「弱者に寄りそいながらも、感情だけでは解決できない問題」渇水 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
弱者に寄りそいながらも、感情だけでは解決できない問題
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原作未読ながら、おそらく「弱者に寄りそう」作品だったように思う。
原作から著作権者の了解のうえ、ラストを変更したらしい。
映画だと、寄り添っているものの、ただの「お気持ち」と「感情の爆発」でしかない。
理性的に考えたら親のネグレクト(育児放棄)案件に、大人が出くわしてしまった場合、警察から児童相談所への通報案件なわけで。
主人公・岩切の中に小さく少しずつ積み重なっていくストレスや罪悪感を一切表現せず、ある日突然「切れる」という見せ方は、創作の物語としては不親切で悪手。
さらに、そこで子どもを連れ回してしまっては社会人としてアウトなわけだが。
一見冷たいようだが柴田理恵演じるおばさんのように通報が一番親切で現実的対応であろう(子供を「かわいそう」と勝手に決めつけるのには嫌悪感があるが)。
短い時間の映画の中で、なんとなく盛り上げて終わらせるのに安易に「切れた」ようにまとめたようにも感じた。
しかし、リアリティとしては「たしかにそう」と頷くものだった。
そこに理屈も何もない、予測不能な爆発。
理性がプツンと切れる「衝動性」に納得してしまったわけだ。
でも、人間ってそういうところあるよね、そうじゃないと世の中に外野から見たら「こんなにバカな理屈に合わない事件」って多く起きてないよね、などとも思ったり。
なんか、真面目そうな生田斗真なら、我慢して平然と過ごしておきながら、ある日キレそうって、外見的な説得力があってこそだけど。
どこが違うのか、原作を読んでみたくなった。
姉・恵子を演じた山﨑七海という子役の上手さ、表情の豊かさに惹きつけられました。
今後に注目していきたい。
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