金の糸

劇場公開日:

金の糸

解説

ジョージア映画界を代表する女性監督ラナ・ゴゴベリゼ監督が、日本の陶器の修復技法「金継ぎ」に着想を得て、過去との和解をテーマに描いた人間ドラマ。ジョージア・トビリシの旧市街の片隅にある古い家で娘夫婦と暮らす作家のエレネは、79歳の誕生日を迎えたが、そのことを家族の誰もが忘れていた。娘は姑のミランダにアルツハイマーの症状が出始めたため、この家に引っ越させて、一緒に暮らすという。ミランダは、ジョージアのソビエト時代に政府の高官だった女性だ。そんなエレネの誕生日に、かつての恋人アルチルから数十年ぶりに電話がかかってくるが……。

2019年製作/91分/G/ジョージア・フランス合作
原題:Okros dzapi
配給:ムヴィオラ
劇場公開日:2022年2月26日

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(C)3003 film production, 2019

映画レビュー

4.0日本人が数世紀も前に壊れた器を金で繋ぎ合わせるように、金の糸で過去...

2023年2月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

日本人が数世紀も前に壊れた器を金で繋ぎ合わせるように、金の糸で過去を繋ぎ合わせるならば、過去は、そのもっとも痛ましいものでさえ、財産になるでしょう。 ─ラナ・ゴゴベリゼ監督

女性作家エレネとその人生に関わった人々の過去、 そしてソヴィエト連邦下の記憶。
伝説的な女性監督 #ラナゴゴベリゼ が91歳にして、 日本の“金継ぎ”に着想を得て描いた過去との和解の物語。
#トビリシ という古都へのラブレター。

かつてグルジアと呼ばれていたジョージアの首都、トビリシ。
旧市街の古い石畳から一歩中に入ると、中庭をかこむように古い木造の集合住宅がある。
住人たちは中庭を囲んでいまだ人情を感じさせる付き合いをしている。
そこに主人公エレネの家がある。

力にもなる忘れられない思い出
老いること
執着を手放し
受け入れる
誰もが行く道
劇中の景色·会話·音楽は美しく
遠い記憶を呼び起こすような
心に残る素敵な作品でし

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lily

4.0老いと愛と建物と出会い

2022年4月12日
iPhoneアプリから投稿

岩波ホールがいよいよラスト間近ということで、このシアターの赤い椅子で見るだけでも映画に付加価値がつく

ジョージア、旧ソ連の影をさまざまに背負う人生の終盤。
失われた時を求めて。
求めても戻ることはないがそれでも手に入ることもあるのだ、と最後幻想のタンゴを踊る。

中庭がある集合住宅。どこかアジア的で完璧なプライバシーがない空間。喧嘩も丸見え。住民は皆知り合いで世代を超えた大声での呼びかけたり、そっと見守ったり、目配せもある。そこで人は出会い育ち気配を感じ、人生の軌跡を残す。

電話でやりとりする古い恋人。さまざまな感情の往来があるが、わたしたち、という一言が全てを拾い繋げ、人生最後のひとときに、失われた時が失われていないと感情溢れる。
つらい母のシベリア強制収容も、権力を持っていたものとの確執も、自分を重ね祈るように慈しむひ孫の未来さえも繋がることができる。

衝撃的なパンの人形、極寒シベリアに佇む絶望の母子たち

パステルナークの詩、路上のタンゴ、バルコニーの植物、幼い子の詩の朗読や歌声、赤い髪、ブロンドの元官僚老女の歩き方彷徨い、、

心に残る作品。そしてこれはまさに岩波ホール向けの作品。

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redir

3.0壊れてしまった人生を継いでいく

2022年3月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

主人公エレネのゴージャスな赤毛にハッとする。失われた時はこの映画の大切なテーマだ。

室内のシーンが多く、アパートの住人を中庭越しに観察したりされたり、舞台のような感じ。

旧ソ連の国ではまだまだ社会主義の時代の傷が、生々しい世代が高齢とは言え残っている。
この映画の最も高齢の世代には、加害者と被害者がいる。その子どもたちは被害者だけ。その孫はやっとその意識から脱したけれど故郷への帰属意識は薄いかもしれない。まだ子どものエレナはどんな風に育つのかな?

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Momoko

4.0事前予習かパンフレット必須レベル。かなりの難易度。

2022年3月19日
PCから投稿

今年79本目(合計352本目/今月(2022年3月度)21本目)。
大阪市では2週間遅れで個人的に公式サイトでは今週は本命枠に入れていました。

…が、かなり理解が難しい問題です。主人公といえるのは高齢者の方で、今のジョージア(グルジア)と、彼女・彼らが青春時代を暮らした時とでは国の体制自体が異なるからです。
このため、「金の糸」(日本の文化の一つ)も、映画内では2か所(実際に「日本からの文化」としての紹介と、「相互理解と修復」という観念で登場)だけで、ほかは何ら登場しないところです。

 明確に政治思想としてあると思えるのは他の方も書かれている通りの「出したかった小説?を発禁処分にされた」という部分(日本では、表現の自由や検閲の禁止が該当)で、ほかはほとんど見当たらない状況です。実際、高齢者の方が主人公ですが、若い時は違う体制の中で生きてきたという事情もあるため、かなり共産主義的な発言が多く、完全に理解しきるのは、もう相当、ジョージア(グルジア)の歴史などに精通していないと無理ではないか…と思います。

 さらに環をかけて混乱させるのが登場人物の妙な多さで、「名前だけは登場するが、出てくるように思えない」人が相当います(リザ(リーザ)さん(おそらく女性?)など)。セリフ的に登場人物は多めのように見えますが、実は「セリフ内に言われるだけで出てこない人物」はかなりいます。

 一般的に高校世界史では現代史になるようなこのこと(グルジア(ジョージア)とロシアの関係)は扱わず、一般知識扱いになるかと思いますが、相当な知識がないと厳しいです(何を言わんとするのかわからない点が多数登場する上に、辛うじてわかる主張点が小説?の発禁処分ということ)。

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 ▼ (減点0.8)
  かなりの部分、やはり字幕がわからなかったり、何を意味するのか分かりづらい点がかなり多いです。「金の糸」も2回しか登場せず、大半が共産主義がどうだのテニスがどうだの(テニスはそこそこ出る)、そこに「名前だけ登場する人がセリフ内に登場する」ため、何が何か大混乱を招きます。

 先週の「メモリア」等は、「セリフがなさすぎてどうにでも解釈できてしまう」というパターンでしたが、こちらは「セリフが多すぎ、かなりの前提知識を要求する」というタイプで、両極端です(大阪市では今、これを2つ同じ映画館でやっているのです)。

 おそらくはパンフ購入前提か、数回観るのが前提かな…という気がしますが、1度目で見て復習して2回目見に行くかどうか…は微妙なところかなと思います(鑑賞代として。ただ、映画内では不快にするような発言・表現はないため、そこだけは救い)。
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yukispica
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