ある男のレビュー・感想・評価
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残尿感
必ずしも安易なハッピーエンドは望んでいない。
むしろ心に何らかの痛みがあった方が心地良い。
だが、今回のそれはいまいちスッキリしない。
予告編からはサスペンス的な展開を期待していたが、ほぼその要素はない。
柄本明の怪演は見事だったが、それはあまり活かされていないように感じた。
根底に流れるヒューマニズムがこの映画のメインテーマで、それは子供の言動を通じて心に響いた。
一方で死刑囚の子供に対する差別と同様もしくはそれ以上に
在日差別をクローズアップすることに違和感を禁じ得ない。
これは子供の頃に学校の映画観賞で「橋のない川」を観せられて何のこっちゃと思ったのに似ている。
だから、この映画の本質、妻夫木の存在意義が理解できていないのかもしれない。
在日の方々なら深く感情移入できるのだろうか。
全体としてはつまらなくはなかった。
どうなるのか興味津々で過ごすことができた。
だからこそ中途半端な感じのラストに理解しきれていない感じが残った。
これから他の方のレビューを拝見して考えたい。
そういうことね…
冒頭、話の展開が早く、ちょっと読みづらいかったけど、この話の主人公は、登場がかなり遅れる弁護士(妻夫木聡演)なのね…
設定もなかなかシュールだったかも?
過去を変えたい(塗り替えたい)という気持ち? まあ、わかる気もするけど、その感覚は当事者のものとは違うんだろうなぁ…と。
ただ…
細かい部分が雑だなぁ…と感じた。
あれぐらいで木は倒れないよ…とか、弁護士の嫁が其処まで脇が甘いかな?とか…。
そして、個人的に最後は観る者の解釈に任せるという映画は嫌いなんだよね…。それが評価を下げたかな…
何故か落ち込んだ
何に落ち込んだんだろう。三世なら日本人よね。親父の血。朝鮮人のくせに。詐欺師のくせに。きっと自分も誰かを知らずに傷つけ追い込んだこともあるだろうなぁと。そして目の前の友人たちも他人の人生を語っていたりするのかも自分も。メッセージは何だったんだろう。
何故二人は恋に落ちたのか?停電の日お互い暗闇の中だったけど外を見れば明るい。二人で灯りをつける…そんな単純じゃないか⁈知らんけど。
ある男たち、ある女たち
次男を産まれながらの病で亡くし、その諍いで夫も無くした女性の心の隙間を、ふと出会った慈愛ある男性が埋める
そのある男性も仕事中の事故で亡くしさらなる喪失に苛まれる中、喪に訪れた親族が遺影を見るなり言う「別人です」
さて
人のその人らしさって、それまでの人生で経た諸々がラベルとなりペタペタ貼られて形作られる、でも、そんな中に何枚か、自分ではどうしようもない、どうしようもなく忌避したいレッテルがあり
なんともな顛末、そこに救いがあったのかなかったのか
笑顔に隠された心のざらつき
平野啓一郎の原作は未読ですが、彼の作品らしさを感じた映画でした。自分とは何か、どこから来たのか。そんなテーマを感じながら見ることができました。
妻夫木くんの演じる主人公の、笑顔に隠された心のざらつきがよく分かり、募っていく苛立ちもよく描けていました。
安藤サクラ、窪田くんをはじめとする役者さんの演技も素晴らしい。それだけでもこの映画を見る価値があります。柄本明さんの演技はキレてますが、ちょっとやりすぎかなぁ。それに対する妻夫木くんの反応が、この作品のテーマの一つですね。
安藤サクラのセリフ「後になって思えば、正体を調べなくてもよかった」というのも、この映画の言いたいことの一つかなぁ、と。
弱者と言われたがらず、弱い人と決めつけたがる
自分のアイデンティティを保つために、他者や身内を弱い人だと言いたがる。
私達はそういう人種です。
自らを弱く言うのは、云わば、社交辞令のファーストセンテンスみたいなもので。
でも、
劇中で唯一、主人公が激昂するのが、弱者され続ける者への差別に対してだ。
誰もが、どこか不合理に生きているのに、集団心理で合理性を叫ぶ時、本作を思い出して欲しい。
ラストシーンの様に、嘘でも虚構でも逃したくない人生によって、生きるを保てる人がいることを。
明日は、我が身かも知れない事を。忘れないで。
本物
169本目。
本物、本当探しの中に、誰もが思う自分ではない人生を、描いたのかなと。
一筋縄でいかない所、そう単純ではないって所が面白い。
でも、曾根崎って誰?が消化不良ではあるけれど、そこを掘り下げてしまうと、時間の問題もあるしなあ。
在日、在日ってとのも、最後のあれに繋がってはと思うけど、そこはなくてもいいのかなあとは思ったりで。
連ドラの方が、もっと掘り下げられた様に思える。
それぞれの人生の重し
生い立ちや国籍など本人の責任でないものに左右される人生の重し。時に人生そのものを狂わせるほどの影響力がある。そんな重しを背負った人々の生き様を描いたヒューマン・ストーリー。
意味深なラストを含めて見どころの多い作品でした。
少し賛否のありそうな作品でもありますが?
