HOMESTAY(ホームステイ)のレビュー・感想・評価
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八木莉可子と安藤ニコ、次世代ヒロインのショーケースとしても
森絵都が1998年に発表した小説「カラフル」の、実に3度目の実写映画化だそう。さらに原恵一監督によるアニメ映画もあった。20年ちょっとで4度も映画化されるほどに、この死後の霊魂の存在や輪廻転生に関連のあるストーリーが広く好まれ、また映像作家たちを刺激しているということなのだろう。たまたま今クール(2022年1~3月期)のドラマでも、故人の魂が生きている人の体に入る「妻、小学生になる」と、主人公の青年と祖母の意識が入れ替わる「ダメな男じゃダメですか?」の2本が、近い題材を扱っている。現世における肉体はかりそめの器(うつわ)であり、中身の魂と不可分なものではないという仏教的人間観が、日本では信仰を超えてある種の社会通念として広く受け入れられていることが、そうした題材が好まれる背景にあるのかもしれない(「カラフル」の海外リメイクが仏教国のタイで作られたのも、そうした人間観を受け入れやすい土壌があるからではないかと推察する)。
今回の「HOMESTAY(ホームステイ)」がこれまでの映画化と大きく異なるのは、監督に瀬田なつき、共同脚本に菅野友恵と、女性による視点と感性が加味されたことだろう(過去の3本はいずれも男性の監督)。小林真の体にホームステイすることになったシロが死の真相を探る本筋に、幼なじみの晶(山田杏奈)、真が憧れていた先輩・美月(八木莉可子)らの言動や秘めた思いが効果的にからんでくる。
山田杏奈はすでにメジャーな女優の仲間入りを果たしたと言えるのではなかろうか。彼女を最初に認識したのはテレビドラマ版「セトウツミ」の7話だった(今Wikipediaを確認したら、ドラマの監督陣にも瀬田なつきの名があった)。瀬田監督は「ジオラマボーイ・パノラマガール」のヒロインにも山田を起用していたし、相性がいいのだろう。
八木莉可子と、美月の友達を演じた安藤ニコ、2人の若手のフレッシュな魅力もよかった。特に安藤については本作で初めて知り、出演したドラマ「失恋めし」をプライムビデオで観て、コメディエンヌのポテンシャルも感じた。彼女らが主要人物を演じる作品が今後増えることを大いに期待する。
テレビのCMでそうめんばかり食べている女の子が 八木莉可子という名前なのを この映画で知った。
動画配信で映画「HOMESTAY(ホームステイ)」を見た。
2022年製作/112分/日本
配信:Amazon Prime Video
配信開始日:2022年2月11日
長尾謙杜
山田杏奈
八木莉可子
望月歩
眞島秀和
渋川清彦
阿川佐和子
篠井英介
渡辺大知
濱田岳
石田ひかり
佐々木蔵之介
森絵都とういう女性が原作。
この人のことは今まで知らなかった。
森絵都は、日本の東京都出身の小説家。
日本ペンクラブ常務理事。
児童文学『リズム』でデビュー。
繊細な心理描写で幅広い読者層を獲得し、
『風に舞い上がるビニールシート』で直木賞受賞。
作品に『カラフル』、『永遠の出口』、『みかづき』など。
ウィキペディア
この映画の原作の小説である「カラフル」
は今まで4回映画化されている。
「カラフル」(2000年、田中聖主演)
「カラフル」(2010年の劇場アニメ)
「ホームステイ ボクと僕の100日間」(タイランド2018年)
「HOMESTAY(ホームステイ)」(2022年)
一度死んだ「シロ」は、管理人に「抽選にあたりました!」と言われ、
「前世の過ちを償う」ために下界で誰かの体に乗り移って過ごす
「ホームステイの修行」をおこなうこととなる。
「シロ」の魂は小林真(長尾謙杜)という中学3年生の少年に乗り移り、
「修行」が始まった。
小林真は自殺を試みて死亡宣告を受けた直後で、
蘇ったことに家族は驚き喜んだ。
真は幼なじみの晶(山田杏奈)や
先輩の美月(八木莉可子)らとの
楽しい学園生活をはじめたかのように見えた。
しかし、父親(佐々木蔵之介)の進学希望先への無理解、
母親(石田ひかり)の不倫などを目の当たりにし、
苦悩する。
そのせいで、家族や幼なじみや先輩につらく当たってしまう。
一度死んだ「シロ」はまた死にたくなってしまう。
