すずめの戸締まりのレビュー・感想・評価
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新海誠が3.11の決着をつけた世界に通用する傑作エンタテイメント
新海誠 監督による2022年製作(121分)の日本映画。配給:東宝。
素晴らしい、エンタテイメント・映画になっていて感心,そして感動させられた。
まず、主人公を女子高生に置いた、次を予想出来ないストーリー展開に魅せられた。自分が知らない何かがベースにあるかもしれないが、地上にある幾つかの扉から地下に蠢くミミズが出てきて災害をもたらし、その扉を閉める家業が有るという設定はとても斬新に感じた。
更にそこに、3.11の災害を絡めて、主人公鈴芽(すずめ)の亡くなった母への記憶、育ててくれた伯母への想いを重ね、更に女子校生ながら決意を秘めた恋心も加えた物語は、お見事と思わされた。
扉を境に世界ががらりと変わる映像は、設定自体は種々あった気もするが、新海監督の描く映像の際立つ美しさで彼独自の世界になっていた。主人公が勇気ある乙女で、巨大なミミズ等自然の猛威と立ち向かっていく映像は、宮崎駿のそれをも思い起こさせ、新海誠の映像のレパートリーの幅の広さを感じさせた。
鈴芽が恋する閉じ師の大学生草太が4脚の1つが欠けた椅子にされてしまい、それが一生懸命に走る姿がとてもコミカルな動きの有る映像になっていて、そのアイデアに感服させられた。そしてその椅子は実は、亡くなった母親の形見というのも、良く練られたストーリーだ。
あと、鈴芽を引き取って育ててくれたおば岩戸環(たまき、声は深津絵里)がキャラクターのデザインと声優の演技を併せて、とても素敵だった。また、閉じ師の友人という芹澤朋也(ともや、声は神木隆之介)の一見ホスト風ながら良い先生になりそうなキャラもなかなかユニークで魅力的で、印象に残った。大学生の車内での「ルージュの伝言」、「SWEET MEMORIES」、「夢の中へ」、「けんかをやめて」は不思議な選曲だっだが、親達の影響という解釈(実は監督の好み)? 何かが生まれた様にも見えた2人を主人公としたロードムービーを、スピンオフ作品として作って欲しいなんて思った。
そして、人間の言葉を話す白い猫ダイジン(声は山根あん)の度々の登場も、謎の存在だけに、楽しませてくれた。目撃情報がネット通じて拡散されるさまが結構リアルで、彼が実は子供の閉じ師であったとの設定にも、感心させられた。
RADWIMPS と陣内一真によるとされる音楽も、今回は出しゃばらず抑えた感じで良かった。野田洋次郎さんの声に少々飽きたこともあるが、主題歌を歌った十明(とあか)の飾らない無垢的な声が良くこの映画の雰囲気にマッチしていた。
毎回ながら、ありふれた場所を絶景にし名所化する新海マジックに感心させられる。映画の後、あらためて舞台の一つである御茶ノ水の聖橋に行ってみたが、確かにお堀の水上、中央線の下を丸の内線地下鉄が横切る景色は絵になるし、聖地巡礼?なのか海外から来た様に思われる人たちが数名写真を撮っていた。
何より、物語全体が鈴芽の旅とヒト(草太、スナック・ママ、旅館で働く同年代の女の子、等)との出会いを通じての成長物語になっていた。そして、鈴芽が扉をくぐり、その先で3.11災害後母を求めて彷徨う少女の頃の自分に出会うというのが、少女鈴芽の真っ黒に塗りたくった頁の有る日記帳とともに感動的。それは、冒頭の夢の謎解きともなっていて、同時に新海誠がずっと拘って描いてきたあの大災害に関する一つの決着つけと感じた。
監督新海誠、原作新海誠、脚本新海誠、製作川口典孝、企画川村元気、プロデュース川村元気、エグゼクティブプロデューサー古澤佳寛、制作統括徳永智広、プロデューサー岡村和佳菜、 伊藤絹恵、音楽プロデューサー成川沙世子、キャラクターデザイン田中将賀、作画監督
土屋堅一、美術監督丹治匠、音響監督山田陽、音響効果伊藤瑞樹、音楽RADWIMPS 、陣内一真、主題歌十明、制作プロデュースSTORY inc.。制作コミックス・ウェーブ・フィルム。
出演
原菜乃華岩戸鈴芽、松村北斗宗像草太、深津絵里岩戸環、染谷将太岡部稔、伊藤沙莉二ノ宮ルミ、花瀬琴音海部千果、花澤香菜岩戸椿芽、神木隆之介芹澤朋也、松本白鸚(2代目)宗像羊朗。
面白いです。
アニメーションが綺麗
ダイジンの存在がものすごくモヤる
終盤ダイジンが後ろ戸に導いたのは開きそうになってる所にすずめを導いていたんだ〜良い奴だった〜みたいなテイストになったが、そもそもダイジンが逃げ出したから各地の後ろ戸が開いたのでは? ダイジンの一人称がダイジンだったりサダイジンが出てきたりしたが、ダイジンの名前はSNSユーザが勝手に付けたものじゃなかったか? 「人の手で戻して」と感動的な流れになったが最初から逃げなければここまで大事にならなかったのでは? そもそもダイジンがすずめを各地の後ろ戸に導いた理由は?すずめの震災の過去に向き合わせるためだとしてもその理由は?最初のエサやりだけで急に「過去に向き合わせてあげよう」という発想になったの?震災の危機という宿命を背負わせてまで?じゃあ「遊ぼう」の言い回しはなんだったの?