98
目に見たり、自分が感じた事以外知る必要はあるのか?
人は誰しもが知られたくないことはあるし、話したい事がある。しかし、僕達は色々知りたがるし、噂などに色々踊らされ、その人のイメージを勝手に決めてしまって色眼鏡で見てしまっている。
しかも本人が犯したわけでもないのに、家族であったり、その周りが何かをしたからといって、その人自身が同じと思ったり、否定したりする事は違うが、僕ははそうした部分で同じ括りとして見てしまっている気がして自分の考え方など考えさせられました。
自分が見て感じた部分だけで良いはずなのに。
安藤さくらさんが言っていた、やはり別に知らなくても良かった、みたいなセリフがなんかその通りだなと思いました。もちろん子供の戸籍などはどうするねんみたいな事は抜きにして。
しかしラストのメールの場面も見ると、知ろうとしないとわからない事もあるし、逆に言うと知らない事が幸せな事もあるのかなっと思ったりしました。
最後バーでの話で思ったのですが、これは自分だけなのかもしれませんが、初めて飲み屋で会った人に、仲のいい友達や家族に言えない事を喋ってしまのかなと思ったのですが、それはきっと自分の事を知らないし、自分のバックボーンなど知らないから話せるんだなと思いました。そういう時は自分も何故か本屋で働いてると偽ってたなというどうでもいい事を思い出して映画館を後にしました。
過去に引き摺られることとは
邦画のある程度大きめな規模の作品で社会的な問題を提示してくるチャレンジにまずは拍手。
ヘイトスピーチはあるのは知っているけれど、普段の日常ではなかなか接することのない事象でしょう。臭いものには蓋をするのではなく、それを取り上げてエンタメに昇華させるのはとても正解だと感じます。話し合うことにキッカケになるから。作中にある展示会も実際には毎年行われていて、小規模で短期間なのでなかなか万人に触れることが難しいのですが、広く知られてほしいものです。俳優陣もみな素晴らしく、特に安藤サクラさんのスっと落ちる涙は値千金です
僕って誰?
予告編や宣伝の惹句からは、
〔嘘を愛する女(2018年)〕の類似のプロットとの受け取り。
長年連れ添い、子まで成したパートナーの突然の死が契機となり
その人物の経歴が、聞かされていたものとはまるっきり違っていることが判明するとの
驚天動地の展開。
ちなみに先作は
「TSUTAYA CREATERS'PROGRAM FILM 2015」のグランプリ。
そして本作は、『平野啓一郎』による2018年刊行
「第70回読売文学賞」受賞小説が原作。
とは言え、やはりプロの文筆業者による作品は
シチュエーションの設定は似ていても、
単なるサスペンスにとどまらず、今ある社会問題を複数盛り込み
より高レベルに昇華させている。
離婚をして長男を連れ故郷の宮崎に戻って来た『里枝(安藤サクラ)』は
林業に従事する『大祐(窪田正孝)』と知り合い結婚、
長女も生まれ幸せな生活をおくっていた。
しかし、『大祐』が事故で亡くなり、
彼の実家に連絡を取ったことから、
実は全くの別人だったことが判明する。
『里枝』は旧知の弁護士『城戸(妻夫木聡)』に
身元の調査を依頼するのだが、
そこからは悲しい過去が浮かび上がって来る。
彼は実際には「誰」で、戸籍を変えてまで消したかった過去とは
いったい何だったのか。
先に挙げた「社会問題」は
大まかには「差別」とカテゴライズすれば良いか。
それは民族であったり、出生地であったり、親族が犯した罪であったりと、
何れもが自身にはどうにもできない性質によるもの。
なのに個人を識別するラベルの様に、好むと好まざるとにかかわらず
執拗に一生付いて回り、当人を評価するべく機能する。
人間の本質とは、まるっきり関係の無いことであるのに。
とは言え、考えてみれば、名前も似たような性質を持っているかもしれぬ。
本来は個々人を識別するための呼称なのにもかかわらず、
なんとなく人となりさえ現わしてしまうように思えるのは、
我々が名前に対して言霊に近い殊更の価値を見い出しているからなのかもしれない。
全ての疑問が解き明かされた時に、
主人公二人の馴れ初めのシークエンスには
実は重要なヒントが幾つも隠されていたことに今更ながらに気付く。
原作の功か、脚本の巧さかは知らぬが、
なかなかに良く出来たエピソードの埋め込み。
そして最後のシーンでは、実は人間は思いの外
容易く他人を詐称できることが示される。
ちょっとしたきっかけで、
人のエピソードを拝借する
或いは成りきるのは、普通の人でもあること。
ましてやアイデンティティーが揺らいだ時であれば、
猶更のことだろう。
要は程度問題なのだから。
冒頭とエンディングで示される絵画、
