渇水のレビュー・感想・評価
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水分では補えない、心の渇きを潤すのはなに?
その年の関東地方はまさに異常気象。
降雨の無い日が延々と続くことによる水不足で
給水制限が発令される自治体が続出。
なかでも群馬県前橋市は
ただでさえ最高気温が高い地域。
市営プールは閉鎖となり
公園の噴水も止められ、
市民の不満はいやがおうでも高まるばかりで、
その憤懣は至る所に波及する。
市の水道局に務める『岩切(生田斗真)』は
『木田(磯村勇斗)』とペアを組み
水道料金の未納世帯を訪れ督促をするのが業務。
四ヶ月の滞納で「停水執行」となり、
水道を止めなくてはいけない。
はなから払う気のない
鼻もちならい住人も居る一方で
困窮家庭では他の公共料金も払えぬケースもアリで
その行く先々では様々な葛藤が生まれる。
しかし、そうした相手にも丁寧に応対し頭を下げる業務に、
心身をすり減らす職員も出て来るのが実態。
そんなおり、二人は育児放棄を受けている幼い姉妹に出会い、
業務の範囲を超えた救いの手を差し伸べる。
『岩切』自身も妻子とは別居状態になっており
表向きの態度とは異なり、心の中はささくれ立っていたのかもしれない。
そうした乾いた胸の中にぽつんと落ちた水滴のように
主人公の内面に次第に変化が訪れる。
からからに乾燥した空気と
『岩切』の満たされない心の内を「渇き」と表現。
彼自身も、親からはあまり良くない扱いを受けた幼少期の体験があり、
自分の子供にどう向き合って良いのかの戸惑いが。
姉妹の存在は、そうした思いを変える潤いとなりはするのだが・・・・。
最後はある種の大団円へと繋がるものの、
その過程で主人公が取った行動は唐突に過ぎ納得感は皆無。
加えてそれへの褒美のようにもたらされる結果にも
前触れも連続性もなく、結末を急ぐための流れのようで釈然としない。
もうちょっと上手い落としどころを見せてくれないと、
人間ドラマとしてのカタルシスは得難いのではないか。
幼い姉妹を演じた『山﨑七海』と『柚穂』が
出来過ぎなほどの演技。
なまじ周囲の大人が芸達者で固められているだけに、
第二の主人公とでも言うべき二人の成否の作品への影響は大。
これを引き出した監督の『髙橋正弥』は
多くの作品で助監督を務めており
その成果が花開いたとの感想。
「水はタダ ではない。」
からから
出ました、子供が不憫な話。歳を重ねると、もうそれだけで涙腺が緩む。でも、定期的にこういう話を補給することは、精神安定に良いと勝手に思い込んでいる。
本作はある水道局員の話。料金を滞納している家を廻って、支払いが出来なければ水栓を閉めて回るのが仕事だ。とある田舎町で、水不足の真夏日が続く日々。節水が呼びかけられ、プールも閉鎖される酷暑の中で物語が始まる。そんな中で水栓を止めに行く水道局員コンビに、生田斗真と磯村勇斗。トラブりながらも淡々と仕事をこなしていく毎日だが、ある日、母子家庭として暮らす母親(門脇麦)とその娘の二人姉妹に出会うことから、物語が展開していく。姉妹の物語と、水道局員の抱える家族の問題が交互に語られ、やがてドライな現実に耐えられなくなった水道局員は、テロ(?)へと追い詰められていく…のかな。
世の中も干からびていくようで、登場人物がみなギスギスしていく。カラカラで汗も怒りも乾いてしまいそうな空気感を、16mmフィルムで撮られた映像がうまく醸し出していた。
生田斗真が、問題を抱えながら諦観を携えて仕事を淡々とこなす感じが良い。歳を重ねて、少し演技に幅が出てきたように感じた。
全体的にあまりウェットにならないよう、気を使っている感じがしたが、そのためにそれぞれのエピソードがプロジェクト深まらない軽さが少し残念な気もするが、これも制作側の意図だとすれば納得できる範囲か。
