パラレル・マザーズのレビュー・感想・評価
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赤、黄、緑などのパステルカラーのスクリーンのオシャレさ。ペネロペ・クルスの熱演と忘れてはならないスペイン内戦の歴史
映画「パラレル・マザーズ」。ペネロ・ペクルスと監督ペドロ・アルモドバル。さすがスペイン、赤や黄、緑を基調としたパステルカラーのスクリーンがとてもよい。 赤ちゃんの取り違え、DNA検査、それを伝えようとする苦しみ。倍半分の年の差の母親の違いと接触、それぞれの母の存在。 スペイン内戦の犠牲となった出身地の悲劇と遺骨調査されないままの現実。忘れてはいけない、伝えていかなければならない歴史。これに立ち向かうペネロペ・クルースと研究者。 この2つを柱に物語が展開される。ペネロペ・クルスの熱演と悲劇の歴史の重みを感じさせる映画であった。
かなり消化不良
一本の物語なのに3本のオムニバスを見た感じ。いろんな要素がぶち込まれていて、血縁ってとこに帰着させてるようなんだけどどうなんだろ?なんか、物語の展開が激し過ぎて、テレビドラマの総集編見てる気分。 スペインの歴史が背景にあるみたいですが、疎いのでよくわからず。にしても、その壮大なテーマに帰着させるためにジャニスにはかなーり自由度が高い性格と価値観与えてるし、行動に脈絡ないし、発生イベントもかなーり無理があるように思えちゃう。なんかなんか気持ちが悪いんだよな、展開が。 全ては丸く収めようとしてる製作陣の意図がみえちゃうんだよなー。で、ラストでなぜか社会派チック。 むーん。なんだかな。 短編オムニバス3本セットのほうがよっぽどよかったんじゃ?とにかく、詰め込み過ぎ。
アナの無神経さ。
アナはジャニスの子供が自分の実の子だと分かったその日に子供を連れて帰るなんてジャニスにも子供に対して何のケアも考えてない女の子だなあって思って腹が立ったわ!
あと、取り違え大ミスした病院はどうなったの?!そこもオールアバウト?
幾重にも重なった要素が、まさに結実したラストが印象深い一作
予告編が示すように、本作は新生児の取り違えという非常に現実的な事件を題材として扱っていますが、それと並行して約80年前のスペイン内戦の悲劇という歴史が語られます。このように本作では、二人の母親、二人の新生児、過去と現代、絶望と希望といった、いくつもの相対する要素が折り重なり、よりあわさっています。 アルモドヴァル監督は映画監督として活躍すると同時に、ちょうど本作のアルトゥロ(イスラエル・エレハルデ)のように、スペイン内戦で起きた悲劇に向き合う文化活動を展開してきました。本作では手軽にDNA検査キットが入手できて、非常に詳細に血縁関係に関する資料を手に入れることができますが、これはスペイン内戦で行方不明になった人々の身元を、発掘された遺骨から割り出していく活動が広く普及したためだそうです。 このようにアルモドヴァル監督は、現実の文化活動と自らの歴史に対する使命感、そして卓越した語り口を実に巧みに融合させています。監督作品らしい、さまざまな要素が随所にちりばめられており、特に赤と淡い緑、そして黄色が巧みに配置された絵作りは素晴らしく、「アルモドヴァル作品」であることを強く印象づけます。 しかし彼の熱心なファンでなければ作品のメッセージを読み取れない、ということは決してなく、中心となるドラマは非常に明確で、かつこれまでの監督作品としては一番円熟しているのではと思えるほどの演出力のため、誰が観ても強い印象を残す作品になっています。もっとも、ウキウキと楽しい気分になる映画ではないんですが。 全ての「パラレル」な要素が一気に繋がるラストは、スクリーンの境界を超えてこちらにやってくるような生々しさと迫力があり、非常に見事です。
DNA
「やられた」 またもや、この何とも言えない不思議な感情を味わってしまった。 多様性やジェンダーという概念が今ほど認識されていなかった1999年に、アルモドバルは「オール・アバウト・マイ・マザー」という作品で、ジェンダーや血縁を超えた女性とLGBTQとの絆と連帯を描き、多くの人達の共感を呼びました。 本作は「オール・アバウト・マイ・マザー」の世界観を引き継ぎつつも、「僕の母に似ている」とか「肌の色が黒い」などの血縁に関する描写が多々あったので、私は少々意外に感じました。特に、男性が自分の子供を気にする様な描写はあのアルモドバルにしては珍しいです。しかし、物語が進むに連れて、アルモドバルが血縁を全面に出した理由が分かりました。 物語は、ジャニスと彼女の子供のDNA検査を中心に進み、ジャニスの曾祖父のDNA検査でラストを迎えます。