「鋼鉄雨はほぼ関係なかったような」スティール・レイン Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
鋼鉄雨はほぼ関係なかったような
韓国・北朝鮮・米国・中国・日本の思惑が絡まって進む話だから、その説明が多いんだよね。
前半は「えーと、だから、どの国がどういう思惑で動いてんだっけ」って理解しながら観なきゃだから、エンタメ性はそんなに強くないのね。昔の社会派映画観てる感じだった。
それで平和協定締結のために北朝鮮委員長・米国大統領・韓国大統領が北朝鮮に集まんのね。そしたら、そこで、北朝鮮でクーデターが起きるの。この瞬間の「避難して下さい」の場面はリアル感あって良かった。
あと平和協定に向かうシーケンスで説明される『朝鮮戦争は正式には休戦中』『休戦協定に韓国は入ってない』は知らなかったから「そうなんだ」と思った。韓国のこと知らなすぎだね。
それで委員長・大統領・大統領の三人が北朝鮮の潜水艦に連れて行かれて、そこからが潜水艦アクションで面白いね。監禁されたやり取りのなかで、韓国・北朝鮮・米国のトップの間に友情みたいなものが生まれていくのもいい。
潜水艦の中でも政治的思惑から色んなことが起きて、日本に核ミサイルを打ち込もうとするんだよね。『そんなことをしたら、米国から北朝鮮に報復で核ミサイルが打ち込まれる』『こうすることで、我が国は中国から莫大な支援を受けとれる』みたいなやり取りあって、みんな、それぞれの信条に従って動いてて、決定的な悪人はいないのね。
日本は核ミサイルを打ち込まれるわけにいかないから、潜水艦を迎撃しにくるの。でも大型台風(スティールレイン)来てて、あんまり空から攻撃できなくて。そこのやり取りの『なにがなんでも迎撃せよ』は「がんばれ航空自衛隊」って思ったな。
この事態がなんで起こるのかっていうと、米中の覇権争いからきてんのね。やるなら、お互いで潰しあえよってところだけど、他国の思惑をうまく使って自国有利に展開しようとしてんの。
もうさ、覇権争いなんてしないで、仲良くしてよ。どっかの国が一国で世界を抑えるなんて難しいんだから。
それと、米中派遣争いになったとき、韓国・北朝鮮・日本は米国につくのかな。ソ連との代理戦争のために朝鮮半島分断した国だよ。たぶん腹の底ではアジア人を下に見てるよ。でも、今の中国に付いてくのもなあと思いながら観てました。
はっきりした悪人が登場しないんだけど、最後は日本の極右団体が悪者になってたな。「けっきょく日本が悪者かあ」と思ったし、韓国には全く悪人出てこないから、その辺がなんだかなあと思ったけど、まあ韓国映画だもんね。日本で作ったら、日本には悪人出さないだろうし。
そんなこんな色々思いながら観られて、アクションシーンのカタルシスもあるから面白いよ。