どうしてもその辺がずっっっとモヤモヤして素直に感動できなかった。ダイジンの行動論理がまるでわからない。読解力がなかったらすまない。
ダイジンが素直に悪役で「もうお役目ヤダー!」からすずめの在り方に心打たれて改心したとかの方が個人的には楽しめた
もっと早く見とけばよかった
おじさんが見に行くのもあれかなって躊躇があって、興味はあったけど、保留にしてたこの映画。
異例のロングランで、いつまでもやってるので(笑)時間できたので見に行く事に。
結果、見に行ってよかった!
これまでの新海誠作品の中で一番好きかも。
冒頭の死後の世界?の美しさにまず掴まれます。この最初のシーンが、最後クライマックスのシーンにつながるなんて‥そういう事だったのかと見てる側も納得。この映画はまず脚本が素晴らしいです。
そして主人公の女の子の背景が、物語が進むにつれ、徐々に明らかになっていくのですが、実は東北大震災でお母さんを亡くしてるという設定。
お母さんが生きてると信じて探し回るシーンに涙が‥
震災自体、自分も東京でですがあのもの凄かった揺れを体験してるので、当時を思い出すというか、フラッシュバックするんですよね‥
まだ見てない人は是非。
過去見たアニメ映画の中で自分的にはトップ3に入るくらい良かったです。
最後、エンドロールで主人公の叔母役が深津絵里と出てて、ビックリ。
新海誠作品で一番好き
公開後かなり時間が経ってしまいましたが、2回観ました。まず題材が地震であり胸が苦しくなります。なんとも言えない悔しさや虚しさ、悲しさが胸をギュッと掴んできます。ただ悲しいだけではなく、平凡な何気ない日常は素敵なんだ、新しい景色はこんなにキラキラしているんだとワクワクしながら映像美に見惚れます。
人間模様も細かく描かれており、何かをしよう、していこうと思えるような、前向きになれる素敵な映画でした。
猫が走る すずめが走る 椅子が走る
何気ない都会の風景。そして廃墟さえも美しい。そんな中を軽やかに走り抜ける少女はなんとも爽快だった。とある目的でロードムービーのごとく列島縦断して戸締まりをするすずめだったが、終盤は想い人のために目覚めたのごとく超人的なアクションで戸締まりを成し遂げる。ラストもすれ違いで終わることもなかった。草太よ、君は幸せ者だ。
それにしても出会った人たちがいい人ばかりで良かったです。
観る人によって伝わるものが違う映画
何となくは分かるし、迫力もあって胸にグッと来るものもあり、めちゃくちゃ泣いたのだが...結局終わってからよく分からず感情だけが揺さぶられた気でいた。
考察を読んでなるほどと思ったり、読みながら再度泣けて奥が深いと感じた。
ただ、これは男女や立場によってかなり感じ方が違う映画なんじゃないかというのが、周りの人と話して感じた感想。
特にこの映画が胸に刺さるのは母親の立場の人達ではないだろうか。
私は母としてすずめを娘の立場に置き換えてこの作品を観ることで他人事ではないように感じたし、考えさせられるものになったと思います。
地震という災害、そして、育てる者・育てられる者。この二点がポイントなのかなと思いました。
こえなき声
面白いです!構成、脚本、キャラクターなど、どれも高いレベルです。
全てが完璧
地震をうまく描いた作品
やんちゃ娘かと思ったら壮大なストーリーだったのだった
さすが深海監督。今年初映画これにしたかった
新海誠らしさ全開の映画
やはり、新海誠はストーリーテラー、脚本家としての才能が無いのだと確信した。(そこが宮崎駿と決定的に違う所だ。まあ、宮崎駿は最終的にはいつも破綻するけどw圧倒的に脚本家としての才覚が違いすぎる)
ストーリー、キャラクター、音楽、全てに引き込まれなかった。あー映像はいつも通りキレイだったよ。
ちなみに、全くの前知識無しで観たが、冒頭のシーンで最後のオチは見えたwあー多分ハリーポッターじゃんwて言い出すとキリないからやめる。