DNAを通して、スペインの過去〜現在〜未来の連続性を表現している様に感じました。 スペインでは、スペイン内戦下で主にレジスタンス側に居た人達が殺害され、その遺体が今でも大量に埋められています。私は本作で初めて知ったのですが、その埋められた犠牲者を庇護する法律「歴史記憶法」が2007年に成立したとのこと。この「犠牲者の権利」を犠牲者が得るには、DNA検査が極めて重要になります。DNA検査は、この犠牲者の権利を示唆していたのですね。 歴史は忘れない。 全てが繋がっている。 犠牲者の権利の運動は、スペインだけではなく、アルゼンチン、コロンビア、メキシコでも広がっています。人間の尊厳の問題だからだと思います。 私はいつも映画や本などに触れると、私が生まれる遥かずっと前の先人達の思想の積み重なりを感じます。人類のみに与えられた特権は、文化の継承。 本作のパンフレットのインタビューで、アルモドバルは脚本の執筆期間を妊娠期間に例えていましたが、彼もまた、クリエイティブを介して未来に種を蒔く母と言えますよね。そして、沢山の先人達に影響を受けて作品を生み出している人類の歴史の中のひとりであり、連続性のひとつであるとも言えます。このことは、つまり私もあなたもアルモドバルも同じで、全人類に言えることだと思います。 スペインの民主化によってアルモドバルの才能は開花しました。仮に民主化が無ければ、アルモドバルは誕生していません。民主化に至るまでには、沢山の人達の闘いの歴史と犠牲がありました。この歴史があるからこそ、今は自由に映画を撮れますし、自由に鑑賞ができるのです。彼らの命を懸けた闘いに畏敬の念を表した作品だとも思います。 今まで父権的なものを拒絶し否定してきたアルモドバル。しかし、本作では男性を拒絶している様には見えませんでした。こういったアルモドバルの姿は、彼が歳を重ねてマイルドになったというよりも、父権的な社会が徐々にそうではない方向に変化してきている証明なのかもしれません。あとは、性別という概念がもう古いんでしょうね。
敵と味方を超えた大きなひとつの流れへ
2021年。ペドロ・アルモドバル監督。同じ日に女の子を生んだ二人のシングルマザー。ところが、年上のカメラマンの女性の方は交際相手(実は不倫)に指摘されたことから子どもの肌色に違和感を持ち始め、DNA鑑定をすることに。100%血縁はないという結果に、産院での取り換えを疑うが、言い出せずにいるうちに、もう一人の若い母親と再会。なんとそちらの娘(実は自分の娘)は死亡していたことが判明する。その母親と同性愛的な関係にもなって苦悩する主人公。しかし、ついにすべてを告白する日がやってきて、という話。 子どもの取り違えと一方の子の死となれば、敵対しそうな二人の女性だが、同性愛にまでいたる親密な感情を育てていくというのがポイント。異性愛も同性愛も関係なく、人間の親密な感情が積み重なっていく。ここでのキーワードは嘘をつかないこと。たとえつらいことでもごまかしてはいけない。ごまかさずに対面して話をすれば誰もが仲間になっていく。 作品のもうひとつのより大きな枠組みは、主人公のカメラマンが取り組んでいる祖先の記憶回復運動。スペイン内戦で虐殺され、埋葬もされなかった曾祖父らの遺骨の掘り返しと記憶の継承を進めている。ここでも遺骨の確定にDNA鑑定が用いられるのだが、確定された遺骨たちは敵と味方に分かれて殺し合ったスペインという国の過去を「ごまかすことなく」語り直すことを可能にしていく。
スパニッシュオムレツ
ポテトオムレツ??って一瞬思ったのだけれども、そりゃそうよね。スペイン人が自分とこのオムレツを「スペイン風オムレツ」とは言わんやろ。「お好み焼き」問題とおんなじやね笑。そして思いの外日本車が愛されている。タクシーを除けば、登場するのはSUZUKIさんだから、監督がジムニー好きなのかな。嬉しい事でございます。 観終わった後もボンヤリとタイトルの事を考えていたりしたのだけれども、わかったようなわからんような。少なくとも二人だけを指して言っているのではないとは感じましたが、「スペイン内戦」に纏わるアレコレをそれなりに知っていないと誤解してしまいそうだなー、なんて思いました。 スペインやイタリア辺りは「母は強し」な印象があるので、女性が「母」へと変容していく苦悩や力強さも生々しく描かれていたので、そういう側面でも興味深かったと思いました。
冒頭から引き込まれる引き締まった佳作
