やがて海へと届くのレビュー・感想・評価
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二人の女優さんが超綺麗で胸がいっぱいになる美しい作品
二人の女優さんと海が主役の美しい映画。
絶対に映画館のスクリーンで観るべき作品。
流れる時間も映像も音も映画館のためのもの。
題名にふさわしく海の映像が素晴らしい。
いろんな表情を見せる海。
海は人間を遥かに超えた永遠の存在であり、みな最後は海に帰っていくのだという感じ。
海辺にいい感じで風が吹いてて、浜辺美波さんの髪が海の風に揺れてるのがとても美しい。
初めて観た女優さんだけれど、もう名前がこの映画にぴったり(笑)だし、すごく綺麗で素晴らしい女優さん。いろいろ微妙な表情の変化と今この年頃でしか出せない眩しい輝き。
とにかく本作のいちばんの魅力はなんと言っても主演の二人の女優さん。
岸井ゆきのさんも浜辺美波さんも役になりきって役を生きていて素晴らしい。
二人のツーショットが美しすぎてすごい尊みを感じる。
二人それぞれに想いを語るスタイルの原作小説をベースにしながら、本作では魅力的な俳優さんたちの演技とか、様々な表情を見せる海の情景とか、ビデオカメラがお守りになっているようなすみれのキャラ設定とか、大震災の被災者の方々のインタビューシーンといった映画向けのアレンジも含めて映画ならではの独自の表現が物語の魅力を増していると思った。
なんと言っても原作より主役の二人がイキイキと生きている感じがするのがすごく良い。役への愛を感じるし。
特に作中のビデオカメラとか留守番電話の使い方が印象的。
声とは、きっと写真よりもずっと生々しくその持ち主のことを思い出させてしまうものではないか。
もう絶対に会うことがかなわない人がいて、でもその人の声はビデオや留守番電話に残っていて声が聞けるという状況では、なかなかその人のことを忘れられないし、その人がこの世界にもう存在しないこと自体もなかなか信じられないだろう。
この映画観ながらそんなことを感じた。
本作はこれまでの中川監督のいろんな作品がこだまのように響きながら、更にいろんな新たなチャレンジを重ねてる意欲作だと思う。
量産型の映画に比べるとかなり実験的要素があるし明るい内容の作品ではないので賛否両論分かれると思うけれど、僕は観てて楽しかったしスターシステムの映画を無難にまとめずにけっこう攻めてるのがすごいなと思った。
浜辺美波さんが美しすぎて心を奪われてしまうので彼女とのデートで行くには危険かもしれないけどw、美しくて素晴らしい作品だと思う。
音楽のような映画
過ぎ去った昔の友人に無性に会いたくなる
観終わってすぐ、アニメーションの美しさと、岸井ゆきの演じる真奈の演技に圧倒されて言葉が出なかった。
浜辺美波の周りには、既にあの世に行っているかのような、怖さにも近い透明感が常に漂う。
帰り道にふと、学生時代のサークルの仲間に会いたくなった。
真奈にとってすみれは、(物理的にも)絶対に帰ってこない存在となり、彼女はその事実と向き合った。
初めはその事に感動していたけれど、自分にも(物理的には会えるけど)もう会わなくなってしまった、会うことをやめてしまった恋人や友達がたくさんいる事に気が付いた。
それは悲しい事なのかもしれないけれど、彼ら彼女らがいて、今の私がいる。
真奈のように、大きな暴力に友人を奪われた訳ではないけれど、社会人になって一人でやっているつもりだった自分も、これまで過ごして来た人との時間や、これから
過ごす人との時間という、大きな世界の中に包まれて生きているのだと思い直す。
だから、会ったところで今更何にもならないかもしれないけれど、あの頃の友達とまた時間を過ごしたいと強く思った。
30歳の今、とても大切な作品になりました。
エモーショナルなドラマがありながら、非常に表象的な映画
行間を読んで感じる作品
俯瞰の愛に包まれる
なんでもないときに、ふと、ずっと会っていない友達のことを思い出す瞬間がありますよね?
何かを見たり聞いたりして思い出したのではなくて、自分でもなぜこのタイミングで思い出したのかわからないけれど、フッとイメージが現れたとしか言いようのない瞬間。
そんな不思議な瞬間、実は相手も自分の事を思い出しているんですって。
遠く離れていても、オンサのように共鳴し合っているってことですかね?お互いに響き合っているのだとしたら素敵ですよね。
私もあなたのことを思い出しているよ。
では、もっとずっとずっと遠く離れてしまって二度と会えない人とも響きあえる?
私が思っている時、あの人も私のことを思ってくれているの?
