ある男のレビュー・感想・評価
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こりゃなんだ コリアンダー
2022年映画館鑑賞64作品目
11月20日(日)イオンシネマ石巻
ACチケット1000円
原作未読
原作は『マチネの終わりに』の平野啓一郎
ヤフーニュースでお馴染みの人だ
村上春樹も政治的発言はするがTwitterはやらない
コタツ記事ライターは生活費の足しのためTwitterを見るが本は読んでいる暇はない
監督は『愚行録』『蜜蜂と遠雷』『Arc アーク』の石川慶
脚本は『リンダリンダリンダ』『マイ・バック・ページ』『ふがいない僕は空を見た』『愚行録』『マイ・ブロークン・マリコ』の向井康介
再び幸せを掴んだのも束の間に再婚してから数年ののち夫を事故で亡くした谷口里枝
一周忌に訪ねてきた「夫の兄」は遺影を見て夫の谷口大祐は別人だと里枝に告げる
里枝は離婚裁判のときにお世話になった弁護士の城戸に偽の谷口大祐「X」の正体の調査を依頼した
調査の結果Xの本名は死刑囚の息子で元プロボクサー(リングネーム緒形勝利)の原誠
本物の谷口大祐と闇業者小見浦の仲介で戸籍交換したのだ
冒頭はマグリット風の絵画
最後の方で妻夫木の後頭部の前に例の絵というシーンはわりと好き
死刑囚の父も演じた窪田正孝は今回の作品がこれまでの俳優人生の集大成と言える
さまざまな窪田正孝が『ある男』に詰まっている
窪田正孝ファンは必ず映画館で観よう
窪田正孝以上に良かったのは安藤サクラ
彼女の演技力がとにかく素晴らしい
谷口里枝の悲哀と苦悩を安藤サクラが見事に表現した
文房具の店番でひょっとこのように顔を歪ませて涙する里枝
飲食店で病気で亡くなった次男について谷口大祐こと原誠に話す里枝の一連のシーン
などなど
親になったことがない自分でも安藤サクラのチカラで貰い泣きしてしまった
二世俳優というだけでバカにする人は世の中に少なからずいるが「かかってこんかい」とキレたくもなる
奥田瑛二を完全に超えたね
原誠は谷口大祐の前に曽根崎義彦という男と戸籍交換しており谷口大祐は原誠ではなく曽根崎義彦を名乗っていた
原作では登場するであろうヤクザの曽根崎と原誠を名乗る知的障害者田代正蔵は映画には出てこない
城戸弁護士はいわばミステリーものの探偵的役割を担っている
一応城戸弁護士が主役のようだが谷口里枝と谷口大祐こと原誠中心に描かれるべきである
だからこそ城戸が日本に帰化した元在日朝鮮人というエピソードも思い切ってカットするべきだった
作品をより骨太にするため必要だったのかもしれないが曽根崎や田代をカットするなら必ずしも必要とは思えない
古畑任三郎や湯川学や江戸川コナンは朝鮮半島がルーツだろうか
人権派を気取りたいのはわかるが詰め込みすぎだと感じた
在日差別を取り上げることに猛烈に反対するわけではないが扱いによっては在日や帰化人にとても不快な思いをさせてしまうのでないか
『パッチギ』の井筒和幸もそうだったし被差別部落問題を取り上げた平田弘史の漫画『血だるま剣法』にしても然り
差別問題はより慎重さが求められるわけでたとえリベラルの良心だとしても当人たちからすればありがた迷惑になることもある
リベラルが天下を取ったとあまりにも調子にのれば狂信的な保守派を生み出し性的マイノリティーに対する乱射事件が起きてしまう
衝撃的なことは確かだが修復不可能になりつつある分断状態に銃社会では充分に起こりうることだった
あっちを立てればなんとやら人の世は簡単にはいかない
拉致問題慰安婦問題徴用工問題領土問題に加え北朝鮮のミサイルに韓国軍のレーザー照射に旧統一教会などなど課題は尽きない
だとしても自分としては日本で生まれ育ち普通に日本語が話せる彼らを国籍だけで嫌悪することはない
元ヤクルトの上田は大好きだ
