ある男のレビュー・感想・評価
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日本アカデミー最優秀作品賞
一言でいうと素晴らし過ぎました。
日本アカデミー最優秀作品賞受賞作品だったのと、監督の作品で「蜜蜂と遠雷」を何度も観ていたので、Amazonプライム・ビデオで視聴しました。
まず演技力合戦で、演技だけで話に引き込まれますし、また終わり方が秀逸過ぎました。
弁護士としての仕事を熱心にしつつ、抱えてている仕事と自分のルーツが重なり葛藤するところや、夫婦関係の問題など、話の展開が計算されていて、だから最優秀作品賞を取れたんだなと納得しました。
個人的に、皆さん素晴らしかったのですが、柄本明さんの名演を評価したい。
ある男
亡くなった夫は誰なのか?
そういうストーリーと聞いて、妻が弁護士と協力し合いながら夫の過去を探っていく物語とばかり思っていた。
全然違う。
深いね。
考えれば考える程深みにハマっていく
作中多くを見せず見ている側の判断でどうにでもとれる
困惑
原作と少し違ったりもするらしいからそちらも読んでみようかな。心地よい深みに。
本当の自分とは…
2024
48本目
ゆっくりと深く少しづつ心をえぐってくる作品。
血縁、しがらみ、関係性…
個人を特定するのは、他人か自分か。
戸籍とゆう現実逃避から新たな人生を歩む。
新たな人生は本当の名前ではないが、本当の自分でもありそれは関係を持つ人々も同じく、名前がなんであろうと夫であり、父である。
何が本当で、何が嘘なのか??
それを追求しても、目の前にいる人や自分が全てなんだよな。戸籍って変えるだけで違う人生を歩む事ができるくらいのモノなのかもしれない。
本当の事を知らなくてもいい事もある
シンプルなタイトルの奥に深いストーリー
実に見応えがありました
開始から30分ぐらいまで暗くて陰鬱でこの後の展開が想像できず耐え時
その知り合った谷口が伐採事故で亡くなってから加速度的に引き込まれていく
在日のこと
死刑のこと
(敢えて〜問題とは書かない)
を交えてこのストーリーの深みが増してくる
これを使わずにと思う人もいるかもしれない
しかしこの話にはにはこれでという強い意思が感じられた
そしてオチと言うか、この作品のラストシーンはしっかりと余韻を残してエンディング
見事!
ラストまで一気見
暗い話だと途中で観るのを止めてしまったりするし、この映画についてはなんとなくではあってもストーリーを前もって知ってしまっていたので途中で飽きてしまう可能性もあるかなと思ったのですが、意外と展開が速くて場面がどんどん移り変わり、感情移入はしないけれども、どの役者さんにも惹かれるものがあって、最後まで一気に観ることができました。登場人物にいい人が多い中で柄本明の悪の存在感が際立って、ラストの場面のあの行動の背景としての説得力が増した気がします。単純に言えば、面白かった。
最後まで見てないのに
最後までまだ見てないのに、5をつけにきました。
本当は、いまのところ10点以上です、、
ただ一点、ブッキーさんの妻がなぜこのキャスティング。
いや、いい演技する人なんだけど、ドキュメンタリーみたいな雰囲気のただよう作品の中で、急につくりものめいたいでたちで違和感。
でんでんさん、ジムの会長うますぎ。
最初登場したときはボディ透明にされそうに思ったけど。
(冷たい熱帯魚のでんでんさんは強烈すぎ。笑
こういうのは良いのか悪いのかわからないけど、いいよね。)
後の皆さんはわざわざ書くに及ばず。
ど頭の安藤さんから中盤の柄本さん、ひっそりしっかり良いかんじのカトウシンスケさんに、小籔さん、子役さん!
こんな個性派にかこまれて、さらにイケメンなのに、はまってるなーと思うブッキーさん。
窪田さん、なんとなくこれまで見てきてなかったけども、この方もすごい、、
レビューのこと考えずに、さて、作品に戻ります!
