「韓国の視点から描く政治的駆引きはリアルか誇張か?!!」スティール・レイン バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)
韓国の視点から描く政治的駆引きはリアルか誇張か?!!
韓国やインドによくある繋がらない続編!
『鋼鉄の雨』に続きチョン・ウソンとクァク・ドウォンが真逆のような立ち位置となって、再共演を果たした。
日本でいうなら、かわぐちかいじ的な軍事フィクションものといった感じで、韓国と北朝鮮の関係性に、アメリカも関わりデリケートな政治戦が繰り広げられる。
国際情勢に対して、韓国視点の解釈が強く反映されているし、さらに作者の独特な思想も絡み合って、フルに理解するのが難しい政治的駆引きが続く中で、空気の読めないアメリカ大統領も合流して、事態はより複雑になっていく。
潜水艦という閉ざされたフィールドでの緊張感と政治的駆引きの緊張感が上手く混ざり合っているが、ちょっと内容が攻めすぎているせいか、現実感が薄れがちになるのは難点。
あきらかに、アメリカ大統領はドナルド・トランプがモデルであって、汚い言葉遣いや平気で人前で屁をするなど、誇張された風刺シーンはコメディシーンとして消費されているものの、中国もそうだけど、日本の扱いがなかなか酷く、反日感情が色濃く反映されている中、白竜が堂々と日本人代表を演じ切る。
大まかなプロットとしては、ドナルド・トランプが金正恩と握手していた裏で、「実はこんなことが起きていた~」といったノリなのだろうが、 金正恩がモデルと思わしきキャラクターが美化されすぎていて、現実味にかけてしまうのが残念。
『白頭山大噴火』や『ノンストップ』のように、近年の韓国映画、特にグローバル展開を狙った作品は、北も南も国の政治が悪いのであって、人間同士は同じであるというメッセージを発信し続けていて、人格的にも政治的にもアジアのトップと立とうする野心が伝わってくる一方で、政治への不満も相当たまっているような政府風刺もあったりで、いったいどこに向かおうとしているのだろうか…….。