『ルネ・マグリット』の〔複製禁止〕はきわめて示唆的だ。
カエルの子はオタマジャクシ
東劇の試写室にて鑑賞。
座席がフカフカで感動した。
役者が豪華でみんな存在感がある。
序盤は窪田正孝さんと安藤さくらさんの出会いから夫婦になるまでを丁寧に描いている。
画材屋さんでナンパとかすごいな。
自分の絵を他人に見せるって割と勇気がいることなのに、見せてくれた絵が特別に上手いとかではなくて、一生懸命褒め言葉を探している感じがリアルで笑ってしまった。
家族4人。幸せに暮らしていたのに、谷口(窪田正孝)が不慮の事故で亡くなってしまうことから物語は急展開を見せる。
彼の実兄が「これ、弟じゃないです」と遺影を見ながら言い放つ。この時も淡々と会話が進むのだけれど、会話のテンポにリアリティがある。
自分の日常だと思っていた世界が実は虚構だったと知らされて驚いてしまう。
里枝(安藤さくら)が離婚する時にお世話になった弁護士の城戸(妻夫木聡)が谷口(窪田正孝)の正体、事実を確認していく。
物語はここで2つの視点に分岐する。
1つは「夫が何者であっても、愛していけるか」
2つ目は「カエルの子はカエルなのか」
後半戦の主役は完全に妻夫木聡演じる城戸に視点が移り、在日韓国人である自身のコンプレックスや一見幸せそうに見えてるけどギクシャクした妻(真木よう子)との夫婦関係が描かれています。
生い立ちを隠して結婚生活を送っていた谷口夫妻と経済的にも安定して生活している城戸夫婦の対比も面白かったです。
妻夫木聡さんが笑うと嘘くさいのはすごいなと思う。
作り笑顔の名手だと思う。絶対裏があって、激昂してキレそうな含みのある笑顔が怖いのよ。怖いの。笑顔なのに不穏なのってすごいですよね。
ラストである男の正体が判明するのですが、二転三転する物語の展開と登場人物の多さに頭がこんがらがります。
劇中でもホワイトボードを使って関係性を整理してくれるのでありがたかったです。
原作は未読なのですが、映画版と原作ではラストが違うそうです。
原作では谷口夫婦の話に視点が置かれた結末だそうです。
映画では「ある男」の過去を消し去る方法に視点が置かれた結末でした。
個人的にはミステリー色が強くなって映画版のラストでも良かったとは思うのですが、ラストを付け加えることで蛇足感があったかなぁとも感じました。
実際のところどっちだったの?
妄想?現実?とモヤッとした気持ちが残りました。
明日を生きる自分を作れるのは今の自分しかいないので、自分の生き方に後悔しないように生きていきたいなと考えさせられる映画でした。
ミステリーかと思ったら社会問題がテーマの作品でした。
見応えのある作品ですので、邦画が好きだよと言う方にオススメです。
RE:BORN
妻夫木聡が調べれば調べるほど自分の人生を捨てたくなっていく様が良かった。
この作品の英語タイトルは A MAN
1人の男、三人称単数、名前が本当に特定の個人を示すのではないとしたのなら、人間の存在なんてあやふやでなろうとすれば誰にでも実はなれるのかもね。
血に抗い、名を変える意味。
原作は未読です。
愛に、過去は必要ですか?
芥川賞作家・平野啓一郎氏の同名小説を「愚行録」で知られる石川慶監督が描くヒューマン・ミステリーです。
妻夫木聡・安藤サクラ・窪田正孝、俳優陣は三者三様の何役を熱演で、物語がとても引き締まりました。きっと、来年の賞レースを席巻すると私は確信しました!!
本編は、重厚なストーリーに、この上ない切ない展開で、登場人物の掘り下げも深く丁寧に描いているので、私は序盤から物語に惹き込まれました。
ヒューマン&サスペンス&ラブストーリー&ミステリー、様々なテーマが乱立していますが、ひとつとして悪目立ちせずに自然に溶け込んでいました。まさに石川慶監督の真骨頂であり、プロの手腕に感服しました。
幽霊の正体見たり枯れ尾花
2022年劇場鑑賞265本目。
結婚した夫の名前や経歴がでたらめだったことを知り、じゃこの人誰よ?という話。
謎を追う弁護士が妻夫木聡、妻が安藤サクラ、夫が窪田正孝です。
最初窪田正孝が成りすましているのが妻夫木聡かと思ったら全然違ったぜ!
安藤サクラは役によって美人と不細工を演じ分けられるのですごいですね。今回は思わず恋に堕ちてしまうような美人の役でした。
劇中妻夫木聡が在日の顔をしていると言われるシーンがあるのですが、実際はそういうことはないのでまぁセリフだから仕方ないけどちょっと無理あるなぁと思いましたね。
謎が謎を呼ぶ展開なのですが、真相が分かるにつれて期待が大きすぎたのか、そういうことなんだ、ふーんという感じになってしまい、カタルシスは低めでした。
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