窪田君の演技
気になっていた映画でした。
窪田君の殺人者としての演技、怖かったです。
あんな場面をみた子どもって、まともに育つのだろうか…
実際…
でも、変わりたいから、まともに行きたいから、
外側から変えていったのですよね。
いろいろ考えさせられる映画でした。
暗く重たく染み入る
あっさりと夫が死に、あっさりと実は夫の名前は全くの別人だったことがわかる。それ以降はむしろ妻夫木聡がメインとなってXさんと素性を探る。
自分という存在は何によって決まるのか。実存だとか原作者の主張する分人主義だとかの話に最終的に行き着くのだろうが、その手前の段階として普通に物語としていい。
戸籍を変えると別人になるのか
父親が代わり苗字が変わると別人になるのか
死刑囚の息子は死刑囚の息子でしかないのか
温泉屋の息子は温泉屋の息子でしかないのか
在日は在日でしかないのか
帰化して名前を変えるのはなりすましなのか
安物のワインにビンテージのラベルを貼る例え。
中身を分かってる奴なんて案外いないと。
死刑囚の息子が、鏡の中の自分に死刑囚の父親を感じるシーンはなかなか切実
田中慎弥の共喰いにも似たような感情描写があった
ボクシングをしてその顔を傷つける
ボクシングが強いのも死刑囚の息子だからなのか
妻夫木聡の奥さんの家族もなかなか
生活保護や在日へのヘイトがリアル
そういった捜索を経て戻ってくると、最初に当然のように描かれた日常風景がどれほど優しい時間だったかが視聴者にもひしひしと伝わってくる
よかった
役者がみんなよかった。
前半が幸せでとても丁寧でこの謎を本当に知りたくなる。
安藤サクラと家族と過ごす彼を見てたから変な推理をしないで見た。
林業の男(大祐またはX)を演じた窪田正孝がすごくいい。絶妙。
いろいろわかった後に彼を思う。
人によってはX(窪田正孝)と自分に線を引いて遠いものとして彼について何も思わないかもしれない。
他人事だと本物の大祐の兄(眞島秀和)みたいにわからないで終わる。
妻夫木聡演じる弁護士を通して見たから視聴者にも届いたと思う。弁護士は自分のルーツから嫌な経験をしてて、Xの生きづらさを考えてた。
弁護士(妻夫木聡)のつらさは、在日だからと色々言われるのも嫌だろうけど、目の前にいる自分がどういう人か知ってる人も、ルーツの偏見を捨てられないで接してくることだと思った。
安藤サクラの正体を知った後だけど「知らなくてもよかった」っていい。うれしい言葉。
でも、
世の犯罪者のご近所や知り合いが取材されたとき、いい人だったとかそんな事するような人には見えなかったとか、人には隠れてる面があって見たままではわからないこともあるから難しい。
犯罪じゃなくても浮気とか、目の前の人が分からなくなるものはあると最後わかりやすく描かれてた。
どんな生まれとか関係なく、最低なことは誰でもするし、最低な奴には誰でもなれる。
血のつながりとか生まれながらのもののどうしようもなさ、それを悪く思われて扱われるつらさを感じて考えた。
親と子、血のつながりがあっても別人で同じではない。
容姿は確かに似てるが同じことをするわけではないと見ててわかるけど、親子で描く絵が似てるのはあれなんだろう。血のつながり・容姿・絵で三つ同じところがあるから、こういう共通点が多いと知らない人は怖いと思うのかもしれない。共通点はあっても関係ない、と彼を知らない人はわからない。
この映画をミステリーだと思って見てなかった。
安藤サクラの子供ゆうとの最後のシーンは泣けた。ゆうとがいたからミステリーではなく、人が亡くなって悲しい気持ちを忘れず、Xが亡くなったことを悔やむことができた。
☆☆☆☆(秀逸なラストに★1つ追加で) 原作読了済み。 [序]で始...
