「佐藤二朗の親父、ヤバい」さがす tackさんの映画レビュー(感想・評価)
佐藤二朗の親父、ヤバい
『岬の兄妹』の片山慎三監督の新作と会って、かなり期待していたので早速見に行った。
またしても、凄まじい映画だった。
佐藤二朗演じる、父親がとてつもない人間で、松浦祐也氏演じた『岬の兄妹』の兄貴以上に、闇が深かった。闇が深いというか、馬鹿なのか、単純なのか、ちょっとよくわからない。こんな人、いない。
でも、人間の心理や環境が底をついた姿はこうなのか、とも思えてしまう。もう本当救いどころがない。
清水尋也も、現代に潜むか弱き者たちに漬け込む異常者(元ネタはあの座間事件ですよね)。
大事件を犯した後、西成に潜んだり、島に行ったり『怒り』の元ネタである彼を彷彿とさせ、自分の立場を巧く使い、人を手玉に取る姿は凶悪犯罪者の常とう手段のよう。
異なる時間軸から終盤になるほど、ここに繋がっているのかと思った。巧く構成されている。
映画自体観てて面白いし、正直人間の底を巧く表現していると思うが、何とも感情の抜けどころのない、何と言ったらいいのか、この佐藤二朗演じる父親に対する感情がちょっと何とも言えないもので、観終わった後はちょっと上手い言葉が見つからない。
悪い映画ではないが、監督の前作ほど心が揺らぐものはなかった。
あと、西成でロケしたのだろうが、周りに映ってくる通行人たちがクセの強い人ばかりで、
あのお父さん失踪のビラ配りシーンはほとんど記憶にない。
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