設定は少し違うが「フロリダ・プロジェクト」を思い出す。あちらは夢の国のお膝元での母子家庭の貧困に焦点をあてた内容だが、どちらも子供達の天真爛漫さと彼らが置かれた境遇の対比が、モヤモヤした感情を増幅させる。興味ある方是非。
今年の中では、充分面白かった作品でした。
目には潤いがないまま
非常に面白いテーマではあったけど、そのテーマを生かしきれていない感じがして勿体なかった。すごくチープで20年前の映画と言われても気付かないくらいの映像と、別に面白くもない水道局員のエピソード。これが痛手過ぎたね。
猛暑日が続き、節水を呼びかける市の方針から、料金を滞納する家庭の水道を止める局員たち。世の中がカラッカラであることが、映像の質の悪さからイマイチ伝わってこなかったのが結構マイナス。雑に水を使っちゃっているし、そのせいで困窮の様子が薄れ、あまり水のありがたみも分からない。夜のシーンが多いのも惜しい。公園の水道からは水滴しか出ず、長時間かけてバケツ一杯にしたのに〜の方が分かりやすくて、刺さったと思うな〜。
生田斗真演じる主人公の男の魅力がほぼゼロに等しい。おかげで彼のエピソードも楽しめないし、ドラマとしても見応えがない。だけど、"もう1人の主人公"を演じた山崎七海が素晴らしい。すごく綺麗な顔立ちをしていたし、彼女の成長物語が面白い。身も心も乾ききった少女が、天真爛漫な妹を抱えながら、どのように生きていくのか。妹の涙を見て「それも水分なんだよ。」と言った、あのセリフはとても印象深い。
白石和彌監督がプロデューサー側に回っているものの、監督特有の人間の毒々しさは全くもってなく、監督のファンだからといって見に行くと肩透かしを食らうかも。だけど、この山崎七海という女優を見るだけでも一見の価値あり。大女優になりそうな予感。ストーリーは淡々と進んでいくけれど、それがこの世の残酷さを表しているようで、割と飽きずに楽しめた。
面白くはあるけど、少し物足りない。
考えさせられる内容だけど、涙は出ない。
でも、後半からの畳み掛けは非常に良かったし、胸に刺さるシーンも多くあったから、結構好きでした。見て悔いなし。ぜひ。
渇いたココロ。って、そんだけかい?
雨が降らず、心も渇いてしまったのか
水道料金を滞納する家庭に徴収に回り、最終手段として停水する、
前橋市の水道局員が主人公。
日照りが続き、給水制限が発令され、プールにも入れない姉妹、
その母親は育児放棄、滞納の末、帰ってこなくなる。
そして、その姉妹と主人公は・・・
停水を告げられた人々の様々な反応、払わない人たちの身勝手さ、
それに対し、ただただルールだから、と停水執行
家族ともうまくいかず、離れ離れ
雨も降らず、心も渇いてしまったのか
そんな彼が流れを変える、と言い放ち、取った行動は・・・
というところなんだろうけど、いまいち最後の行動は理解できなかった
心が渇いていたのか、はたまたためていた何かが崩壊したのか
そして、ほんの少しのタイミングのずれで、雨が・・・
主人公の心のうち、切なさはもちろんだが、
幼い姉妹がかわいそうでならなかった
あの母親、ひどすぎでしょ
水の匂いがする男って、どんななんだろ・・・
水は重いもの
水道料金未払いの家を廻り料金徴収や停水業務にあたる前橋市の水道局員と、水道料金を滞納するシングルマザーの幼い娘たちの話。
4ヵ月も料金を滞納しているにも関わらず水道は止められないとたかをくくる男に始まり、今日は14件とか19件とか、そんなに滞納している人いるんですか?とちょっとびっくり。
まともな仕事をしていない母親の身勝手な言い分と、放置される姉妹の様子は堪らないものがあったし、仕事と割り切りつつも出来る範囲の配慮をみせる主人公の様子はなかなか沁みる。
自分だったら世の中舐めてるガキのヤツは拾わないで停水するだろうけどw
主人公の家族事情の件はちょっと長かったかな~感じたし、朝から変な顔の日の水だけの話しならそれでも良いけれど…というちょっと突拍子もない件はや娘のリアクションに違和感があったけれど、なかなか哀しく優しく内容の割に重苦しさもなくとても良い作品だった。
