渇水のレビュー・感想・評価
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【今作は前半は"停水"のシーンの度に心の潤いがドンドン無くなるが、後半は徐々に心潤う作品。孤独な水道局の男を演じた生田斗真さんのどこか寂しき佇まいから、”ある決意”に至る過程は宜しき作品でもある。】
ー 水道局の”停水”を行う仕事は、精神的にキツイだろうなあ、と思いながら観賞。-
◆感想
・夫に逃げられながら、娘達にはパパは船の長旅に出ていると言いながら売春をしている母親(門脇麦)。水道料金を滞納して”停水”。
ー ”中卒の夫に逃げられた女に、どんな真面な仕事があるんだよ!”と水道局の岩切(生田斗真)に啖呵を切るが、脳内で”子供を産んだ責任をキチンと取れよ!”と毒づく。門脇麦さんって、ヤサグレた女性を演じても巧いなあ。
それにしても、喫茶店で男(篠原篤)に優しくしてもらったからって、あんなに簡単に子供を置いて出ていくかな。
”アンタは夫と同じ水の匂いがする。あの人は鉄と火の匂いがするから大丈夫。”は印象的な台詞である。-
・マンションに住むボンボンが水道料金を滞納して”停水”直前まで行くシーン。で、恋人に水道料金を出して貰い、岩切に3万をクシャクシャにして目の前に捨てるシーン。
ー 無茶苦茶、腹が立ったシーンである。お前は一生”停水”だ!-
・岩切と一緒に”停水”に回る若き水道局員(磯村勇斗:毎週、この人が出演している映画を観ている気がする。良いもんなあ。)の情の厚さにやや心潤う。
ー ”停水”した上記女性の二人の娘を気遣い、アイスを買って上げたり・・。ー
<今作で、心が乾いていくシーンの幾つか・・。>
■岩切自身が妻(尾野真千子)と別居しており、彼自身の心が”愛しているのに上手く接する事の出来ない自分に似て来た息子”と会えずに干からびているのが伝わって来るからである。
そして、彼自身が幼い頃から親と上手く関係性を構築出来なかった事も彼の台詞から分かるのである。
■母親に捨てられた長女が、お金のない中、万引きするシーンは切ない。そして彼女が叫ぶように言った言葉。”大人なんか、大嫌い!”
■岩切が、毎日水をやって育てていた向日葵の花束を持って妻に会いに行くも息子からは敬遠され、海に行こうと言っても断られるシーンも切ない。
ー けれど、このシーンがラスト心潤うシーンに変わるのである。-
■何かが壊れた岩切が、”停水”の道具を壊し公園中に水を撒くシーン。
ー 虹が切ない・・。-
<警察に拘留され、水道局の上司から辞職を求められ、応じる岩切。
だが、彼の表情は何故か吹っ切れたように爽やかだ。
母親に捨てられた、施設に入所する事になった娘達からの絵手紙。
そして、息子から掛かってきた電話”海に行こうよ!”
今作のラストはやや心潤された作品でもある。>
子供たちを悲しませないでください
親の身勝手で子どもが悲しみにくれる姿は傷ましいかぎりです。子役姉妹の名演技に感涙です。
公共料金の未納に関しては許されるものではありません。まずは公共料金と税金を払ってから生活を送るのが国民の義務。情けないです。特に払ってやるよと言わんばかりに紙幣を握りつぶして落とすなど言語道断。こんな輩がいたら即タイホ?すべき。
全体的にスッキリしない展開ですが社会問題を浮き彫りにした作品としては水道局を視点にした点で新しいと思いました。
63
考えさせられる現実と白石マジック
今年の邦画作品では、現時点だがまずベスト作品だろう。日本社会の問題を場面ごとに散りばめつつ、幼い姉妹との交流をもとに生きるとは何か改めて考えさせられた作品。監督でおなじみの白石氏が、今度はプロデュース。白石マジックを見せつけられた作品。その特徴が俳優生田斗真の平凡な前橋市水道局役での演技。彼の演技も素晴らしかった。ストーリーも文句なしだし、姉妹の母親役の門脇麦の演技も見事。姉妹の子役の演技は素晴らしかった。現時点では今年の邦画作品ではベスト作品。
中々本質を突いた映画でしたね
現実にあり得る社会問題に迫った映画でしたね。
しかしながら子供には罪はなく、子供を産んだからには親の責任は逃れられません。
子育てを放棄する親が居ることは確実で、そこを本気で考えなければならないと思います。
子役を含めてキャストは最高だと感じました。
白石和彌のDNA
スーパーの駐車場に置き去りにされたアラン様(磯村くん)の立ちつくす姿が可愛すぎる(笑)
暴力もセックスも殺人も無いのにスクリーンから感じられる『白石和彌』感。
高橋監督の仕事ぶりが見事です。
ぷっつんした生田くんに溶け込んでいく子供達が絶妙かなと。
100分の尺もラストの落とし方も観やすくて好き。
恵子役の山崎七海ちゃん。
『祈りの幕が下りる時』の桜田ひよりの匂いがする…
お姉ちゃんが健気すぎた
渇いた町で未納者の水道を止めていく岩切
その心は町のように渇いているけど
ある姉妹に会ってからその変化に心揺さぶられて、こっちの心が潤った気がした😭
舞台挨拶で生田斗真くんが言ってたけど
この映画はあの姉妹を観て欲しい
自分だったら即座に泣いちゃう状況でも
泣かずに毅然とお姉ちゃんであり続けて
振る舞う姿がとても健気😢
終盤に妹に放った台詞が刺さり過ぎて
『水道局員さんこちらの涙腺から
締めてください😭』ってなった
キレるのが良いのか?悪いのか?