小説の世界観を2時間弱の映画に表現するのは
なかなか難しい作業だろうと感じた。
テレビのCMでそうめんばかり食べている女の子が
八木莉可子という名前なのを
この映画で知った。
満足度は5点満点で3点☆☆☆です。
カラフル
観てよかった想像を遥かに超えていた。
原作の「カラフル」は未読でこの作品を鑑賞しました。突然手術のシーンであり男の子が死にかけの所から始まりそして時が止まる展開と素早い話で驚きでした。予告を観ても尚どう言った話になるんだろうと思って居ましたが、こうゆうお話は昔に小説に読んだ「陽気な死体は僕の知らない空を見ていた」の話と似ていて(こりゃ面白いな」と思いました。他人の死をその他者が介入し死の真相を解明する。そこには、並々ならぬ理由と闇が存在する。介入した者でさえ精神がおかしくなってしまうだなと感じた。設定が面白く感動する魅力には、もう1つの要因があると私は思う。それは、キャストだ。
主人公を演じた長尾謙杜君は、なにわ男子のメンバーで俳優業もしていて自分の中では、「俺のスカートどこいった」で出ていた時の演技とは、また一皮剥けていて上手でした。次に幼なじみのあきら役をした山田杏奈さんは、表情の起伏が激しく表現されていて可愛くもあり寂しそうな顔をするのは、上手だなと思いました。今後の活躍あれば応援したいです。美月先輩役の八木莉可子さんも可愛いただただ可愛い。そしてやっと認知されてきた同性愛と言う難しい役を上手く演じていて凄かったです。そして1番の驚きは、みつる役の望月歩君この子の印象は、「アンナチュラル」での話で出た高校生役で演じられており凄く上手だったので今回も観れて良かったです。兄として死にかけた弟とどう接するかそして自分は、どう会話してあげれば良いか苦難を乗り越えた兄という難しい役に上手く演じられて居たなと思いました。皆さん若いのに上手だった所が作品をより良いものにしたんだと思います。
ですが、大物の俳優・女優が更に味を引き立てていたなでした。管理人役で出た濱田岳の安心した演技母役の石田ひかりさんも気弱な母を上手く演じ父役の佐々木蔵之介さんは、渋い渋すぎる所が厳格な父親を上手く出していたなと感じました。
やはりキャストが良いと作品の指揮がより上がりますよね。
作品の感想を言うと、この世を生きる者に無色透明生きる意味必要とされない人間居ないと言う事をこの作品は、教えてくれます。誰だって誰かを必要として生きている。そう感じました。小林真が感じた孤独感もシロが感じた人間の表面上の顔全てが上手く綺麗に描かれていて凄いなと感じました。
普通にお涙ちょうだいだけの映画では無く現実の世界で起こりうる事だなと考えさせてくれる映画でした。Amazonプライムだけでなく円盤化しないかなぁ〜って思います。ありがとうございました。
小林真に会いたくなりました
想像していたよりも余韻の凄い映画です。
冒頭の家族の不気味さや、居心地の悪そうな学校何かを隠していそうなマドンナなど主人公視点で見る登場人物は
主人公のことを全く見てあげない、主人公に対して興味のない人達です。
しかし視点が変われば、
周りのことを見れず、他人に興味を持たず自分のことしか考えていないのは主人公だったんだということが分かります。
その事に気づくまでの間、主人公視点で映る登場人物達を悪者に見せ続け、次から次へと悪い情報を流していき
負の感情が爆発しきったところで、主人公の周りの見れなさに気づかされます。
この流れはありがちかもしれないですけど、見ていて凄く楽しかったです。
物語の終盤まで生前の主人公がどのような人物だったのかは分からないままなので
明るく振る舞う主人公(魂が乗り移った)に対しての周囲の反応から生前の様子を想像するしかありません。
終盤あたりから真っ黒なスケッチブックや、遺書、生前の辛い体験などが判明します。
なので、物語の最後に幼なじみとの花火大会で笑顔の主人公を見ると胸が締め付けられどんどん主人公が愛おしくなっていきます。
もう物語は終わってしまうけど、生前の小林真くんがどんな子だったのかもっと知りたかったなという感情に襲われます。これが余韻が凄い一因なのかなって思います。
最後にですが、長尾謙杜くんの顔が本当に良かったです。
どれだけ暗くて冴えなくて運動神経が悪くても、顔があれだけかっこいいなら付き合いたいです。
広島なのになんでノエスタ!?