日本語がろくに話せないにも関わらずなんとかなるさという軽い気持ちで出稼ぎにやってくるベトナム人男性に比べたらよっぽど好感が持てる
あと坂元愛登の芝居が子役のわりに良かった
子役なりに細かい演技ができてる
映画はとても重い話ではあるが妹役の小野井奈々が可愛くてそれで少しは癒される
里枝からの依頼を受ける弁護士の城戸章良に妻夫木聡
バツイチ子持ちで実家の文房具屋で店番をしている谷口里枝に安藤サクラ
谷口大祐を名乗りのちに里枝と「結婚」するXこと原誠に窪田正孝
本物の谷口大祐の恋人の後藤美涼に清野菜名
本物の谷口大祐の兄で伊香保温泉の宿を経営している谷口恭一に眞島秀和
城戸の相棒をしている弁護士の中北に小籔千豊
里枝の前夫との間に生まれた長男で中学生になった谷口悠人に坂元愛登
谷口大祐こと原誠と里枝の間に生まれた長女の花に小野井奈々
里枝の母に武本初江に山口美也子
章良の妻・城戸香織に真木よう子
谷口大祐こと原誠が勤めていた林産会社社長の伊東にきたろう
ボクサー時代の原誠のガールフレンド茜に河合優実
原誠が所属していたボクシングジムの会長の小菅にでんでん
小菅が経営するボクシングジムのトレーナー柳沢にカトウシンスケ
香織の父にモロ師岡
香織の母に池上季実子
美涼が勤める店のバーテンダーに芹澤興人
香織の不倫相手に矢柴俊博
温泉宿の次男坊で本物の谷口大祐に仲野太賀
戸籍交換のブローカーもやっていた詐欺師の小見浦憲男に柄本明
みんないろいろ抱えてるよ。出来るなら…。
誰にでもある
人生は上書きできるのか
サスペンスやミステリを期待していたが、人間ドラマの色が濃かったかな。
演技に関しては全員素晴らしかった。
今回は特に柄本明の底知れなさを感じる怪演が残る。
脇を含めて隙なし。(河合優実はもっと観たい)
反面、脚本はややまとまりに欠けた印象。
最後に真木よう子の浮気や妻夫木くんの騙りが入ったことで、『誰もが仮面を被っているし、誰かになりたいと思っている』という有り触れた結論に見えてしまった。
「真実を知らなくてもよかった」というところで締めた方が綺麗だったのでは。
まぁそうすると、様々に描いた差別や偏見が無駄になってしまうのですが。。
しかし、窪田くんはボクシングジム周りの人間関係には恵まれてたハズなのに、それでも足りなかったのか。
そこから2回も戸籍を変えた、その背景や心情を知りたい。
別の人になりかわってみたいことあるよね。
鏡に自分の後頭部が写ったら?どんな世界が見えるんだろうか?
3年9ヶ月愛した旦那が、ある日突然に「ある男X」になる。そんな状況に巻き込まれて翻弄する里枝(安藤サクラ)が真相を探る為に弁護士の城戸(妻夫木聡)に依頼することから始まるミステリー。城戸はこの依頼に仕事を超えて、自らの出自と重ねるようにのめり込んでいく。
在日、戸籍、差別、なりすましが主なテーマの原作だけに、かなり複雑で重い。しかし最後まで目が離せない脚本と演出はお見事❗️
死刑囚の息子が暗い過去を塗り変えたことは全く違和感はない。自分だってそう思うだろう。
城戸と小見浦(柄本明)の刑務所のやり取りが今作の見所。城戸に向かって小見浦が言う。「先生はなんで私が、小見浦ってわかるんですか?顔に書いてありますか?」このセリフに少しゾッとすると同時に、戸籍なんてただの紙切れなんだよなあと思う。ラストの城戸のバーのシーンと奇妙な絵がなにか色んな想像をさせながら締めてくれた。キャストの感想。窪田正孝のボクサー役は凄い。「初恋」を思い出した。安藤サクラさんは気丈な母親役を見事に演じてました。その義父の柄本明の短いシーンだが謎解きの鍵になる役を怪演。わざとらしい関西弁が逆に面白い。清野菜々さん今年は何本映画撮ってるんだ〜?売れっ子ですね。でんでんも何やらせてもしっくりくるなぁ。仲野太賀はラスト一瞬だけ贅沢に使いましたね。
久々の骨太の邦画ミステリー満足でした👍
ある男だらけ?
