劇場公開日 2022年5月13日

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「現代版『人魚姫』を創った意図とは?」バブル Geso_de_Nyoroさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5現代版『人魚姫』を創った意図とは?

2022年5月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

楽しい

難しい

この作品を観て、イのイチに思い出したのが『プリンス・オブ・ストライド・オルタナティブ』というアニメ(メディアミックス作品)です。
通称〝プリスト〟は、パルクールというスポーツを駅伝とミックスした架空のスポーツで競い合うオリジナルアニメで、本作の絵面的にはこの作品とほとんど同じですw
違う点は、プリストは自然環境に何ら非現実的な部分はないのですが、この作品は無重力?或いは重力が弱い部分のある所?で、まるで月面上のソレみたいなアクロバットが可能な事でしょうか。

さて内容の方ですが、良かった点は何はさて置きまず『ビジュアルの鮮やかさ』に尽きるでしょう。
とにかく絵の色の綺麗さは抜群で、ビジュアルだけでも芸術的な域に達していると思います。
ソレは何となく『君の名は。』を彷彿とし、川村元気氏が企画し関わってるだけの事はあるんだなと思う次第です。
ただ、ナゼかキャラのクローズアップ・印象的なシーンで作画の気合の入り方が違ってて、まるで『オトメイト』的作画になっちゃったりしてます。
ソレはソレで綺麗なのですが、ナゼそうしたのかの意図は正直解りません。

ストーリーの方は、こりゃ一体何だ?と思わされる世界観の設定で、正直この世界が何なのかが自分にはあまり理解出来ませんでした。
ただ断片的には、割とウケの良さげな展開やギャグシーンなど話の捏ね繰り加減で、雰囲気だけは良いモノを出しています。
従ってストーリーを理解すると言うより、個別のシーン・場面を切り抜いて観て楽しむ、という視聴になってしまいました。
登場キャラに何だか『総北高校自転車競技部』のサイクルジャージ着てるのがいるなぁ、とか、障害物をヒラヒラとかわしながら、人間業とは思えない跳躍力や身体能力で空間を走破していく様を、立体機動装置ナシで飛び回る『調査兵団』みたいだなぁ、とか、そんな他所の作品のイメージがチラチラ脳裏に現れてきます。
無鉄砲にも高台から飛び降りる様は『ガルガンティア』のエイミーだったり、『未来少年コナン』にあった、あの印象的な名シーンが出てきたり、クライマックスのシーンは『Planetarian』のソレっぽかったりと、意図的ではないにしろ、コレまでの色んな作品のイイトコ取りした様な印象を受けました。

それにしても、世界設定があまりに強引すぎで、観ていて首都圏以外の自分の住む九州はどうなってるの? みたいな、その他どうでも良い筈の疑問が常にまとわりついたりと、ナカナカ集中できにくい内容です。
虚淵玄氏も川村氏の強引な企画にだいぶ苦労させられたのでは?と勘ぐる程ですが、実は言い出しっぺは監督の荒木哲郎氏の様ですね、川村氏は共犯w と言いますか‥‥
その辺『サカサマのパテマ』の方が自分的には解りやすかったし、ノイズも少なかったです。

そんな訳で、観た感じは最高のビジュアルだけど、内容は現代版『人魚姫』でありつつもイマイチ何だかよく解らない、ストーリー完成度が不足している様に思えました。

Geso_de_Nyoro