マクベス

劇場公開日:

マクベス

解説・あらすじ

デンゼル・ワシントンとフランシス・マクドーマンドという2人の名優を主演に迎えたジョエル・コーエン監督が、シェイクスピアの同名戯曲を映画化。「ノーカントリー」や「ファーゴ」など、これまで弟のイーサンとともにコーエン兄弟として数々の作品を手がけてきたジョエル・コーエンが、初めて単独で監督を務めた。シェイクスピアの4大悲劇のひとつとして知られる「マクベス」は、魔女の予言によって野心をかきたてられたスコットランドの将軍マクベスが、主君を殺して王位に就いたものの、内外からの重圧に耐えきれず、暴政によって次々と罪を犯していく姿を描いた物語。殺人や狂気、野心、怒りに満ちた計略のその物語を、モノクロ&スタンダードの映像で描き出す。「トレーニング デイ」「グローリー」のオスカー俳優デンゼル・ワシントンがマクベス役を務め、第94回アカデミー賞で主演男優賞にノミネート。マクベス夫人役は、ジョエル・コーエンの妻でもあり、「ファーゴ」「スリー・ビルボード」「ノマドランド」で3度のアカデミー主演女優賞を受賞しているフランシス・マクドーマンドが務めた。共演にコーリー・ホーキンズ、ブレンダン・グリーソン、ハリー・メリング。Apple TV+で2022年1月14日から配信。それに先立つ2021年12月31日から一部劇場で公開。

2021年製作/105分/R15+/アメリカ
原題または英題:The Tragedy of Macbeth
配信開始日:2022年1月14日

その他の公開日:2021年12月31日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第79回 ゴールデングローブ賞(2022年)

ノミネート

最優秀主演男優賞(ドラマ) デンゼル・ワシントン
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映画レビュー

3.5Justifiably Remade Again

2022年9月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

The Coen Brothers are among the best filmmakers in history; its nice to finally see one of them show his individual chops. The language of Shakespeare plays are difficult yet watching is always a rewarding exercise to one's intellgence. Tragedy is far less an interpreation than a highly artistic expression. Washington is in prime form. The black and white is boosted by the film's swift pace.

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Dan Knighton

4.0とにかくデンゼル・ワシントンが美しい

2022年1月18日
iPhoneアプリから投稿

悲しい

怖い

ジョエル・コーエンがウィリアム・シェイクスピアの4大悲劇の1つ『マクベス』を映画化する。このチャレンジングな構想を後押ししたのは、まず配給のA24と配信を請け負ったApple tv、そして、夫のコーエンと共に製作に参加し、劇中でマクベス夫人を演じるフランシス・マクドーマンド、だけではない。魔女の囁きを信じて権力欲に取り込まれ、自滅していく主人公、マクベスの心理状態を代弁するような、恐いほど美しいモノクロ映像、意図的に無機質な背景(全てがサウンドステージ)、マクベスの不安をさらに助長するような音楽、それだけでもない。最大の功労者は、悲劇の王の苦闘を口跡のいい台詞回しで、呟くように、奏でるように、泣き叫ぶように演じるデンゼル・ワシントンの俳優としての技量なしに、コーエン夫妻の挑戦は日の目を見なかったのではないか、という気さえする。何しろ、今回のデンゼルは美しいのだ。

これは、オスカー受賞の演技派俳優→アクション俳優(もしくはその両輪)とキャリアを転じてきたデンゼル・ワシントンが王道の演技派路線に回帰して、もしかして再び頂点を極めるかもしれない渾身の作品。奇しくも、今年のアカデミー賞は彼が『ドレイニング・デイ』(01)でアカデミー主演男優賞に輝いた年に状況が似ている。あの時と同じく、ライバルには後輩のウィル・スミス(『アリ』→『ドリームプラン』)がいて、彼が『ずっと追いかけてきたのにまた追い越された」とスピーチしたシドニー・ポワチエ(名誉賞受賞)はこの世にはなく、ある意味、また1歩先を越されてしまったのだから。どういう形式で開催されるかは不透明だが、そんな風に今年のオスカーナイトのワンシーンを想像させる、必見の人間ドラマであり演技である。

