劇場公開日 2022年11月3日

  • 予告編を見る

「いろいろな考え方がある良作。まよったらおすすめ。」パラレル・マザーズ yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0いろいろな考え方がある良作。まよったらおすすめ。

2022年11月5日
PCから投稿

今年320本目(合計595本目/今月(2022年11月度)7本目)。

序盤こそ、「自分が生んだ子、本物かな?」といった、ミステリー要素がどんどん出てきますが、オープニングでそれと無関係にスペイン内戦の話も出てきて、いわゆる「お飾り」で出てきたのかな、と思えば、実は映画全体の理解としてこの「スペイン内戦」がテーマでした、というお話です。

ただ、それは全体の話であって、特に「子育てパート」の部分に切り離してみることも可能で(なお、スペイン内戦に関してはそれほど深い知識は要求されず、前日にぐぐっておく程度でも違います)、その場合、その「子育てパート」では男性は大半出てこないので、女性どうしの連帯もの(いわゆるシスターフッド系。2021年度の「プリテンダーズ」等)まで感じました。フェミニスト思想を感じるTシャツを着ている子(この映画、主人公を1人には決められないと思いますが)が出るなどです。「私たちは男性女性関係なくフェミニスト」という趣旨のTシャツですね。「男性女性関係なく、配慮すべき点・合理的な範囲で女性を理解する」という考え方であり、この考え方は私も賛同できます。

 さて、生まれてきた女の子(セシリアちゃん)に隠されていた秘密、さらにその奥に隠されている「スペイン内戦に関する当事者の思い」とは何か…。ここからははネタバレですね。ぜひ映画館で見てほしいな、と思います。パンフレットも結構良心的で詳しく書かれていましたしね。

 スペインというと、たとえば闘牛があったり発音に人気のあるスペイン語などなど魅力も多いですが、スペインは「スペイン内戦」という自国の負の遺産があります。その遺産を決して忘れることなく、そして次の世代へとつなげ…というスペインの考え方(この映画はスペイン映画なので、当然考え方はスペインの一般的な見解に沿うもので作られているはず)には賛同できます。

 特に減点対象とすべき点は見当たらないので、フルスコアにしています。

 -----------------------------------
 (参考/女の子の名前が「セシリア」)
  ・ スペインの名前の名づけとしてはよくあるほうで、一般的な名前であるそうです。

 (参考/スペイン内戦について(映画内で求められる知識について))
  ・ 固有名詞まで出て、ある村のある攻撃がどうこうまでは求められませんので、「スペイン内戦とは何か、どのようないきさつで何が発生し、今日(こんにち)までスペインに何に影を落としているのか」を予習するくらいで大丈夫です。
 -----------------------------------

yukispica