若手陣の初々しくも逞しいお芝居と美しい世界観
この作品は山田杏奈さん、八木莉可子さんと注目の若手演技派女優さんが出演で気になっていた作品です。
主演の長尾謙杜さんのお芝居は初めて拝見しましたが、本当の小林真という人間がどのようなキャラクターなのか分からない前提でストーリーが進んでいくので、その中で戸惑いや感情の不器用さを全面に出すお芝居はとてもお上手だと思いました。
真はなぜ死んだのか。
人は皆悩みを抱えていて、その悩みの重さは人それぞれ違うし、自分を否定されることは何よりの悲しみだと思います。
受け入れてもらえない悲しさや悔しさ、自分の信じていた人に裏切られたという感情から自暴自棄になり、シロと真の感情はシンクロしていきます。やがてシロは生前の真と同じ行動を取る。
真は生前自分の周りを取り巻く環境の残酷さに気付き服毒自殺を図ったのだった。
シロは真が自殺した理由を「真に気付いてやれなかった全員が真を自殺に追い込んだんだ」と管理人に答えるが、砂時計は止まらずお手つき2回目で残りの回答数は1回。そして期限は8日のみとなった。
しかしやがてシロは周りの人達の真に対する本当の思い、そして苦しんでいたのは真だけではなかったこと、周りの人達の心の痛みにも触れていき、自分からぶつかっていかなければ何も解決しないことに気付かされます。
管理人を探し出したシロは、自分は転生できなくていいから真に体を返してやってほしいとたのみます。すると管理人は希望を叶える代わりに「明日までにお前が前世で犯した過ちを思い出せ」と問題を追加します。
シロはホームステイのタイムリミットが近づき苦しみ倒れながら「俺の過ちが分かった。真は俺のせいで死んだ。俺が俺を殺したんだ。俺が真だ」そう言って砂時計は終了を迎えます。
目を開けると目の前に現れた管理人が「おめでとう、シロ」と手を差し伸べます。
真は正解へと辿り着いたのでした。
この作品、予想以上の感動作でした。
そして映像美が素晴らしかったです。
濱田岳さんのコミカルなお芝居も素敵でしたが、個人的には真の兄満役の望月歩さんのお芝居にグッときました。
原作とは少し違うがいい
今風にリメイクされていて広い年代に見やすいと思いました。
今の時代に考えさせられる話でした。
出演者の顔がよく、青春や葛藤があって見たあとの心の軽さはよかったと思います。
おすすめです。
以下は気になったところです。
ネタバレあり。
アニメの方がかなり忠実だったと思います。
原作ファンなので、原作とストーリーは全然違います。
原作はもっと鬱っぽく周りの例えばキーパーソンである主人公が好きな部活の後輩や父親の別の部分が嫌いで、眼中に入っていないクラスメイトは可愛くないうざい設定、母親は仮面を被っていて嫌悪感がある存在だった。
その設定があってのもので、可愛い幼なじみがいる時点で勝ち組で、目を覚ました時に学校に行かなければならないことと、受験を控えていること、迎えに来る友達がいないといって落ち込んでいたという深刻さはなかった。
プラプラという案内役は常に一人で、彼に時に叱咤激励されて最後に別れを惜しむ感動のシーンのはずが、演出上は多数の人間に化けていて別れが悲しくない。
また、最後のクライマックスもそもそも「自分の前世の過ちは何か」を探すためのホームステイだったはずで、自分と向き合うはずが「小林真(知らない人)は何故死んだか」を探す為のホームステイになっていた。
全く別物としてリメイク版ならとても良かったと思います。
人って複雑だな
若々しさに溢れていました
泣けた
予備知識なく
なんとなく気になって観てました。
プライムビデオオリジナルなんですね。
主人公の男の子、友達、憧れの先輩、みんなフレッシュでかわいらしい。
何か隠している家族、どうして自殺したのか?シロって誰?少しずつ答えに近づいてて、結果自分を見つめ直す。
高校生にはありそうな日常。ちょっとしたことで、めちゃくちゃ嬉しくなったり、ほんの些細なことで死にたくなるほど悲しくなったり。そんな事を繰り返して、大人になるんだよね。
若い人に見てほしいですね!
自分の人生を大切にしたくなる
アマゾン待望の初邦画、関連作を知らないのが吉かも
関連作未見。色々と不安は抱えていたけど、やっぱり瀬田なつき監督のカラーがきちんと出ていて良かった。脚本は異なるだけに、気になるところはあるが、色味がとにかく好みだった。
アマゾン待望の初制作映画。ドラマで培ったノウハウと、ネトフリの対抗馬の様な構図に拍車をかけてきた訳だが、ここで瀬田なつき監督を起用とは。なかなか良い人選だ。しかし、意外とTwitter等では賛否あったので一抹の不安は抱えていた。何せ脚本が違うし、リメイクも多い。だが、逆に関連作を観ていないことが幸いしたのか、普通に楽しめた。凄くカラーは出ているし、画のお洒落さは「カラフル」と例えて良いだろう。このワクワク感が溢れる演出がやはり好きだ。
作品の内容は、凄く思春期の危うさを纏っていて、その中に謎が置かれているようで、引き込まれる。題材のセリフの言う通り、カットごとに持つ色が絶妙に違っていて、その多彩が心を躍らせる。
その一方で、脚本の古臭さも漂ってくる。原作に年季が入っているとはいえ、いじめ描写や個々の心理など、時代に則していない描き方をしている。よって、どこかステレオタイプに写る。唐突までは行かないものの、時々漂う曖昧さが作品の体幹の弱さになっているような気がする。
キャストはホントに地盤が固い。主演の長尾謙杜さんははじめましてだったが、次第に馴染んでいったし、風貌の変わり様が見事。そして、山田杏奈さんの使い方もバシッと決まっている。作品ごとにまるでオーラが変わる彼女だが、本作も他とは被らない。八木莉可子さんも凛としていて、先輩の存在感を感じる。そうした"若者の引き立て"が上手いのも、瀬田なつき監督の良いところ。望月歩さんもさすが。強いて言えば、管理人の使い方は気になる所。あのフワフワ感が作品の締まりを悪くしてしまった気がする。
懸念していたほど、監督らしさは消えていなかったし、寧ろ上手く混ざっていたと思う。また、抜かりないディティールは予算の厚みを少し感じる。アマゾンの船出はいかに。改めて、好きなときに好きな場所で観られる、サブスクリプションの利便性を感じた。アマゾンの次回作も期待。
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