」から本当は認められたかった人だから、本望だろう)。
なにこれ、どんだけ面白いシーンと証言、かき集めてあるの??
ドキュメンタリーとしても、彼を語るうえで重要な映画や音楽は、概ねきちんと尺をとって取り上げられていたように思う。
レオーネ映画に関しては、『荒野の用心棒』(出川の電動バイクの番組でBGMでかかってるやつ)、『夕陽のガンマン』(映画冒頭のメトロノームって、これの時計の音かと最初思った)、『続・夕陽のガンマン』(モリコーネが前の二つに関しては否定的な口ぶりなのに、『続』に関しては満足げだったのが面白かった)、『ウエスタン』(冒頭の効果音と登場人物のハモニカで成立する音楽の話、最高)、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(ここで耐えられなくなって俺、うううっとひとしきり嗚咽ww)に関してはじっくり語られていたが、『夕陽のギャングたち』についてスルー気味だったのはちょっと残念だったかも。
同級生だったモリコーネとレオーネが写っている小学生時代の集合写真や、レオーネが『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』の撮影現場でモリコーネの曲をかけまくっていた証拠映像は、じつは1995年BBC製作の30分番組のドキュメンタリーで、既に見たことがあった。
今回の『モリコーネ』では、『1900年』や『ミッション』の話題に関しては、使う映画内の場面も含めてそのBBCのドキュメンタリーから結構まんまなぞっている部分が多々あるのだが、BBCのほうに出演してしゃべっていたブライアン・デ・パルマは、なぜか今回の映画には出てこない(『アンタッチャブル』の話ががっつり出てくるのに)。きっと複雑な権利関係とか、出演者間の思惑があったのだろうと類推される。
その他、パゾリーニの『大きな鳥と小さな鳥』での、スタッフクレジットを全部歌手が歌いあげてしまう(「エンニオ・モリコーネ、ム・ジ・コ! ハーハッハッハ!!」笑い声はモリコーネ本人)という天才的なアイディアや、『ミッション』でのオーボエと民族音楽と宗教曲の混淆という、映画の本質と関わる壮大な試みなど、観る前に僕が「マスト」と思っていたネタは、ちゃんとひろってあった。
ただ、『ニュー・シネマ・パラダイス』のところを妙に足早に通り過ぎたのは、さすがにちょっと気になった。監督が自作に深入りするのを含羞をもって避けたのか、それとも『愛のテーマ』(「息子のアンドレアの曲」なので、映画内ではかからなかった)に関して深入りしたくなかったのか。個人的には、「あれは実は相続対策では?」との長年にわたる疑念を、ここできっぱりはらしてほしかったんだが(笑)。
未見の映画では、『ポケットの中の握り拳』(マルコ・ベロッキオ監督)、『怪奇な恋の物語』(エリオ・ペトリ監督)、あとタイトルを忘れたが、三種の音楽を掛け合わせる話で出てきた新人監督の映画あたりが強烈な印象を残した。
いつか観ないとなあ。ああいう狂ったイタリア映画、無条件に好きだわ。
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今の人達にとっては、音楽家の作曲する楽曲が、シリアスなものか通俗的なものかなんて、たいして大きな意味を持たないことのように感じられるかもしれない。
だが、20世紀の音楽家にとって、自分が正統なクラシックのサイドに属しているか、商業音楽のサイドに属しているかは、常にプライドにかかわる重大な問題でありつづけた。
そもそもクラシックといっても、たとえば絶対音楽と標題音楽とでは、価値づけにある程度の温度差があるし、コンサートピースやオペラ、宗教曲を最上位と考えるならば、劇音楽やバレエ音楽、ダンス音楽などは、ある程度軽く見られてしまう部分がどうしてもある。
まして、映画やミュージカル用の楽曲は、あくまで「余技」「収入の一助」として捉えられるのが通例だった。ちょうど昔の「声優」業が、舞台俳優や新劇役者の腕試しと小銭稼ぎのサイドワークだったのと同じようなものだ。
ショスタコーヴィチやプロコフィエフのように、結構な数の映画音楽を手掛けている高名な作曲家もいるが、彼らにとっても本業はあくまで、本格的なクラシックの作曲にあった。
コルンゴルトにせよ、ニーノ・ロータにせよ、バーンスタインにせよ、武満徹にせよ、伊福部昭にせよ、三善晃にせよ、どれだけ映画音楽や軽音楽のジャンルで活躍しても、本人はシリアスな作曲家として捉えられることを強く望んだし、実際に演奏会用のクラシック曲を恒常的に残し、それらが高く評価されることを夢見た。
だから、モリコーネが抱えていた劣等感と反骨心、世間的評価との果てなき戦いは、決して彼ひとりの問題ではなかった。専門教育を受けて作曲業を生業とした人間すべてのかかえる問題だ。
ただ、彼は映画音楽家として、あまりに優秀で、あまりに成功し、あまりに世間に知られすぎた。
クラシックの作曲家として名を立てる前に、映画音楽家としての盛名を馳せてしまった。
だからこそ逆に、彼は「映画音楽」のフィールドで戦い続けるしかなかった。
