ドント・ルック・アップのレビュー・感想・評価
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メタ・ブラックコメディ
ブラックコメディ。
映画が風刺している内容には共感できるが、見終わって、もどかしく、物足りなさで、気持ちが沈む。
この映画にはこの状況をシニカルに眺め諦めているような感じがあって、この映画を多くの人が見ても人々に何の影響も与えないだろうなと感じた。
まさか、この映画の存在自体がブラックコメディなのか?!
エンドロールの後まで、見てー!
想像と違った
過激なブラックコメディというよりも、むしろ現実の世界情勢をソフトに描いたんじゃないかと思えてくるような一作。
レオナルド・ディカプリオとジェニファー・チャスティン、さらにメリル・ストリープを含め数え切れないほどの第一線俳優を起用した本作。地球に破滅をもたらす彗星の接近を前にして人類が繰り広げる騒動の顛末は、破滅的な危機に対してフェイクニュースが横行し、人々は問題から目をそらせるために別のアクティビティに熱中していく…、という現実社会の実情を反映した、というか昨今の世界情勢を踏まえると、本作が描く架空の物語の方がマイルドなんじゃないか、と思わされます。
こうした「クライシス物」の定番演出として、ニュースクリップを畳みかけるように挿入していく、という手法がありますが、本作はむしろ、そのニュース映像の背後で何が起こっているのかにかなりエネルギーを割いて、ニュースが、そして世論がどのように形作られているのかを描くことに重点を置いている点が興味深いです。
小銭稼ぎにいそしむ高級軍人など、アダム・マッケイ監督による毒はあるが軽妙な人物描写が多いため、ついつい本作の宇宙物理学的な描き方についても誇張や非現実性のある要素が含まれているんだろうな、と考えがちですが、現役の物理学者のコメントによると、結末近くの”ある描写”を除いては、かなり実際の物理学や天文学の知見を反映しているとのこと。決して表向きの「軽さ」で作られた物語じゃないんですね。
ディカプリオ演じる主人公をはじめ、登場人物の誰もが完璧な人間ではなく、「弱さ」を持っているけど、それを悔い改めたり因果応報になったりしないところに、妙なすがすがしさを感じる作品です。
やっぱり家族の絆が一番大事だね
1 彗星の衝突により人類の滅亡が予想されたとき、人は国はどう動くのか。現代の実相を交えながら騒動を描いたブラックな群像劇。
2 同じシチュエーションの映画はSFなどこれまでもあり、いかにして衝突を阻止するかが主題であった。
本作も途中までは先例に準じた展開を示す。発端は、天文学の院生と指導教授の気付き。次いで、社会へのSOSの発信と続く。ここでは、悲劇的な予測を必死に訴える主人公コンビに対し、誇張された形で行き過ぎた情報化社会の歪な実相が表わされる。
3 初めは静観することとした政府も予測の実現可能性の高さを認識し、対策を講じるが、途中である思惑を持った別案に切り替える。
彗星が次第に地球に近づく中、社会は、「上を見ろ」というグル−プと「上を見るな」というグループに分断される。
果たして、地球は?人類は?・・・。
4 映画は浅はかな大統領と周囲の人の登場でおバカ映画の衣を纏うが、その下から科学の発展や進化に対する過信、スマホによるユ−ザ-の管理、短絡的な政府の政策決定に対する強烈な批判と家族や仲間の絆の再認識が示された。
5 演出は、アバンタイトルの扱いはテキパキしていた。その一方、ホワイハウスやTVの情報番組、情報通信会社のCEOの扱いは露悪的に感じた。また、彗星との衝突を避ける思い付きみたいな別案の扱いや東側諸国の動きに関する筋立ては粗い。時間も無駄に長い。
6俳優では大統領としても母としてもだめだめだったメリル・ストリープの怪演、主人公コンビでは晩年のオ−ソンウェルズに顔が似てきたディカプリオよりも赤毛がキュ−トなジェニファーローレンスが印象に残った。
劇中のアリアナ・グランデの歌はとても良かった。この映画のマン・オブ・ザ・マッチにしても良い。
テンポが良く笑えるけど少し怖さもあるアメリカらしさ溢れる映画
