幻滅のレビュー・感想・評価
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痛烈な風刺映画
19世紀のフランスで印刷工場で働く青年リュシアンには2つの夢があった。1つは貴族であり人妻のルイーズと結ばれたい気持ちと、もう1つは、自分の書いた詩集を出版することだった。
そこで彼は、欲望と狂乱が渦巻くパリへ上京する。働いていたレストランで出会った記者ルストーに出会い、自身も記者になることで、メディアの闇にどっぷりと飲み込まれていくことになる。
上映時間が約150分と長いですが、大いに楽しませてもらいました。リュシアンの栄光と転落が絶妙に描かれていて、フリに対する答えがスパーンと映像で表現されていて残酷だけどスッキリする展開で飽きることなく鑑賞できました。
人物は個性とクセの強いキャラクターばかりですが、リュシアンとライバルのナタンとの友情は素晴らしかった。お互いライバル視していたが、文学に対する熱意を素直に打ち明けるナタンには感無量。
文学青年が栄光と転落を描いたヒューマンドラマでもあり、19世紀の混沌としたフランスを映像化した文化的に価値のある映画でもありました。
とても結核患者には見えん
ジャーナリズムの道徳的脆弱性について当初から警告を発していたバルザックは偉い。まさに慧眼というべき。
報道のあるべき姿は,事実を積み重ねて本質に迫る,という点で学術研究に似ているそうだから,そこに欲が入り込んではいかんのである。この作品の登場人物も欲に駆られて仲間割れした挙句,弾圧の口実を体制側に与えてしまう。この欲の対象はカネと名声だった訳だが,報道そっちのけで意見を押し付けるばかりの新聞、偏見むき出しルポを連載する週刊誌、記者会見場で自己主張にのみ熱心な記者など現代日本の困った報道者達を駆り立てるのは自己顕示欲か承認欲求か?…てなことを考えながら画面のシックさなどを楽しませて貰った。
主演のボワザンはなかなかの逸材とお見受けするし,ドパルデューは相変わらずいい味出してる。ルイーズ役の女優(初見です)も好演。
ド・バルザックの「ド」は、 貴族を気取った自称であり、正に映画の主役の有り様だ。
19世紀フランスの文豪オノレ・ド・バルザックの小説「幻滅 メディア戦記」を映画化。
フランスというよりパリ文化、思想の成形の歴史を垣間見たような展開は、日本の明治維新の様な喧騒であり、
復古王制時代などはとんと分からんが、
当時の建物や風俗などのロケーションに、
それらの撮影も見事な作品で楽しませてくれた。
特に出版と新聞と文学の関係がよく分かり、現在も新聞社が社主で成り立っている歴的背景が知れ、
芸術の都がパリであるところも知れるバルザックの文化歴史観が実に意義深った。
^^
19世紀前半。フランスでは恐怖政治が終焉を迎え、宮廷貴族たちが自由と享楽的な生活を謳歌していた。
詩人としての成功を夢見る田舎町の純朴な青年リュシアンは、貴族の人妻ルイーズとパリへ駆け落ちするが、
世間知らずで無作法な彼は社交界で笑いものにされてしまう。
生活のため新聞記者の仕事に就いた彼は、
金のために魂を売るマスメディア関係の同僚たちに影響されその寵児に成りがる。
そして、当初の目的を忘れて虚飾と快楽にまみれた世界から社交界へ、更に爵位を求め始める。
真実のない世界で
2021年。グザビエ・ジャノリ監督。バルザック原作の小説を映画化。王政復古後のフランスで、田舎の文学青年が貴婦人との不倫の末にパリへ。恋にも文学(詩)にも敗れた青年は、ゴシップ系新聞に記事を書くジャーナリストとして台頭していく、、、という話。
説明的なわかりやすさやしつこさが続いて、小説を読んでいた方が感動できそうだと思う瞬間が多かったが、それでも物語自体の面白さとジャンヌ・バリバールとセシル・ドゥ・フランスのなつかしさで見続けることができる。年を重ねてもそれぞれがそれぞれにふさわしい役柄を演じているのがうれしい。
新聞というメディアが急速に発達していく中で、真実よりも大衆に受けることを優先する小新聞の世界が赤裸々に描かれる。王党派と自由主義派の戦い、自由主義派への弾圧があるので、1830年の七月革命より前の1820年代だろうか。真実を求める青年が破れていくのは、結局は王党派と自由主義派のそれぞれから「異端」とされ、策略をめぐらされたからだが、策略が功を奏するのは、真実を知る層が少ないこと(格差の存在)と、限られた少数の関係者の思惑でことが動くこと(コントロール可能性)が条件だ。すべての人が参加するゲームであれば、一部の思惑が計算可能な形で実現するとは限らない。