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清藤秀人

4.0最初で最後の原点回帰

2025年5月5日
Androidアプリから投稿

監督のジョエル・コーエンはもう弟のイーサンとコンビを組んで映画を撮ることはないだろう。そんなことを予感させるモノクロ映画なのである。今までまったくのオリジナル脚本で勝負してきたコーエン兄弟であるが、弟イーサンと袂を分けて初となる本作では、なんとシェイクスピアの古典悲劇をほとんど脚色することなくそのまんま映像化している。今までイーサンが担当していたと思われるその脚色ぬきで撮られているものの、不思議と見飽きない魅力を備えている1本なのだ。

黒澤明監督『蜘蛛巣城』をはじめ過去何度も映画化されている古典ではあるが、これほど原作戯曲に忠実に映像化された作品は初めてではないだろうか。シェイクスピアが書いた戯曲の完成度が高いからといってしまえばそれまでなのだが、あえて手垢にまみれた『マクベス』をチョイスしたジョエルの真意はどこにあったのだろう。カール・ドライヤーを思わせる表現主義的タッチ、舞台演劇的な美術のセット、おまけにスタンダードサイズのアスペクト比を採用したジョエルの狙いはどこにあったのだろう。

奥行きを意識したたて位置の構図、マクベスには黒人俳優デンゼル・ワシントン、そのお妃にはジョエルの奥様フランシス・マクドーマンドをキャスティング。3人の魔女を1人で演じた  キャスリン・ハンターや、暗殺されるスコットランド王を演じたブレンダン・グリーソンこそ演劇出身の俳優を起用しているものの、全体的にはハリウッド的な多様性を意識した俳優の配置となっている。

魔女の予言通り王位についたマクベスだが、王暗殺を唆した王妃とともに次第に狂気におかされていく。腹心の部下であったバンクォーですら信じられなくなったマクベスは部下にその暗殺を命じる。やがて王妃が発狂死すると、王暗殺の濡れ衣をきさせられていた息子たちが王位奪還のため、大軍を率いて城に戻ってくるのだ。“女の股から生まれた人間には殺せない”という魔女の予言を信じたマクベスだが、帝王切開で生まれたマグタフによって首をはねられる。

この“帝王切開”部分の説明がシナリオからすっぽり抜け落ちていた理由は、妊娠中絶推進派が多いハリウッドにはふさわしくない表現だったせいなのかはよくわからない。しかし、多様性に基づいた俳優のキャスティングとシナリオの一部省略以外は、ほぼシェイクスピアの原作戯曲をそのままなぞっているのである。原型をとどめないほどに脚色するイーサンが製作に関わってないがために実現した、文字通りの古典復刻劇なのだ。

あまりにも独善的になったゆえその身を滅ぼしたマクベスだが、ある意味魔女の予言に忠実な人生を送った保守的な人物ともいえるのである。わざわざ完璧な古典を無理やりねじ曲げて、現代風に焼き直した不条理劇に作り変えるよりも、戯曲の雰囲気をそのまま伝えるような古典的な演出の方が、むしろ今時の観客の目には新鮮に映ることにジョエル・コーエンは気がついたのではないだろうか。イーサンが単独で監督した直近作『ドライブ・アウェイ・ガールズ』とは対照的なのである。

まさか同盟国に対して王様のように振る舞い、米国外で作られた映画には100%関税をかけると豪語する新大統領誕生を予言した映画でもなかろうが、映画のラストで草むらから飛び立つカラスの大群ははたして何を意味していたのだろう。ゴッホ最後の作品という説もある『カラスのいる麦畑』の構図を真似ることによって、(生き残った弟に後を託したダンカン王の長男のように)ジョエルは映画作りから一旦離れることをここに宣言したのではないだろうか。まるで扉に関貫をかけるような“ガチャリ”という音が結構意味深なのである。

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かなり悪いオヤジ

3.0兄弟分かれ

2022年3月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

興奮

A24の作品と注目するよりコーエン兄弟の兄ジョエルが単独で監督した新作として話題にするベシ。

前作「バスターのバラード」に続いての配信、NetflixからAppleTVへ、今回は劇場公開もしたけれど「ヘイル、シーザー!」から正規での公開はしていない感じ、この先も配信オンリーで弟イーサンは無しでやって行くのか?

シェイクスピアは敷居が高く小難しいイメージがあり映画でも避けてしまうジャンルではあるがコーエン兄弟、いや、ジョエル・コーエンの新作なので避けられない、物語は分かりやすく映像のLookの素晴らしい美的センスに飽きも来ず、知識のない自分には親切な作りで楽しめた。

弟とのコンビは解消でこれからは奥さんでもあるフランシス・マクドーマンドとの二人三脚になるのかなぁ??

AppleTVにて鑑賞。

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万年 東一