劇場公開日 2022年2月18日

「色々と惜しい」アンチャーテッド アラカンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0色々と惜しい

2022年2月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

字幕版を鑑賞。“uncharted” とは「未知の」という意味である。PS3 と 4 用にシリーズ化されたアドベンチャーゲームの映画化だそうだが、ゲームの方は未経験である。数々の謎を解いて隠された財宝を手に入れるという作りで、インディ・ジョーンズやトレジャー・ハンターやトゥーム・レイダーといったテイストの映画であった。

登場人物は行方不明の兄を探す弟と協力を申し出る探検家の他に、宝探しのライバルや正体不明の協力者など多彩である。協力者は重要な場面で活躍するが、最後までパッとしない役どころだった。ゲームでは様々な謎解きが面白いのだろうが、映画では先を急ぐので、謎解きを楽しむ趣向はほぼ皆無である。これは「ダ・ヴィンチ・コード」などでも同じで、原作の一番面白いところがスルーされてしまうのは寂しいものである。

宝探しの映画の特徴としてもう一つ共通しているのは、金持ちでないと探しに行けないというところである。特殊な装備が必要な上に、世界を跨いで移動する必要がある。本作では鍵となるアイテムがオークションに出されて、まずそれを手に入れなければ話にならないという設定になっている。ただ、黄金の宝物は重量が非常に大きく、例え発見できても運搬をどうするのかが大きな問題である。

本作では宝物は大航海時代の帆船に積まれたスパイスの樽に入れられて小分けにされているという話だったが、その樽をたった2つぶちまけるだけで全体を想像しろというのは、視覚的な映画という媒体でどうなのかと非常に不満を感じさせられた。そもそも、重量のあるお宝を満載した帆船を持ち上げるなどというのは、ゴジラやキングコングを持ち上げるのと大差ない話であるので、あんな方法ではリアリティを失うばかりである。

初対面の登場人物ばかりが互いに相手を信用しろなどというのはそもそも現実的ではない。宝探しに裏切りは付き物だからである。信じるというならそれなりの根拠を示すべきであるのに、そうした工夫は見られなかったのが物足りなかった。登場人物のキャラ立ちもインディ・ジョーンズなどに比べると弱いのが否めず、続編が作られたとしてもこの関係が引き摺られるのでは、同じことの繰り返しになってしまうような気がした。

見た目は非常に良く出来ているのに、現実性などを疎かにしたためにお伽話のようなテイストが抜けなかったように思われた。シリーズ化するならキャラ立ちと物理的な表現にもうちょっと気を使って欲しいものだと思った。
(映像5+脚本4+役者3+音楽4+演出4)×4= 80 点

アラカン