あくまでも明るい風刺映画
レビュー
歴史の総括すらできない
どこがコメディなんでしょうか。笑いどころは1つもない。確かに映画全体を包み込む白々しい空気とチープな演出は、コメディのそれです。ミンディ博士とブリーがキスするのを見て、ケイトがぱかっと口を開ける。そんな能天気なシーンがただただ言い表せない焦燥感を与えてくる。鑑賞中ずっと、焦燥や不安をかきたて続けられます。それこそこの映画の狙った効果なんでしょうが、お見事です。本当に全っ然楽しくない。
何よりまず、この映画で滑稽に描かれる人々について。彗星を信じたり信じなかったり、SNSでブームに乗って迎合したコメントを発信したり、逆ばりで注目を集めたり。これらは現実においても極めて普通の人々です。別に悪者でもなければ愚者でもなく、一般的なセンスを持っている人々。これらの人々によって人類滅亡のオチはもたらされます。
この類いの映画を観る時、映画を終えたら、滅亡がフィクションだったと安心して現実に帰り、あぁ素晴らしい日々だと思いたいものです。そのためには鑑賞中「自分たちはこんな馬鹿なことしないよ」「こんなのあり得ないよ」とツッコみながら笑い飛ばして、だから自分の現実は映画とは違うのだと内的に帰納法を行う必要があります。ですがこの映画はどこをどう探しても普通の人しかいない。ならなんでこんな結末になる?答えは1つしかあり得ません。大統領と首席補佐官が誇張してロクデナシに描かれているのは救いであり、監督の優しさだと感じました。観る人が、現実に対し安心するポイントを残してくれていると捉えましたよ。
しかしミンディ博士は真実を知っている立場でありながらブリーと不倫したり、メディアでいい気になったりケイトがプロポーズされて微笑んだりします。これは見事で、まさに人間が描かれていると思いました。人はアフリカの飢餓を知っていてもバラエティーのレストラン企画で笑えるし、家計が火の車でも酒を飲んでなんとかなると思える。生物の一個体として心を護る機能があるのです。一個体レベルでは彼女にフラれるのと地球が爆発するのが同じレベルの脅威だったりしますし。ただ国のリーダーや大手メディアの報道官は大局的な視点を一時足りとも崩してはいけません。
衝突の瞬間も絶望すらできない喜劇でした。誰かが何とかしてくれるのではないか、何とかなるんじゃないかと幻想に落ち込んだまま消しとんでいきました。人類は、その歴史を総括することもできずに滅びました。ちゃんと問題に取り組み、人類の歴史と叡知を結集して最大限の努力をしたが及ばずに滅亡してしまう、そんな結末ならどんなによかったでしょう。同じ滅亡でもね。誇りも何もない。戦争をして革命をして血と涙を流し、途方もない話し合いで国と国を維持して継承して、よりよい世界をと願ってきた歴史の結末が、こんな下らないものなんて。
救いが欲しいのも含めて『アルマゲドン』が観たくなりました。全く違うけど、全く同じ映画です。
言うまでもなく、気候変動への警鐘です。こんな映画観たくないけど、だからこそ私は観る必要がある。
苦しかった。
恐怖を笑い話にして誤魔化した末路
マスコミと終末論^_^笑いの暴力性
内容は彗星衝突による地球滅亡までの日々の話。ブラックコメディ路線が冒頭から音楽で楽しませてくれる。印象に残った言葉は『僕の分まで皆が長生きして下さい』プライベートライアン?!って所が面白かったです。この手の話題は陰謀説と結びつきやすくFBIや CIAが何時も出てくる。今回は空を見るなと政府は言い事実を皆に真剣に伝えようとすればするほど笑われる。見ていて胸が痛みます。最後には諦観する人々や逃亡する人々など、SNSやネットなど色んな意味で見えない壁を強く感じさせる作品でした。この手の映画は何度も似た様な話あり自分としてば1998年のディープインパクトを思い出します。自分にとってインパクトがありました。ノストラダムスの大予言『1999年恐怖の大王が降りてくる』パニック感をコメディタッチに描き直した作品は映画館ではなくTV版配信映画だと作りの違う時代を感じます。
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