「主な舞台のとなる、彼ら4人が逃げ込んだ南米の独裁国のむせかえすような暑さと緑が映えるジャングル、猥雑な町並みは4Kリマスターで鮮やかに蘇っています。」恐怖の報酬(1977) 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)
主な舞台のとなる、彼ら4人が逃げ込んだ南米の独裁国のむせかえすような暑さと緑が映えるジャングル、猥雑な町並みは4Kリマスターで鮮やかに蘇っています。
シネマート新宿さんにて≪容赦なき大巨匠ウィリアム・フリードキン 3 作上映≫
(2025年7 月11日(金)~17日(木))にて『恐怖の報酬【オリジナル完全版】』の国内最終上映を鑑賞。
『恐怖の報酬【オリジナル完全版】』(1977年/121分)
『フレンチ・コネクション』(71)でアカデミー監督賞を受賞したウィリアム・フリードキン監督が『エクソシスト』(73)超特大ヒット後に手がけた同名フランス映画のリメイク作。
オリジナルは1953年にヌーヴェル・ヴァーグの生みの親と言われ、世界三大映画祭を受賞した巨匠アンリ=ジョルジュ・クルーゾーが監督、主演にイヴ・モンタン、シャルル・ヴァネル。
※二人の役名はマリオとルイージ。
油田火災を爆風で消火するため、保管状態のひどいニトログリセリンを、曰くつきの男たち4人がおんぼろトラック2台に分乗して、数百キロを疾走するプロットは同様。
しかしそこは『エクソシスト』の大ヒットでノリに乗るフリードキン監督。
運び屋4名は、アイリッシュギャング(演:ロイ・シャイダー)、不正融資が焦げ付いたフランスの銀行家、ナチス残党狩りの殺し屋、パレスチナ過激派グループの爆弾犯と多彩な顔ぶれ。
各々のいきさつを描くため3大陸5か国の大がかりなロケを敢行、数分に一度の凄まじい爆破シーンの連続で、制作費は当時として破格の100億円のビッグバジェット。
主な舞台のとなる、彼ら4人が逃げ込んだ南米の独裁国のむせかえすような暑さと緑が映えるジャングル、猥雑な町並みは4Kリマスターで鮮やかに蘇っています。
アメリカン・ニューシネマ的なアウトローを主人公にすえた切ないラストも良いです。
公開当時は『スター・ウォーズ』(77)旋風のなか不運な結果でしたが、昨今再評価されて良かったですね。