劇場公開日 2022年9月23日

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「よって「件」のごとし」LAMB ラム ジュン一さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5よって「件」のごとし

2022年9月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

興奮

日本でも昔から「件」の存在が巷で噂に上る。

人面牛体の妖怪で、生まれると直ぐに死んでしまうのだが、
その際に一つの予言をし、それが必ず当たるとの言い伝え。

それにインスパイアされた
原作『小松左京』/漫画『石ノ森章太郎』で〔くだんのはは〕のような作品もあり。
もっともこちらは、牛の顔に人間の体と、
江戸時代の瓦版に描かれた姿とは真逆なのだが。

山奥に住む羊飼いの夫婦『マリア』と『イングヴァル』が、
ある羊の出産に立ち会うと、
生み落とされたのは、羊でもない、
人でもない異形の生き物。

しかし、嘗て子供を亡くしていた二人は
『アダ』と同じ名前を付け、
その者を育てる決意をする。

授乳期間を終え、二足で歩行し、
言葉も理解するようにもなり、
我が子同然に育った『アダ』を愛しみ、
幸せに満ちた暮らしが続いていた。

中途、突然訪れた、夫の弟が波風を立てたものの、
直ぐに治まり、家族は平和な日常を過ごせるはずだった、が
突然の悲劇が一家を襲う。

我が国でも、牛頭・馬頭の例があるように、
獣頭人体の存在は不吉のサインであるに違ないない。

西洋でも「サタン」の姿が、頭の両の角で描かれるように
羊頭人体は禍々しいものではないのか。

それを夫婦は知っていて、目を塞いでいたのか。

北欧で、獣人説話があるのかは知らないけれど、
本作では冒頭から、その存在が示唆され。

いつどのようなタイミングと形で姿を現すのかがサスペンスも、
今回のそれの提示のされ方は衝撃的。
思わず、ぞっとしてしまう。

とは言え、本作は
おそらく〔オーメン(1976年)〕の流れをくむものに思われ。

勿論、ディテールに地域らしい要素は混み込まれてはいるものの
斬新さには欠けるよう。

ジュン一