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ドカーンとズバーンとかドガシャーンとか過激な事件は一切無い、とんでもないどんでん返しも不幸な悲劇も一切無い、派手さが無い分ストレスフリーな心地よい劇場版。原作は、ゴールしてしまっては終わってしまう連載漫画。既にゴール後の派生作品まで存在する二人の恋模様。付かず離れずのもどかしいイベントの繰り返しで、見所といえば、二人のターニングポイントを目の当たりに出来るかどうか。
こういう場合、大抵は見る人の判断に任せるタイプが多いのですが、これは明解だったと思います。時の流れを感じさせる卒業間近という設定付きで、誰もが期待しているであろう、ゴールインを予感される作品に仕上がったのでは無いでしょうか。ネタバレとして、スタッフロールで席を立たないようにご注意願います。とっても優しいオチのオマケ付き。
相変わらず、もどかしい二人の関係を見せつけられてしまうんですけどね。散々迷ったのでしょう。スマホでお誘いのメッセージを送った西片の、送信ボタンを押そうか押すまいか、その迷っている様が目に浮かぶ。そんな中学生の恋愛模様が、もどかしくも微笑ましい。
中学と云えば、島の中学校が舞台設定だったんですね。その情景が心地よい。しかも、二人はずっと一緒に島暮らし。いやあ、うらやましい限りですなぁ。
(追記)
後から考えてみれば、二人の関係のみならず、子供から大人へのターニングポイントでもあり、その流れがとても丁寧に描かれていたのだなと感じました。冒頭、まるで小学生の子供ように、じゃんけんをしながら遊び歩く二人が描かれ、差し迫った卒業式、クラスメイトは進路を悩みつつ思い出作りに熱中、まるで子育ての練習のように子猫の世話をする主役二人は、年下の子供達に子猫の親権?を譲ってやることで大人への成長を示し、西方は遂にプロポーズ――明確な「好きだ」という自分の欲ではなく、相手を思いやる「幸せにする」という言葉にしたのも、理想の大人への成長を示すべきという判断か。そしてエンディング、ゴールイン後の元高木さんへと繋がるエピソードというのが、劇場版として果たすべき役割だったのかも知れません。
正直、延々と恋模様のワンシーンが描かれるだけの数ページ連載漫画で、劇場版とはずいぶん大仰では無いかと思っていました。しかも他の映画と同じく、大人料金1900円? それはちょっと躊躇う人も多いんじゃ無かろうかと。でも、繰り返しになりますが、重要なエピソードであるならファンならば必見。私は高評価を付けましたが、原作を知らない人にはちょっと辛いかも知れませんね。