ミステリーとしての雰囲気は最高 だが、あの人物の描写がないのが残念
里枝(安藤サクラ)が大祐という人物と再婚して、大祐が事故で死亡した後、大祐が実物とは別人と判明するところから始まる物語です。
結局、原という男が曽根崎という人物と戸籍交換し、さらに大祐と戸籍交換したことが判明します。
肝心の曽根崎という人物についての描写がないため、説明不足に感じました。
最後の弁護士の城戸についても、なりすましを匂わせながら幕を閉じましたが、衝撃はそれ程ありませんでした。
ミステリー映画としての雰囲気は最高ですが、曽根崎という人物の描写は、ある程度いれるべきだったと思います。
追記 ミステリー映画としての引き込み度は、今年のトップクラスだと思います。
タイトルのある男とは誰のことなのか?純文学を映画で読む
直木賞・芥川賞は以前は読んでいたのですが、仕事が忙しくなったタイミングで読まなくなったのが平野さんが受賞した頃のため、受賞作も本作も読んでいません。
京都大在学中に芥川賞を受賞したとのことで当時メディアによく出演されていました。
2歳ころ父親を亡くしたため気持ちがそこへ向かうとのことを話していたことがあり、そのことが何故か印象的でした。
本作も義理父と子供の交流のシーンなどもあり、なんとなく納得。
全体的にほんわかしたゆっくりムードで進みますが、飽きることなくテンポよく最後まで進みます。
タイトルや予告編と異なり、謎解き要素は少ないです。
謎解きサスペンスではありません、爽快感や面白さを求めて鑑賞しないほうがいいかと。
人としての存在について考えさせられることが多かったです。
見ていて考えすぎるほど強くはなく、問題提起というかんじでしょうか。
妻夫木くんを映画で久しぶりに見ましたが、大人の男を非常にかっこよく演じられており、さすがだな~と思いました。ほかの出演者も見事です。
1つ気になったのは特に法律関係の仕事は守秘義務が発生するため、家族間の会話に出すことはできません。ですが弁護士がどのような人探しをしているかを奥さんが知っていて会話をしていることに少し違和感を感じました。
結局タイトルの「ある男」とは「どの男」を指すのかについては、見た人によって異なります。
ラストもあまり過度な期待はしないほうがいいかもしれません、こちらも見た人によって異なるかと思われます。事実?それともただのつくり話なのか?ここを見る人がどのように受け取るかにより異なります。
いずれにしても別の人生を生きてみたいと思うことは誰でもありますよね?
国籍、血縁、変えられない多くの背景が重く感じることもあります。
見終わったあと、なんともいえない、考えさせられるような要素が残りましたが、それもまた読書をした後の感じに似ていて心地いいです。そういった意味では良い映画だと思います。
何回も見たいという幸せな映画ではないですが、純文学を映画で読める印象はわるくはないです。
人は自分の過去を上書きできるのか
平野啓一郎のヒューマンミステリーを映像化。俳優陣の演技、作品テーマ、脚本・演出の力など、今年の日本映画では出色の出来になっている。
冒頭、安藤サクラと窪田正孝の出会いのシーンから、ただならぬ密度の濃さ。二人の関係が深まり、幸せな家庭を築いたことをしっかり描いた上で、突然訪れる悲劇と混乱。ここから主人公である妻夫木聡が登場し、身元調査を始めてからの展開は、十分謎解きになっていて、引き込まれる。
調査によって明らかになる男の過去は、あまりに辛いもの。在日三世である主人公は国籍変更により出自を消したが、人は自分の過去を自分の手で上書きすることができるのか、そんな根源的な問いかけに感情が揺さぶられる。それでも、二人が築いた家庭が幸せなものであったことは確かで、そこに希望を見たい。長男が自分から妹に真実を伝える覚悟を示すシーンには、涙がこぼれた。
安藤サクラは、ほのかな色気も感じさせて、とにかくうまい。窪田正孝は、ピュアさと狂気さが彼ならではの持ち味。妻夫木聡は難役だった。脇では、柄本明の怪演が強烈。掘り出し物は、小籔千豊。コメディリリーフとしてうまくはまっていた。
向井康介のシナリオの功績は大きい。石川慶の演出は、これまでの作品で時折見られたギミックを排し、正攻法で好ましい。ラストは、なるほどと思いつつも、それまでの展開からすると軽いように感じた。