試写会にて鑑賞。派手さはないけど面白かった。
役者の力で見せるという感じ。
生田斗真は覇気のない、他人に関心のない水道局員の雰囲気がよく出ていた。磯村優斗はお気軽な若者だけど言ってることは真っ当な兄ちゃんでその自然な演技がとても良かった。色んな役を演じられる人だと感心。子役の山﨑夏美ちゃんは大人の本心を見透かすような目の演技が印象的。人間には、何かにつき動かされる瞬間があるのだな。それをキレるという言葉で表すこともあるけれど。その行動が良い方向に向かうか?悪い方向に向かうかは、その判断はなかなか難しい。原作とは異なるエンディングとのことだけど、原作どおりでも見てみたかった。
長女よ、長子を頑張り過ぎないで
映画には水がないのに、観てる人は涙で目が潤う映画。
水辺に沿って文明と繁栄があったように、水の力はすごい。
生きる上で必須の水がないという、あって当たり前のものがない恐ろしさよ。
長女がとてもとても長子でしんどい。
助けてと言えなくて、周りが助けられようもないくらいの状況になってから、本当はこうだったと心の叫びを初めて口にするのが長子あるあるに思う。
長女が精一杯お姉ちゃんになっているのをみるととても心が痛くなった。(もちろん人によると思うけど)
希望の光が差したように思うけど、あれは解釈が観る人によるのかな。
水道料金の回収で家庭環境が透けて見えるということを学んだわ。みんなみんな幸せになってほしい。
早く児相に通告してくれぇ!
トークイベント付き試写会にご招待頂きました。
原作は未読。
本作はPG12指定されていますが、画的には過激な描写はないです。ですが、さらっと残酷。
主人公は水道局員。水道代金を支払わない家庭の水道を止めるのがお仕事。水道は電気と違い止まると命に関わる可能性があるため、電気より停止までの猶予期間が長く設定されている。そんな水道を止めるということは死刑宣告と同じ。
毒親育ちの主人公はどこか渇いていて家庭をもっても上手く馴染めずにいたが、とある母子家庭の親子と出会い変わっていく。
全体として印象に残ったのは役者さんたちの演技。皆それぞれ自分の役割をばっちりこなしていて安心感があった。特に子役の子達の演技が光っていました。
役者さんたちの演技が良い分もっと観たいと思ってしまうが、ちょっと出てきては消えていくので消化不良気味に。
その割に100分というそれほど長くない上映時間が長いと感じてしまったので、配分にやや難あり?
現実的に結構残酷な場面もあるが、登場人物が皆さっぱりとしているからかそこまで残酷に見えない。でも、そのさっぱりが説明不足というか、映画の中に入りきれない原因にもなっているのかなとも感じた。
トークイベントで知ったのですが、原作から時代を合わせるためにちょこちょこと改編が加えられているようです。特にラストはガラッと変わっているそうで原作も読んでみたくなりました。
しかし改編が加えられているからか少しチグハグ感も感じました。人々の考え方や暮らし、ファッションがモロ昭和なのに現代のものが出てきて、昭和と現代が混在しているような落ち着かない感じ。
この話を現代に合わせるのは難しかったのかなとも思いますが、現代に変えたからこそラストは救いのあるものになりえたのでその点は良かったです。
孤独を抱えた水道局員と たった二人取り残された幼い姉妹。 給水制限...
孤独を抱えた水道局員と
たった二人取り残された幼い姉妹。
給水制限の夏、一件の<停水執行>が
波乱に満ちた人間模様を紡ぎだし
現代社会に真の絆を問う
河林満による幻の名篇「渇水」
刊行から30年の時を経て初の映画化
悪質な滞納者…
非情にならざるを得ない。
正直に生きてる人が大半な世の中
だんだんと腹が立ってきた
門脇麦演じる母親の身勝手さを
許せない気持ちになるが
子供たちに罪はない
給水停止とともに
心も枯れていく主人公を
生田斗真が好演
生きるとは
脳裏には8/31が。溜まりに溜まった宿題の数々。人によってそれの向き合い方は様々。追い込み型で良いはずは…。どんよりとした気持ち。やり遂げれば清々しく。でも9/1への狭間で抗う自分。何だかそんな燦々と、憂鬱な夏休みを懐古して。人生は制約ばかり。それでも渇水みた いに歩みを謳歌したいと。
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