ツッコミ所が多過ぎて書く気にもならない。(他の星の少ないレビュアーの方が書いてる通りだ)
あえてのミスマッチという音楽の使い方があるが、これはそうはなっていなかった。ギャグにもなって無い。新海誠は音楽に対するセンスも一般人レベルなんだなと今回思った。いつものRADWIMPSの曲の時点でそう思うけど。
写実画家の宿命は「写真でよくね?」だと思うが、これは新海にも当てはまる。
あー見たことあるような景色…を提示するのは上手いのだろう。確かに感心する。が、それだけなんじゃ?という思いがますます強くなったのが今作だった。
そういう意味でも、コマーシャルとかミュージックビデオとか向けの映像やるのが向いてるかも。それか他人の脚本で映画作るか…
あと日本アニメの涙の表現はもういつまで千と千尋のマネやってんだよ!
いい加減オリジナリティ出せよ!クリエイターとして恥ずかしくないか?
高評価の人が多いのも分かるよ、、、分かる。
私の友人も絶賛してた。
ゴメン、君らとは感性が違うサイコパスだから気にしないで。
だが、やはり最後に一つだけ書く。
311は題材にできる物では無かったのだよ。
自然災害だからいいのか?911を題材にしてるのと大して変わらんよ。広島原爆を題材にしてたヒーロー映画がちょっと前にあったがw
あの日の絵日記を真っ黒塗り潰しで表現した所がダメな所なんだよ。例え子供の絵日記だとしてもね。。
最後泣いた。が、とてもいやな涙だった。可哀想な子供を見たら可哀想に決まってるんだよ。感動とか人の心を揺さぶるのに、そのような使い方をするのはやめた方がいいよ。詐欺師やマインドコントロールに近い気がする。
当たり前を当たり前だと感じないように
特典3・4の短編小説欲しさに3回観に行くことには、なりましたが私が考える事をここのレビューに記したいと思います。
キャスト・声優陣
岩戸すずめ役を演じた原菜乃華さん 恐らく初の声優業(?)だったかですが何の違和感もなく聞くことが出来ました。上手でしたね。感情の起伏も激しく喜怒哀楽も上手く表現出来ていて凄かったです。
宗像草太役はSixTONESの松村北斗さん透き通った声に優しげな声色で上手でしたがそこまでかって所でしたね笑それ以上でもそれ以下でもなくうん普通って感じでたしね。ならまだ前作前々作の御二方の方が気持ちに昂りなどを感じ良かったなと思いましたがね
そして特に良かったのは、他の方も仰っている通り環役の深津絵里さん・芹澤役の神木くん・二ノ宮ルミ役の伊藤沙莉さん 上手すぎたし役からここまで皆を虜にしたのは、驚きですね。
物語
今作は「震災」をテーマに当たり前の日常が失われた人々・使われなくなり古くなった廃墟を「後ろ戸」と表現する事で人間の記憶に残すという表現方法素晴らしいです。2011 3.11東日本大震災をテーマに作品を作っているようですが、追悼を担う映画としては論点がズレているかな〜って思いました。これは、自分が述べる感想論なので別に自分がそう思っただけなので深掘りはしないです。面倒なので
当たり前の生活する中でそれが普段出来ているのにありがたみが薄れてしまいがちですが、行ってきます・おかえりがその日以降言えなくなるなんて辛いし想像できないですよね。考えたくもない。
ダイジンが可哀想だとかなぜ草太さんが椅子に変えられたのかどうでもよいです。
レビューを観ずまずは、映画館に足を踏み入れ日常の有難みを噛み締めてください。
感想を出すのが大変遅くなりもう3.11です。
私もあの日の事は、必ず生涯忘れる事がないようそして新たな時代の者にまで覚えていて貰いたいですね。
皆が幸せで健康に生きられるように
それでは(行ってきます)(行ってらっしゃい)
(おかえりなさい。)
ルージュの伝言
もうすぐ12年経つけど、辛いものは辛すぎる。
ただそれ以上に作品としての好きが上回った