クラシックに戻ることでではなく、映画音楽の価値と評価を高めることで、自分の誇りと功名心を充足させる必要があったのだ。
それでも、晩年のモリコーネが映画音楽の世界からフェイド・アウトし、クラシックの作曲と、オケを率いての自作の指揮に活動を移行していったのは、ベルリン・フィルで指揮者デビューを果たしたジョン・ウィリアムズや、自分の出自であるミニマル音楽に回帰しつつ新日本フィルでマーラーまで振り始めた久石譲とも、おおいにかぶる部分があって、実に興味深い。
この三人は、映画音楽を真の「芸術」の域にまで高めた大立者だといっていい。
それでも、彼らはやはり「クラシック」のサイドに認めてほしいのだ。
クラシックの側にも、自分の価値をきちんと知らしめたいのだ。
21世紀に入っても、作曲家のプライド問題というのはなんら変わらないもんなんだなあ、とあらためて思わざるを得ない。
映画音楽の父ともいえるコルンゴルトは、映画音楽を「歌のないオペラ」と捉え、ワーグナー風のライトモチーフの概念を持ち込んだ。ニーノ・ロータは、「覚えられるフレーズ」として結晶化された旋律を作品に導入した。後期ロマン派的なシンフォニズムを継承したジョン・ウィリアムズに対して、エンニオ・モリコーネは、イタリア・オペラ風の印象的なカンタービレと、ジョン・ケージ以降のノイズやサンプリングの概念を融合させる方向で、新たな映画音楽の形を模索した。
こうしてモリコーネは、半世紀におよぶ映画音楽の作曲活動を通じて、「映画音楽」が単なる通俗的な実用音楽ではなく、立派な芸術作品となりうること、メンデルスゾーンやチャイコフスキーにとっての「劇音楽」と何ら変わらない価値を持たせられるジャンルであること、むしろ旋律美をもつ調性音楽が生き残る場所は「ここしかない」ということを、われわれに知らしめてくれたのだった。
偉大なるモリコーネよ、永遠に。
最後に。
この映画の10%くらいは、セルジオ・レオーネで出来ている、とも言える。
逆にこの映画でレオーネを知った皆さん。
ぜひ、『続・夕陽のガンマン』を観てやってください。
マジで損はさせませんから!
文句なしのドキュメンタリー たくさんの人に見てほしい
2020年7月6日に亡くなったイタリアを代表する世界的な映画音楽作曲家の巨匠エンニオ・モリコーネを追ったドキュメンタリー。
全編通してモリコーネの映画音楽界に対しての強い想いが感じられてこの大作曲家の凄さが垣間見れます。
次々と一度は聞いたことがある名曲と名シーンの連続で飽きる時間はなく裏話も聞けて大変面白かったです。
キューブリック監督の「時計じかけのオレンジ」に声がかかったのに断らざるを得なくて参加出来なくて後悔したのはこの作品だけ。というのが印象的でした。
アイデア溢れる偉大な音楽家が天才と言われるには相応の理由があるというのがわかるドキュメンタリーでした。
エンニオ・モリコーネのユーモアあふれたインタビューが魅力的。多くの人に見て欲しい作品です。お勧めします。
マウリッツィオ・グラーフが歌う
23-006
散文と詩の融合に成功した作曲家
初めて見たタランティーノ映画は「ヘイトフル・エイト」で、この映画でモリコーネが初めてアカデミー賞を受賞したこと知らなかった。タランティーノが盛り上がり興奮状態で、バッハよりもベートーベンよりもシューベルトよりも素晴らしく長くずっと残る音楽を作ったのがモリコーネ!と語る彼の嬉しそうな顔。微笑ましかった。
デニーロ、イーストウッド、ジャン・ギャバン、パゾリーニそしてジャン=ポール・ベルモンド(写真だったけど)が映っていて幸せだった。劣等感、屈辱感、やっかみの中で映画音楽を作り上げる中、妻のマリアの存在が大きいことを初めて知った。
昨年末に團十郎白猿を襲名した歌舞伎役者が新之助時代に宮本武蔵役で大河ドラマ「MUSASHI」に出演した。このドラマで使われた音楽はモリコーネ作曲によるものだ。プロデューサーが依頼か相談かのためにイタリアのモリコーネのもとに赴いたと聞いたことがある。MUSASHIの音楽は風をきって前に進む若者たちを清々しく描いていた。この大河ドラマはあまり評価されなかったようだけれど、モリコーネ作曲の音楽が使われていたことはもっと知られて欲しい。
至上の映画音楽を提供し続けた天才音楽家の実相に圧倒される
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』『ニュー・シネマ・パラダイス』『海の上のピアニスト』など数多くの映画作品向け楽曲を手掛けた天才音楽家の生前5年以上に密着しつつ、関係した多くの映画人のインタビューや映画の断片映像で構成されたドキュメンタリー作品ですが、3時間近くの長尺にも関わらず、そのテンポと濃密さにくわえ、モリコーネの幅広く深遠な音楽世界に終始圧倒されます。
さまざまな「争いごと」の絶えない実世界の映し鏡が映画芸術の持つひとつの側面だとすると、映画の放つメッセージをより明確で強固なものに昇華するために担う音楽の役割はとてつもなく大きいのではないか。このイタリア人作曲家の長年の創作活動における「闘い」の軌跡を知ることで、そのことを思い知ることができます。映画はもちろん、音楽を愛する多くの人に強くお勧めしたい映画作品です。