☆☆☆☆(秀逸なラストに★1つ追加で)
原作読了済み。
[序]で始まる原作。その部分を〝 そこ 〟に持って来るか〜と…つい。
映像化はこの[序]ではなく《里枝と大祐》の出会いから始まる。
この話の主人公は弁護士の城戸で。原作の大半は、不慮の事故で亡くなった〝 謎の男 〟の正体を彼が探る話。
従って、未亡人となってしまう里枝と。亡くなった大祐を実際の父親ではなかったのだが、懐いていた息子の悠人の苦しみを中心とした話は中盤と最後に少しだけある。
主人公の城戸は在日帰化した弁護士。
その為に原作自体は、在日差別等の問題点も描かれている。
その辺りの描写は映像化にも描かれてはいた。
だがしかし、関東大震災時に起きた《朝鮮人残虐事件問題》は、何かと【右翼】だ【パヨク】だ…と、ここ数年間で矢鱈に《陰謀論》と《愛国心》の言葉を持ち出しては、雪崩現象を起こしつつある〝 右翼化への流れ 〟へと、社会変化して行く事への憤りを、原作者自身のペンを持っての怒りが込められていた。
それゆえに、製作者側は日和ってしまったのか?完成された映画本編では、それらの問題点をそこまでは踏み込めなかった様に思える。
この辺りの描写は。原作者自身が、最近のSNSでの発言を知れば、「どうしても描いて起きたい!」問題なのだろうけれども。
しかしそれにより、ストーリー自体は。在日差別問題を少しばかり排除した事で、1人の男の人生を探る話としてシンプルにまとまっていた様にも思う。
大祐を探す城戸は《なりすまし》の人生を選んだ【謎の男】同様に。自分自身も《在日》である事実を、心の何処かで隠し持ち〝 ある種のなりすまし〟 なのだろうか?…と言った、疑念を持ち続けている人物だったのかも知れない。
だからこそ、収監中の柄本明には一瞬で心を見透かされてしまい「イケメンのマヌケな在日弁護士!」と貶されてしまう。
そしてもう1つ、城戸には決定的な欠点があった。
それが、原作だと冷え切った状態にある妻との夫婦関係。
もとより堅物で真面目な性格。
映画だと、小藪演じる同僚の中北から(確か原作にはなかったと思う)言葉は違うのだけれど「もうちょっと上手くやり〜な!」的な対応を常にされている。
だかしかし、自分の経歴にはどうしても泥を塗りたくはない為。どうしようもない夫婦関係ではあっても、絶対に離婚だけはしたくない。
多少はイケメンであるのは自覚しているのか?(多少の》浮気願望は持っているのか?里枝の指輪であり、美涼の〝 ある一部分 〟についつい眼が行ってしまう。
その辺りも柄本明には一瞬で見抜かれてしまったのであろう(原作だとヌード写真)
※ 1 更に言うと、美涼が作った大祐の《なりすましアカウント》
映像化ではカットされていたが。原作だとこのアカウントには兄の恭一がアクセスして来て、美涼に対するストーカーとなる。
嫌がる美涼は城戸に相談する。それによって美涼に会う口実が出来る事から、少しばかりのウキウキ感を持つ城戸の心に宿る《なりすまし感覚》
全ての謎は解け〝 謎の男 〟の正体は明かされる。
悠太は父親の過去を知り、未来に向かって歩き出す。
そして城戸も、過去を変えた〝 謎の男 〟の資質に感化されたのか?(原作だと)夫婦関係の改善を図る。
だが、、、最後の最後に!
城戸は元々、気の強い妻との口論はしたくない【ことなかれ主義】の男。
原作でも1つめのエピローグ的な妻に送られて来た〝 意味深なLINE 〟
この描写は。原作の中盤に、妻との関係に疲れ。ふと一時、未亡人となった里枝との隠微な関係性を想像する場面が存在し。この後、里枝の大祐への愛情溢れる想いを知るにつれ、ほんの一度だけBARで大祐に《なりすまし》てみるエピソードがあるのですが。
そんなLINEのエピソードを、映画本編では最後のエピソードに至る直前のキッカケとして配置する事で。元々、同僚の中北からも推奨されていた〝 上手くやる 〟術を持ち得る〝 狡賢さを発揮する男 〟へと変貌する。
それが後々での、原作での【序】にあたる部分へと帰結するのですが。そんな城戸の姿を眺める大祐の姿がそこに居た。
果たして、「この人に見つけて貰えて良かった!」…と思っているのか?