特にオープニングのタイトルバックのタイミングが良すぎてぞくぞくした…
登場人物の喜怒哀楽が細やかに表現されていて
そんでもって受け取り側も喜怒哀楽の感情をすべて堪能できたし、
そのひとつひとつの感情を肯定してくれたような気がした(監督が賛否の否の意見が沢山寄せられるのを分かってて創り上げた作品だろうから、その覚悟が存分に伝わった)
特典の『芹澤のものがたり』も読ませてもらったが
彼の存在が重いテーマをいい意味で心を軽くしてくれた
○○が辛い思いしているのに自分は笑ってていいのか
という葛藤は誰しも抱えたことがあるだろうけど
それでいいんだよ、笑うことが悪いわけがないって
締め付けたは心を解いてくれる素晴らしい人だった
そんな人がへたくそな歌を惜しげもなく晒している姿で一気に虜になってしまった
芹澤よ、お前は幸せになってくれ
境界のおはなし
新海誠は昔から、「交わるはずのない世界がほんの僅かな間だけすれ違う」というシチュエーションが好きな作家ですよね。今回もそうでした。なので新海らしさが好きな人にはハマる作品だったと思います。
後戸の向こうにある常世。
後戸のこちらにある現世。
主人公すずめはひょんなことから後戸を開けてしまい、かつ要石も抜いてしまったことで、異世界に繋がってしまいました。放っておけば大災害を引き起こすミミズが這い出てしまう。そのミミズを封じるため、大学生兼閉じ師の草太が駆け回ります。
すずめもまた、椅子にされてしまった草太とともに宮崎から故郷の宮城まで長い旅に出ます。
画の美しさは新海誠の十八番なのでここでは触れません。
今回私が感銘を受けたのは、扉を開ける/閉めるという行為に様々な意味を持たせ、描いてみせた点です。
後戸は開いてしまったら悪いもの(ミミズ)が出てきてしまう。だから閉じねばならない。
しかし本来扉とは逆で、外から悪いものが入ってこないように、中にあるものや人を守るために閉めるのです。
後半で、震災の朝もいつもどおり出かけて行ったであろう人々が出ていく様を描いていますが、これこそが私たちにとっての扉の役割なのです。
いってきますと言い、いってらっしゃいと言われ、そのあとに扉を閉めるのは、内側にあるものを守るため。
これが逆転しているから「後戸」なのかと思いました。
視点や立場によって想いが変わるというのも、新海監督の好物ですよね。
本来立ち入ってはならない領域。
関わってはならない存在。
踏み込んではいけない場所。
過去作同様、今回もまた、時間空間を超えて境界を渡り、また戻ってきました。
もう1点。
すずめは作中において、よく「死ぬのは怖くない」と言います。若さゆえの無謀さばかりでなく、4歳の頃に震災で母親を喪ったすずめにとって、死とはいつでもすぐ側にあるものであり、それに捕まるかどうかは運次第なのです。
すずめだって震災で死んでもおかしくなかった。
そうならなかったのは、たまたまそうだったからに他ならない。この経験が、すずめの少し不思議な死生観につながっているのかと感じました。
運命の相手でなくともいいのでは
震災をテーマにしたのは非常に意義があることだが、それ(震災=人間の手には負えない、回避不可能な出来事)を「人間の手によって回避可能な事態」として描いてしまっては元も子もないのではないか。
またヒロインとヒーローの関係も、最終的には「あなたに会うために私は生まれてきたの!」という男女の関係性における最高濃度に到達するが、そうなるまでの過程があまり呑み込めず、「そんなに好きだったの!?」と若干引いてしまった。
もちろん二人の間に自然な好意が生まれていくのはよく理解できたが、無理して二人を運命的な関係にする必要はないのではないかと感じた。
別に運命じゃなくとも、お互いを大事に思う男女の絆は描けるはずだから。
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