アルモドバル監督の最新作にして、ペネロペ・クルス主演作。子の取り替えに起因するてんまつを描くが、そこは流石にスペイン人。ただでは転ばすに緩い家族として再生する。 物語の横糸を紡ぐのはフランコ政権下の市民虐殺の事実。ラストシーンの映画的な策略に息が止まる。おススメです。
ペネロペ・クルスが美し過ぎ
最近、女優さんが美しい映画が多い・・・・ 以前と比べて、少しお年をめされた方が美しい 子供に対する愛の大きさをはかる映画だが・・・・ 夫婦と言う点では、無茶苦茶な感じだ スペインはそうな感じなのかな? 映画としては内戦の話は置いといて、二人の関係に集中してほしかった
シングンマザー、子供の取り違え、スペイン内線…少し焦点がぼやけた感があるが、色彩はあざやかで美しい。
前半と後半の映画のコンセプトが異なっている。 前半は2人のシングンマザーの子供が取り違えられたことによる様々なドラマを描き、後半はスペイン内線の話だと思うが、歴史問題へと踏み込んでいく。 全編を通じて言えるのは、ペドロ・アルモドバル監督の特徴とも言える鮮やかな色彩感覚が独特の映像美を創り出している。 ただ、埋められた遺骨を掘り起こす後半のストーリーは、別の映画で表現した方が良かったのではないだろうか。 ラストシーンは別の映画のように思えた。 子供の取り違えによる二人の女性の葛藤を描き、90分の映画であれば、ペネロペ・クルスの演技も含め、おもしろい作品だったように思える。 #184
歴史を覆い隠すことは出来ない。
かつての内戦により多くのスペイン人が虐殺された。本作は二人の世代が異なる女性の出生児取り違えの物語を通して、科学技術の進歩により確立したDNA鑑定が過去の歴史的暗部を暴いてゆく様を描く。 スペイン人監督が言いたかったことを主人公ジャニスに代弁させているのだろう。彼女は親子ほど年の離れたアナに言う。過去に自国で起きた悲劇を知るべきであり、自身のルーツは自身の先祖が眠るこの地にこそ見出すことができるのだと。内戦の過去など知ろうともしない今の若い世代への嘆きなのだろう。これはどこの国でも考えられること。歴史を学ばないどころか歴史を修正捏造する国まであるくらいだから。 赤ちゃんの取り違えによる物語は正直ジャニスの行動が理解できずにあまり入り込めなかった。鑑定で実の子ではないと知ったとき、アナの子と取り違えられたと気づきながら、何故電話番号を変えてまで雲隠れしようとしたのか。何年も育ててきて愛着があるというならまだしも、出産間もない時期だし、何よりも本当の自分の子のことが気になるはずだ。 にもかかわらず、アナやアルトゥーロに再会したときはあっさり新しい番号を教えたり、実子の死を聞かされた時もさほどショックを受けなかったりと、私にはこの物語が一体どこを目指してるのかが理解できなかった。 終盤発掘される先祖の遺体がDNA鑑定でジャニスの先祖ではないと判明して、今まで信じていた自身のルーツが覆されるという、ジャニスのとった行動への皮肉を込めた落ちなのかなと思ったが、そうではなかった。 スペインの名匠アルモドバル作品は初体験だったが、いまいち私には本作に込められた作品意図がわからなかった。 ちなみにペネロペクルスは久しぶりに見てもその相変わらずの美しさに驚いた。
想定外のストーリー
子供の取り違え、という古典的なテーマながら、そのストーリーの展開は想像をはるかに超えていた。大人たちの身勝手とも言えるが自分に正直に生きている姿にむしろ清々しい気がした。スペイン内線という歴史的事件を背景に、失われた数々の命と、今を生きている人々が確実に繋がっている気がした。
相似形
子供の取り違えから始まるサスペンスに時々挟まれる、スペイン内戦で連れ去られて帰らなかった父親たちの挿話。 最初は違和感だったが、なんならそちらの話から始まっており、どうやらそちらが本線な様子。 そう思って観てみると、なるほど連れ去られたまま帰らなかった父親は、取り違えて連れて行かれたまま戻らなかった子供と相似形ではないか。そうしてみると何故彼女たちがどうしても遺骨を発掘しなくてはならないのかが説得力を持って感じられる。ラストの宙ぶらりんさも含め、これがリアルな現実なのかとしれない。
血と骨
大航海時代以降スペインが植民地統治した中南米やフィリピン。そこで生まれた彼らのDNAを引き継ぐ者たち。
もちろんそれは女性の存在を抜きには考えられない。
ぺルロ・アルモドラル監督がゲイであることを考えると、母性やご先祖様への崇拝が年齢を重ねるごとにより強くなって来ているからなのかと。新生児取り違えやアナの妊娠の秘密は戦争や略奪に絡むヨーロッパ人の黒歴史の暗喩なのかとも。先祖の骨の発掘の話しからつい、スペイン人が滅ぼしたインカ帝国などへの罪滅ぼしみたいな気持ちもあるのではないかと。
考え過ぎ?