いつまでも聴いていたいメロディ
日本経済新聞の私の履歴書を映画にしたような作品で、膨大なアーカイブ映像をもとに映画音楽と言うジャンルを超えて音楽家としてのエンニオ・モリコーネを描くドキュメンタリーの力作です。映画ファンならずとも聞いたことのある、マカロニウェスタンの名曲にまつわるエピソードなどは興味津々だし、ある意味映画監督よりも映画に対する理解や解釈が優れていたのは驚きです。特に、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』の撮影時に、すでに完成している音楽を撮影現場で流して役者を映画の中に引き入れてしまうエピソードには、感服しました。数々の名シーンに流れるテーマ曲を聴いただけで、映画を観た時の感動が一瞬で甦るのは、まさに音楽の力です。映画監督だけでなく、広いジャンルのミュージシャンからもリスペクトを受け続ける、モリコーネの新曲をもう聴く事はないのが寂しいですね。
モリコーネの奇跡を反芻するかの如き感動作
これは「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレが、師であり友であるモリコーネに迫った愛情あふれるドキュメンタリー。
代表作の映像と音楽、モリコーネ自身が語る詳細なエピソード(生前の彼は実に饒舌‼︎)、所縁の人や映画・音楽界のレジェンドたちの熱いコメントを時系列に沿って綴っていく。
小学生の頃からマカロニウエスタンを介してほぼリアルタイムで彼の音楽に触れていたのだが、モリコーネを認知したのは東京に出て真面目に映画を見始めてからのこと。それからどれだけの傑作と出会ったことだろう。
・ポンテコルヴォの「アルジェの戦い」
・レオーネの「ウエスタン(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト)」
・モンタルドの「死刑台のメロディ」
・ベルトルッチの「1900年」
・マリックの「天国の日々」
・レオーネの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」
・ジョフィの「ミッション」
・デ・パルマの「アンタッチャブル」
・トルナトーレの「ニュー・シネマ・パラダイス」
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激しく感動した記憶、嗚咽を漏らした記憶が繰り返しよみがえり涙腺が崩壊し続けた。涙を拭くのをあきらめた。
私はモリコーネが起こした沢山の奇跡を知っている。それが誇りだ。
天才👏✨
必殺仕掛人のルーツ
皆の耳が永遠に覚えてる
2年前に亡くなった
イタリアの誇る
伝説的な映画音楽作曲家である
エンニオ・モリコーネの人生を
かつてモリコーネと共に幾多の
名作を作り上げた
ジュゼッペ・トルナトーレが
ドキュメンタリーで振り返る今作
ハービー・ハンコック
ジョン・ウィリアムズ
ハンス・ジマー
それぞれ名だたる名作曲家が
憧れだったと言わしめるほどの
革命家であったことが
よくわかりました
何より印象的だったのは
若いころは正統的な
クラシックの交響曲などを
学ぶ畑にいながら
ノイズや不協和音も厭わない
新しい音にこだわった事で
映画音楽を仕事にするように
なってから
「映画監督も覗けていなかった
その映画の世界観」を逆に
示すことで監督を唸らせてきた
というのはまさに職人ですね
「その映画の全てを司るはずの
監督でも音楽だけはどうにもならない」
というご本人の談はなるほどなぁと
思いました
クエンティン・タランティーノ
が晩年に依頼した「ヘイトフル・エイト」
の楽曲もモリコーネ氏が担当と聞き
ぴろぴろぴ~♪的なものを想像
していましたが
(タランティーノもそう
思っていたらしい)
まさかの全編交響曲仕立て
「同じのは嫌じゃん」という
氏の志向には驚かされる
ばかりでした
もうこの世にはいませんが
世界中の人の耳に残り続ける
音楽を作ったという点では
映画音楽の父みたいな人
だったと言えると思います
追悼
亡くなったモリコーネへの、ジュゼッペ・トルナトーレ監督による敬愛と賛美、そして感謝の詰まった追悼フィルムでしたね。
いま40〜70台の人たちが観てきた映画の「あれもこれも」モリコーネだったのかという再確認をしつつ。
プロ中のプロが、直感と洞察力で監督以上に映画を活かす音楽を生み出し、積み重ねていくうちに芸術まで昇華していく姿に、惚れ惚れしました。
生前の本人がインタビューに答えていて、「あの仕事はやりたくなかった」とか堂々とバラしていて笑えるところもありつつ。
ジョン・ウィリアムスやハンス・ジマーなどの同業者に、リスペクトするブルース・スプリングスティーンやクインシー・ジョーンズらアーティストの証言が重く。
ひたすらかっこよかったです。
Once Upon a Time in America で好きになり・・・
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