ものすごい俯瞰で捉えたところに、その答えがありました。
どちらの目線だか分からなくなる瞬間があります。
もしかしたら一人の人物だったのかも?と思える程。
自分が見ているようで実は見られているような感覚だったり。
不自然に感じる違和感は全てテーマに繋がってますので、あちらこちらに散りばめられた違和感を安心して拾っていってください。笑
しんのすけさんのトークは『はじまりのうた』の上映会以来でしたが、映画愛にあふれる監督への質問のお陰で作品への理解が深まり、「あぁ。あの違和感は感じて良かった違和感だったのだ。」と思えました。
左手の握手って、確か別れの握手ですよね?その事についても聞いてほしかったです。
『愛がなんだ』に続き視点人物となる主人公に共感性抜群な岸井ゆきのをキャスティングした時点で勝ってる
完璧にホの字、恋してる目で憧れ思い慕う。今回も見事なラウンドキャラクターっぷりで、誰かに恋い焦がれるキャラクターしたら一番じゃないかと思うほど等身大な魅力が、本作を真直ぐな恋愛映画にしていた。
作品前半・周囲の大学生ノリの軽薄な気持ち悪さが分かりやすく伝わってきた分、そこからの主人公2人のパートと会話が時に文学的な堅苦しい気がして、少し鼻についてしまっていた。だけど、車の中ですみれの彼氏・遠野が主人公・真奈に「小谷の中で止まってるんじゃないか」という旨のセリフを言って、真奈が車を降りて歩いているときの逆向き・対向車線から車が二台走り去る象徴的なシーンから、自分の中で一気に惹き込まれた感じがあった。そこからの(流れ的には自然だけど)衝撃展開含む一連のシーンの流れで主人公の気持ちが痛いほど伝わってくるようだった。
まるで海の底みたいな安らぎで僕たちを包んでくれる作品だった --- 行方不明になった友人と探す(?)というような導入部から、本作もいい意味でのミスリード。周囲が亡くなったことにして忘れようとしても自分はいつ(ま)でも彼女がある日突然ふらっと帰ってきたときに揺るがず迎えられる存在でありたいという気持ち。手の届きそうで届かない距離とこみ上げてくる切なさやふとしたときにやってくる哀しみ。一貫した監督の題材。
一方で謎めいた親友役は浜辺美波。主戦場がインディー(あるいはメジャーのサブ)とメジャーの二人が同じ世界で生きて、時を過ごす。私達は人間の片面しか知らない。普通の子じゃなかった…?そして、ネタバラシパート(?)を見たときもう片方の面が見えてくる。例えば『ノマドランド』などのクロエ・ジャオ監督のようにフィクションの中にリアリティというよりリアル現実そのものなドキュメンタリー性を持ち込む語り口。10年以上が経つ中、震災という題材を扱う上での真摯さ。なるほどタイトルの意味にも自分なりに向き合い咀嚼する。深い深い、海よりもまだ深く。
作中、大学キャンパス内での回りトラックや互いの服を着るなど様々な部分で差異を伴う反復が見られるが、特に印象に残ったが作中前半と後半で同じ構図のショットを繰り返すことで終わりが近いことを示唆するようなときの真上からのドローン空撮からの水平線ショット。朝日・朝焼けというのが分かりやすくもいい例えだなと沁み入った。冒頭につながる、帰結していく。生命(せいめい)は廻り巡る。…夢を見てた。
あの日のカメラや窓枠、あなたとの思い出 --- 忘れるんじゃないよ。思いを馳せてはいつか笑顔で見送れるように。"大切な人を失った哀しみからそれでも私/僕たち = 残された人々は前を向いて生きていく"みたいな、傷ついた人達がまた一歩踏み出すまでの再生を描いたドラマは多く、例えば『ドライブ・マイ・カー』なんかもそうだと思う。だけど本作はそうした普遍的題材に時代性も含め新鮮な視点を持ち込んでくれたのではと思った。
劇中、アニメの部分があるけど、実写においても写真・静止画のような画作りな気がした。人物を中心に据えたり、二人をバランスよく配置したり。
P.S. 生きてるとたまに思うのだけど、よくよく考えると"哀しむ(悼む)"って難しいよな。ずっと生きてると髪切りに行ったり、服買いに行ったり、はたまた自分の好きなことしたり、笑ったりしたりすることもあるわけで、それって正しく哀しんでないことになるのかな?四六時中考えてることだけが正解じゃないよな、きっと。むしろ去りし者からしても、大切な人がずっとそうやってるのを見るのは本意じゃないだろうし。…って生きてる人のエゴなんだろうか?なんて色々な考えが水玉・泡みたいに浮かんでは消え、また浮かぶように本作を見ていた。ちょっとしまうだけ、いつかまた取り出すために。あと、杉野遥亮はスーツのイメージ。
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