そんなことを考えながら、うつらうつらしながら観てしまいましたが、翻弄される人生であっても、温かい共同体による未来への希望が感じられました。友人役のロッシ・デ・パルマにはもたれかかりたくなるようなどっしり感がありますし。
ペネロペ・クルスとミレナ・スミット(アナ役)がとても素敵。分娩待機室から一緒だと友情が芽生えるのはよく聞く話し。平行する線路のように続いてゆく産みの親と育ての親の未来に確かな希望を見た気がしました。
色白のアナの産んだ娘(ペネロペ・クルスが育てている)は色黒で筋肉質(堅太り)の赤ちゃんでした。やっぱり、ペネロペ・クルスの産んだ突然死した赤ちゃんの方がかわいかったような・・・・・
未来へ繋がる命と絆
同じ日に娘を出産したフォトグラファーのジャニスと両親の愛に恵まれず育った17歳のアナ
題材としては時折ある「赤ちゃん取り違え」
「母親」を主軸に
2人の女性の絆と葛藤を描き物語は進んでいくのだが…
そのテーマに重なる様に、かつてスペイン内戦で亡くなったジャニスの曽祖父の遺骨発掘を通して死者への愛と敬意
この黒歴史の認識…
自分達で掘った墓に横たわる男性達のショットでは手を合わせずにはいられなかった
アルモドバル監督がこの内戦への意識の深さを自国民へのメッセージとして投じている様に思えた…
運命に翻弄されながらもひたむきに生き、絆を信じる主人公ジャニスを演じたペネロペ・クルス!
研ぎ澄まされた渾身の演技と突き抜ける色香!その美しさにただ、ただ溜息…⭐️
ベネチア映画祭での最優秀女優賞は大納得!
PARADOX
子供の取り違えと言うと「そして父になる」が一番最初に浮かんだんですが、その作品はかなり成長してから子供の取り違えが発覚した作品で、今作はまだまだ小さい頃に分かるという差別点がありました。 相変わらず病院は何やってんだ?という些細なツッコミ点は置いておいて、主人公2人のすれ違いが中盤までは描かれます。小さな変化で気づいた血のつながり、親との関係性、友達以上の関係性、様々な時代の考えが少ない登場人物に詰め込まれていると思いました。主演2人の演技力も素晴らしかったです。 終盤にかかると、そこまでに度々描かれていた考古学やら血筋やらが強く結びつき、最終的にこの映画どんな作品だったっけ?と思えるものになってしまいました。監督の伝えたかったメッセージは何となく伝わってきましたが、わざわざ物語に絡める必要性、この作品に交える意味はあったのか?と疑問符がつく終わり方もモヤモヤしました。 期待値高めだっただけに肩透かしでしたが、前半はなかなか良かったので、期待は薄めで観に行くことをお勧めします。 鑑賞日 11/8 鑑賞時間 12:45〜14:55 座席 F-1
内戦のあとしまつ
赤ちゃんの取り違え。日本映画だったら(日本とも限らないか)事件になって~やいのやいのなんだろうが、内戦で殺された曾祖父の遺骨を掘りあて供養するような、壮大なテーマまで広がってしまった!3人の女性らの母になる哲学的過程で時間を忘れるような展開で、とっ散らかった感がいなめない。
アルモドバルじゃなきゃ破綻してるごった煮感。
産院での子供の取り違え
アナと役者で成功したい夢が捨てられないアラフィフマザーの話
アナの子の父は?レイプそのままにしていいの?
スペイン内戦はまだ終わってない
ジャニスの家族の物語…
ここまでの一行をそれぞれ映画にできるんじゃね?ってくらいの要素が、2時間にギュンってくっつけられてる。
なので、完成度はこれでよかった?って気もするけど、夢中で観たのよね。昨夜2時間しか寝れてなくて、仕事終わりでお目々がもうしょぼしょぼの41歳のわたくしですが、眠気も全く感じずよ?
これがペドロアルモドバルの技なのかな?
ジャニスは写真家として成功してるんだろうからお金には困ってないんだろうけど、アナのお家(ママの家?)も家事スタッフがいて裕福そうよね…売れない役者のママの財源はどこ?別れた夫?
ジャニスのマドリードのおうちのインテリア素敵だった。これもアルモドバルの特徴よねー。
わたしは好きな映画ですね。人には勧めにくいけど。
字幕翻訳は松浦美奈さま
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