劇場公開日 2022年9月2日

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「空腹を刺激するもう一つの革命」デリシュ! bionさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0空腹を刺激するもう一つの革命

2022年9月4日
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鑑賞方法:映画館

 フランスの革命と並行するように食の世界でも革新的な事が起きているとは知らなかった。主権が国王から国民に変わり、王侯貴族が独占していた料理を一般市民が楽しめるようになる。歴史好きで、食べることが大好きな自分にとっては、興味津々の物語。

 18世紀当時、貴族に仕える料理人は、料理人というよりは、料理ができる使用人といった扱いで、主人公のマンスロンは、客としてきた貴族の不興をかっただけでクビになってしまう。クビなった事が幸いして、レストランを開くキッカケになるのだが、物語はそう単純ではない。弟子入りを志願してきた謎の女性の登場、旧主である公爵とのしがらみもあって、料理界の転換点はすぐにはやってこない。

 当時の衣装、建物などを含めた美術セットがすばらしいだけでなく、料理が主役となるシーンでは、匂いが漂ってきて、脳内で料理の味を思い浮かべてしまう。最も美味しそうに感じるアングルで、素材を調理する様子が映し出されるため、口の中は涎でいっぱい。

 当然、脚色はあると思うが、私怨、リベンジ、市民革命を織り交ぜながら、徐々にクライマックスに近づいていく物語運びで、感情も昂ります。最後は、空腹を刺激するカタルシスを美味しくいただきました。

bion