この作品が2021年に映画化される意味を考えると、現代の格差社会、ポスト・トゥルゥースの時代への警鐘なのだろうが、コロナ禍で国民的団結を思い起こそうとするフランス人のための映画のようにも見えてくる。
コレぞ前提知識、有料パンフ あり かも 別に教養は必要ないサクサク展開作だが観客は精鋭揃い❗️
本作、バルザック氏の 基本、純文学
だから観客選ぶし、そもそも若いカップルとか高校生は、サーチ2に食いつく可能性はあっても
本作に食いつく可能性はゼロ。コナン【グッズが多すぎる、買っても付加価値出ないような気がするぞ100年後も】
とは客層が違う 東京リベンジャーズ とは客層が違う とも言い換えられる。
夏の甲子園の準々決勝みたいな、選ばれた精鋭たち、20人くらいが集ってたよ
イャー純文学は厳しいねぇ・・・とコメント書くはずが、意外と展開が早く
笑いどころ【この映画で笑ってた人は真の神レベル・・ワシは笑いまで到達せず】
もあり、1820年台だか ナポレオン の後 のパリの描写が興味深く 面白い
現代に通ずる マスゴミ のくだらなさ満載
パリの都は 貴族趣味で 社交界はハードル高いが 別に今の日本のように
学歴ならね、鼻持ちならない学校歴 アクセサリーも不要なようだ。
そういゃ、ソルボンヌとかパリ大学とかフランス🇫🇷の大学制度は極めて共産主義、昔の日教組的でわかりにくい
【ワシにしては珍しく政治的発言】ENA行政学院みたいに特殊
ただ、この作品は有料パンフ買った方が良いと言うまでもなく
精鋭たちは殆ど購入してるね。そういう人しか見ない作品。
ポイント
①当時のパリの風景
②出版事情 サロン、パトロン的な後ろ盾が必要、書物自体金持ちしか手に入らない
③今も昔も変わらない 新聞📰社 マスゴミ とくだらなさ 嘘、ええかげん ジジイの老害なんとかしてくれ
④演劇女優の立ち位置が、昭和時代までの女優の立ち位置・昭和時代はセクハラとか無いから
⑤監督も意識したという展開の速さ
ワシ、大学受験、日本史と地理だから 王党派🆚自由派 よくわからないのだ。
だが、時代に翻弄される野心溢れる成り上がりの若造のおバカ未熟さ加減は、自らを振り返ってド共感なのだ。
意外に田舎の貴婦人【愛人】→都会の意地悪な貴婦人がキモ。
田舎からパリへ飛び出す貴婦人がワシ的には好み、もチットエロシーン露出欲しかった。
なんで、田舎の貴婦人大柄から 大根役者 短躯のデブ専に近い女に 鞍替えできるのか❓
ワシの下半身が疑問を❓呈してましたよ、本音の話。
イヤ ミニモニサイズの肉体派が好みでも良いと思うよ⭕️、ただなぁ 普通は両方は 大谷翔平さんのように
二刀流はムリだと思った。
そうイヤ サクラ という言葉 今の若い世代わかんないだろなぁ!
この作品、前提がなくとも楽しめます・・ただしそういう人は夏の甲子園ベスト8レギュラーの選ばれし精鋭❗️
凡人は できれば有料パンフ購入した方が【あっ❗️そういうことか❗️】と気づきますので良いです。
少なくとも、映画の予告編と無料リーフ2種類はチエックが良い。
ただ、本作見る人は、見る時点でその程度のハードルはクリア🆑してるけどね。
虚飾と欺瞞の果てに
文才と美貌に恵まれた田舎の青年が、パリで舞い上がって見事に堕ちていく。引きで見ると喜劇、近くで見ると悲劇を地でいっていて、それをスクリーンで歴史的な興味を持って鑑賞する自分がいる。
当時のパリの新聞は何でもありで、企業ゴロが東スポを発行しているようなもの。金を払えば、本や演劇を絶賛する記事を書くし、ライバルを酷評する記事も金で請け負う。それに加えて、ガセネタでも新聞が売れそうな記事は何でも載せる。
フェイクニュースに飛びついてしまう人間の習性は、いつの時代でも同じ。
復古王制時代のパリってスゴイ活気がある。革命政権、ナポレオン帝政と内戦と戦争に明け暮れた時代の反動なんだろうけど、エネルギーが溢れている。
歴史が好きでドロドロした人間も好きな自分には好物の作品でございました。眠気とも戦う必要があります。
高貴な野心
1800年代初頭、フランスの田舎町アングレームに暮らすイケメンポエマーの成り上がりと堕落の話。
世話になっている地主の侯爵に夫人との関係をつめられて、夫人と駆け落ちしてパリへ行ったポエマーが夫人と共に社交界に顔を出すけれど…。