それとも、、、
「こんな男に里枝を取られなくて良かった!」
…と思っていたのか?
様々な考え方が出来る、実に秀逸な締めくくりだったと思っています。
2022年 12月18日 TOHOシネマズ錦糸町オリナス/スクリーン6
※ 1 映画化では30前か?と言える美涼の年齢だが、(おそらくは)原作だと40歳前後か?だから年齢的に近い城戸は、美涼と会う機会にウキウキ感を持っているのだと思う。
その年齢ゆえ、自分の性癖すら城戸に露わに話す美涼に対し。それに顔には出さずとも嬉々として接してしまう自分の姿には、自分で自分がわからなくなり、ついつい戸惑いを隠せない。
映像化では美涼は元◯人と会う事が出来る。
原作だと、始めにこの人物と城戸が会い、その後に入れ替わって美涼が会う。
(原作では)その2人が会う瞬間を城戸は見てはいないので。映画本編での城戸は、(その年齢的な違いの設定ゆえに)美涼と元◯人に対しては、父親的な感覚に有る為、この後に見せる城戸の〝 いやらしさ・狡猾さ 〟は際立つとも言えるし。反面では、唐突感にも繋がっているとも言え、この面でもちょっと悩ましい。
仲野太賀の無駄遣いで原作を読みたくなった。
俳優さんみんな上手な方ばかりでしたが、個人的に息子くんのお芝居にぐっときました。
また月日が経ってこの映画を見た時私はまた違う気持ちになると思う。
久しぶりに考えさせられる作品を観たなあ。
別の人を通してみる景色は同じようで全く違うものなんだろうな。
ただ仲野太賀を起用しておいてほぼセリフなし!これは原作を読まねば!
ストーリーの組み立て方が素晴らしい
Netflixでこの映画を選んだ際に流れる予告的なものと簡単なあらすじを見て、とても見たくなった。
Xが一体誰なのかというメインテーマだけでなく、Xの正体を深掘りしていくうちに周囲の人々の心の変化が対比されて描かれており、よく練られた映画構成だと感じた。
世にも奇妙な物語?
様々な社会問題を、深刻ではあるけど説教臭くない程度に展開させるストーリーは見ごたえがあった。
ただ、最後の最後で誠の幻想を見たり、城戸が戸籍ロンダリングで、谷口に取って代わったような事を示唆したことで
これまで観てきた事が、本当のことだったのか分からなくなってしまった。
そもそも大祐が里枝とお友達になろうと思った魅力って、どこで感じたんだろうか?
平野啓一郎にはない、原作にはラストのリドルストリーが好きです。
個人的にリドルストリーが好きなので、ラストを原作と変えてきたことは大変強化しています。ただ、旅館の弟が何故戸籍交換をしたのかについては原作とまではいかなくてももう少し踏み込んでほしかったです。
様々なテーマが凝縮された良作
遅ればせながら配信で視聴。
映画館で見ていたら、暫く呆然としてしまっていた気がする。
国籍による差別、親の境遇による周りからの目線、家族関係…別の人生を生きることでしか脱却できない悩みや苦しみがあるということが、非常に説得力のある形で描かれていた。
本作に印象的なモチーフとして使われている「複製禁止」、および謎解きの大きな鍵となる窪田正孝演じる小林謙吉/原誠の描く、顔のイメージが一部ぼかされた絵画も、ルネ・マグリットがモチーフとなっているだろう。
ルネ・マグリットも、彼の絵画人生に母の自殺が大きく影響しており、この作品との繋がりを感じさせられる。
そして衝撃のラスト。妻夫木聡演じる弁護士の人探しの旅は、自分の人生探しの旅であったのかもしれない。
母と息子の描き方も非常に素晴らしかった。息子の演技も圧巻。個人的には、まだ何も知らない幼い娘がこれからどのように育ち、自分の境遇と向き合っていくのかについても考えさせられた。
短い時間ながらも、一つ一つのテーマを可能な限り丁寧に描いていると感じる良作。
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