身体かゆくなってきた
2023年劇場鑑賞128本目。
水道料金滞納している家庭を回って停水していく水道局員の話。リサーチして映画化しているとしたら、毎日20軒弱の家が停水されているみたいです。
しかし電気とガスは昔なかったから止められても死にはしない(まぁ夏と冬はエアコン無いと死ぬかもしれませんが)かもですが、水を止められたために亡くなる方いないんでしょうか。人間3日水分取らないと死ぬと言いますし。
色々なケースがある中、幼い子供二人だけの家がクローズアップされます。大人でもやむを得ない事情であっという間にホームレスになることもありますが(夜明けまでバス停でという映画もありました)、自分で働くこともできないネグレクトからくる子供の貧困は本当に観ていて辛かったです。風呂なんか絶対何日も入っていない二人を見ていると観ている間中身体がかゆくなってきて、家に帰って風呂に入るまでずっとかゆかったです。それくらい没入できる映画でした
既視感
水に匂いってあったっけ?
予告編から想像していた以上に泣けた。最初のプールのシーンでこの楽しそうな姉妹が貧乏で苦労してると確信して早くもウルッ。そんな家族の元に現れた水道局員の岩切と木田。料金払わない奴らの水道を止めるのが仕事だ。もしかして群馬の前橋市では本当に水道料金払わない奴が沢山いるんじゃないか?太陽も空気も無料だけど水は有料って何度も話題になってたけど、雨水は無料だよ。そして現れる酷い母親、まさか門脇麦ちゃんがこんな役やるなんてビックリした。生田斗真演じる主人公の岩切も家族の問題を抱えながら働いている。とても優しい感じの奴なんだけど、奥さんからすると家族失格で息子と家を出て帰ってこない。岩切と姉妹の立場のおかげでずっとウルウルしてしまった。磯村勇斗演じる岩切の同僚の木田がとてもいい奴で、幸せそうで気持ち良かった。チラッと笑えるシーンもあったが、基本は最初から最後までウルウルしてました。特に最後はポロッ。
この話少子化問題を考えるのにとても良いと思います。個人的には子育て支援金なんて子作り援助になるとは思えません。
『そんなこと頼んでない』
冒頭から、フィルム撮影(16mmで撮ったらしい)らしい質感の映像が日照り続きでカラカラのの光景に良く合っている。
次々と給水停止を執行するなか出会うシングルマザー家庭の姉妹。是枝裕和の「誰も知らない」を思わせる設定だが、ある意味生死を握ることになる水道局員という主人公の立場が独特の展開を生み、目が離せない。
そういう意味で、姉妹を巡る展開を期待してしまうのだが、主人公の家庭の話など、ちょっと焦点が定まりきらない印象も受けた。
最後の展開はファンタジーだが、希望も感じさせる。白石和彌組出身というのが意外なほど…ww
この作品も「怪物」同様に子役が素晴らしすぎる。『そんなこと頼んでない。…大人なんてみんな大っ嫌い』という台詞が刺さる…
水は低い方に進む。
うーん……
久しぶりにキツいものを見た。子役さんたちはもう少し自然体にできなかったのだろうか。台詞を言わされてる感が本当に凄かった。
また、主人公が自分の子どもにどう接したらいいのかとか家族にどう向き合えばいいのか分からないとか、女の子たちの母親含めて家庭環境がそうだったから家族を大切にできないという希薄性、そして偏見が見えて、何年か前だったらいいけど、今の世情からするとズレている気がします。家族に恵まれていた人も家族を傷つけますよ。唯一、磯村くんは自然体で癒しでした。あと水道料金滞納者たちとのやり取りはリアルでちょっと笑ってしまうところも。観賞後、一緒に観た家族と反省会に。
伝えたい事は伝わる
文字通りの渇水
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