ちょっと浮いては沈んでを繰り返しつつもどんどん話しが大きくなっていき、という展開で、一応自身の著書の出版に対する意気込みの話しあるけれど、彼が1番欲しいのは地位とか名誉とかそういうものってことでしょうかね。まあ、コンプレックスの塊みたいな感じだったし。
踊り踊らされ操り操られのお話しでなかなか面白かったしテンポも悪くはなかったけれど、状況説明のナレーションのオンパレードだったり、内容の割にちょっと話しが長過ぎたりで最後は少々飽き気味になってしまった。
それにしても小新聞って所謂タブロイドですよね?それがそんなに力を持っていた社会って…。
情報を伝えるツール(SNSとかその使い方を含め)がいくら進歩しても人間の欲と悪意とは少しも変わっていないことを19世紀のパリの出版業界と上流社会を舞台に赤裸々に描く群像劇。
①やはりパルザックは偉大だ、ということが最初の感想。
②続いて、情報が真であっても偽であっても金になれば良いという拝金主義は現代のモラルの低い出版界そのまま。
メディアが金儲け第一主義になったりフェイクニュースを流したり世論操作をするのも形が変わっただけ(テレビ・SNS・YouTuberやインフルエンサー等に)。
③貴族になることに拘ったリュシュランも愚かだが、本当の貴族がエセ貴族を自分たちの仲間と認めるわけもなく、盛大に脚をすくうその悪意。
④バルザックの作品にある社会感と、その社会で翻弄される人間・賢くはないけれども心優しい人間・日和見な人間・上手く潮や風の流れを読んで振る舞う人間・自分の世界には相応しくない人間を排除する人間等々、様々な人間群像を忠実に且つ我々現代人にも共感できる映像作品に仕上げた演出・脚色・演技・美術は見事。
⑤ラスト、金色の光を浴びながらリシュランが湖に入っていくシーンは、一度幻滅を味わった人間が一旦裸になって再生する姿を表しているようで美しい。
この頃は、 こういうこと沢山あったんだろうな ルイーズの感情の変化...
この頃は、
こういうこと沢山あったんだろうな
ルイーズの感情の変化が素早すぎて驚いたけど、
あれは端折りすぎたのではなく、
ストーリー的な流れだったのか?
(オンライン試写会は一律ネタバレなしでもネタバレ扱い)当時のフランスの歴史事情があると有利?
今年103本目(合計754本目/今月(2023年3月度)38本目)。
オンライン試写会で視聴。
19世紀フランスの社交界とジャーナリズムがテーマの映画です。
やや混乱期にあったと思われるその時期の主人公の成り上がりとなり下がりの「極端の差」のドラマが良かったです。
ただ、当時のリアルのフランスの歴史事情を「若干」参照しているところがあるので、そこの部分は要注意(高校世界史くらいあれば大丈夫)かな、というところです。
情報は正しくても間違っててもお金になる
うーん、やっぱりこの時代の衣装やら背景やらのセットがとてもとても好きだわ。どの角度からみても美しかった。眼福。
たとえ実力が足りなかったとしても、お金とコネ、権力があるものに取り入れば上位に行ける世界。
そしていつの世も情報は正しくても間違っててもお金になるのね。すごいわね。
情報は人の評価を決める。
評価のために人は情報を買う。
恐ろしいループ!
名誉はお金で買えるということを学んだわ。きっと今も昔もそこは変わってないはず。
主人公は確かに出世欲が強かったけど、根っこが繊細な芸術家だし、田舎育ちで純朴なので、美しいものでコーティングされてるドス黒い貴族のスノッブな価値観は本当は好きじゃなかったのだと思う。
純粋なまま田舎で詩を書いてたら、生きてた時はイマイチ評価が上がらなかったとしても、後世には何かを遺したのではと思ってしまう。残念。
始終目に映る絵が美しいのとは真逆に、人間たちがずっと腹に一物抱えた黒い奴らの頭脳戦なので飽きずに観られた。
原作は1800年代に書かれたらしいけど、人間の本質は変わらないんだなと思える作品。
バルザック
2023年3月15日
映画 #幻滅 (2022年)鑑賞
身分制が根強く残る19世紀のフランスを舞台に、田舎から夢を抱えて
パリに出てきた青年が、ゴシップにまみれた仕事に手を染めていきます
ゴシップ系YouTuberとかいる現在と基本的なことは変わらないな
@FansVoiceJP さん試写会ありがとうございました
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