「やっぱり家族の絆が一番大事だね」ドント・ルック・アップ コショワイさんの映画レビュー(感想・評価)
やっぱり家族の絆が一番大事だね
1 彗星の衝突により人類の滅亡が予想されたとき、人は国はどう動くのか。現代の実相を交えながら騒動を描いたブラックな群像劇。
2 同じシチュエーションの映画はSFなどこれまでもあり、いかにして衝突を阻止するかが主題であった。
本作も途中までは先例に準じた展開を示す。発端は、天文学の院生と指導教授の気付き。次いで、社会へのSOSの発信と続く。ここでは、悲劇的な予測を必死に訴える主人公コンビに対し、誇張された形で行き過ぎた情報化社会の歪な実相が表わされる。
3 初めは静観することとした政府も予測の実現可能性の高さを認識し、対策を講じるが、途中である思惑を持った別案に切り替える。
彗星が次第に地球に近づく中、社会は、「上を見ろ」というグル−プと「上を見るな」というグループに分断される。
果たして、地球は?人類は?・・・。
4 映画は浅はかな大統領と周囲の人の登場でおバカ映画の衣を纏うが、その下から科学の発展や進化に対する過信、スマホによるユ−ザ-の管理、短絡的な政府の政策決定に対する強烈な批判と家族や仲間の絆の再認識が示された。
5 演出は、アバンタイトルの扱いはテキパキしていた。その一方、ホワイハウスやTVの情報番組、情報通信会社のCEOの扱いは露悪的に感じた。また、彗星との衝突を避ける思い付きみたいな別案の扱いや東側諸国の動きに関する筋立ては粗い。時間も無駄に長い。
6俳優では大統領としても母としてもだめだめだったメリル・ストリープの怪演、主人公コンビでは晩年のオ−ソンウェルズに顔が似てきたディカプリオよりも赤毛がキュ−トなジェニファーローレンスが印象に残った。
劇中のアリアナ・グランデの歌はとても良かった。この映画のマン・オブ・ザ・マッチにしても良い。