劇場公開日 2022年1月21日

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「十分面白い作品だけど、期待と前評判が高すぎた」さがす N Tさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5十分面白い作品だけど、期待と前評判が高すぎた

2022年3月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 前半はあまり面白みがなくだるい展開が続きます。主演が佐藤二朗となっていますが、ほぼ登場することもなく「娘(伊東蒼)が主役じゃないの?」と感じますが、後半に入るとガラッと雰囲気が変わってラストまで激流のように物語が動き出します。後半からが正に本番で「父(佐藤二朗)の物語」が始まり目が離せません。特に佐藤二郎と妻との物語は誰しもが1度は考えたことのあるテーマではないでしょうか。
 またメイン出演陣の演技も作品を引き立てます。娘役の伊東蒼は別作品に出演した時から注目しており期待通りでしたし、佐藤二郎もシリアスな演技もできるんだなと見直しました。様々な社会問題を扱った重いストーリーでありながらエンタメ作品としても見ごたえのある作品でした。

 ただ、大筋では面白かったからこそ、細かいところが気になり足を引っ張ります。
 まず、前述のとおり前半が弱いです。後半へのフリなので仕方ない部分はありますが、であればもう少し娘と父の親子愛を深堀するシーンが欲しかったです。前半だけでは父親が「どうしようもないクズ親父」でしかないので、失踪した父を必死に探そうとする娘にイマイチ共感しきれません。また、
 ・娘のボーイフレンドが登場するシーンは必要性が無く邪魔
 ・警察の対応や捜査が不自然なくらいに適当すぎる
 ・時系列が少しわかりにくい
 ・小さな島で住民が殺され行方不明になっているのに近隣が誰も気づかない
 ・連続猟奇殺人犯の割に人の殺し方が雑
などなど

 メインの部分は良かったのでもっと評価を高くしたいところですが、だからこそ細かいところまで作りこんで欲しかったです。公開前から楽しみにしており、皆様の評価も高かったので期待し過ぎたのが裏目に出てしまいました。惜しい。

N T