塗り替えたい人生
ずいぶん前に原作を読んだが、正直 その時には
それほどピンとくる感じではなかった。
…が、しかし役者に惹かれて鑑賞。
個人的には、原作より分かりやすく面白かった。
安藤サクラは、まさに田舎町の文具屋さんにピッタリの
配役だったし、窪田正孝も親の罪を背負ったような
苦しみを切なく演じている。
それに、妻夫木聡は登場した際に、おやっと思うくらい
雰囲気が変わっていて、弁護士という富裕層の立ち位置と
在日という生まれを背負っている複雑な生い立ちを
良く表現していた。
生きてきたことを何もかもリセットしたい。
そんなふうに思う人は多いのだろう。
この作品は、見方によってそちらにも重心が
置けるし、また 安藤サクラの「ある男」が
結局は、誰でも良かったという「愛」の物語として
感じることもできる、とても面白い映画と思う。
しかし、江本明はどの作品に出てもどんな性格
の人物でも、いったい演技なのか本人なのか…
彼が出演することで、作品の深みが数倍上がる
ようなきがする。
複製禁止
本作のオープニング。一人の男の背中しか映っていない一枚の絵。目の前の鏡にも背中しか映っていない。
顔のない男。原作を読んでいたので、この絵が、ルネ・マグリットの『複製禁止』であることを知る。
複製禁止のはずの人生を歩まざるをえなかった「ある男」。その男の背中を追いかけることで、自分をそこになぞらえる弁護士。過去に見切りをつけたい男たちが、どこかで重なり合っていく様。
『複製禁止』の絵が、ずっと脳裏から離れなくなる。
戸籍の交換の詐欺罪で服役している男は弁護士に、交換じゃなくて、身元のロンダリングだ、と言う。過去を洗浄したい人はいっぱいいる、と言う。
多かれ少なかれ誰しも思っている。なりすましへの憧れ。あるべき自分に近づきたいという願望。それには過去を洗浄しなければという焦燥感。
人として生きることの危うさ。忘れたころに、再び『複製禁止』の絵が映し出される。
「ある男」の妻は、一緒に暮らした日々は幸せだった、とほのめかす。
救いの言葉だ。一瞬でも、あの絵の呪縛から解き放たれるような気がした。
謎はすべて明かされるが爽快感はない
平野啓一郎の社会性が出た作品
原作者の根本思想として、自分の実態を消去したいほどに差別的で抑圧的な社会を告発したいということがある。そこをベースに考えれば仕掛けの意図がよく分かりる。
妻夫木聡、窪田正孝の演技はなかなかのものであった。妻夫木の被抑圧的な気分の表現は素晴らしいし、窪田のボクシングシーンは違和感を抱かせない動きでセンスを感じた。
しかし、それ以上に感嘆したのは柄本明の演技だ。歳を重ねるごとにすごみを増している。ベテランの男優では、石橋蓮司と双璧ではなかろうか。一方で主役級では目立った俳優がいなくなった気がする。例えば緒形拳は善人と悪人を対照的に演じ分けることができたが、そういう俳優は今は思い浮かばない。これは映画産業の衰退と軌を一にしているのだろうか。監督に巨匠と呼ばれる人がいなくなったのも同じようなことだろう。
これはミステリー?
ラスト暗いなぁ...
窪田さんの谷口の判りやすい闇ではなくって、
妻夫木さんの城戸の笑顔の嘘っぽさというか、
どこか影のある感じが上手かったなー。
ラストのバーのシーンも感情のなく、ただただ語ってるだけみたいな、
だから、こっち側で判断を任せられたような、にしても、まったく前向きさを感じなかったな。
安藤サクラ親子のシーンと真逆だよね、正直。
城戸だけが、完結していない感じで、これから、この男がどうなっていくのかが、めっちゃ気になってしまった。
といっても、何にせよ、柄本明さんの小見浦憲男が、
いちばん心に残って怖くて痛かったなー。
帰化した在日3世の城戸に対する
他人の痛いところをえぐるような煽るような言葉と演技が...。
他のみなさんの演技もスゴイし、ストーリーも面白かったんですが、
ただ、残ったのがそのシーンで、この作品のメッセージが、
柄本明さんの言ってること全てに思えてしまいました...。
だから、わたしの中では他がボヤけてしまって、薄まってしまった。
あとは、
違う自分になってでも自死することなく生きるなら、
戸籍売買が犯罪だとしても.、それはそれで良いと思ってしまいました。
うん、原作を読んでみよう。
全550件中、421~440件目を表示