「自分とはなんなのか」ある男 M hobbyさんの映画レビュー(感想・評価)
自分とはなんなのか
愛した夫がある日事故で亡くなる。
その後、彼が名乗っていた人物は別の誰かであることが判明。。。じゃぁ、彼の本名は?彼は一体どこの誰?
を探っていく、ヒューマンミステリー。
たくさんの賞を獲った、話題作でしたね。
主演も助演も監督賞もなんだかんだ全部獲った印象でしたが、2年越しにようやく観賞できました。
主演の妻夫木くんの演技。ブッキーの演技好きやなぁ〜って、改めて思いました。顔が可愛すぎるので、なかなかキャラクター選ぶかなと思いましたが、良い俳優さんに成長されて(え?私誰?) 今作では弁護士という硬い役職で、人柄は落ち着いていて、温かい。
でも、ストーリーが進むにつれ、不安定だったり、急に感情的になったり。
↑てか、そうですよね。人間ですから。
いろんな面があって当然なのに。これもまた自分の中にある思い込み?とかかな。
助演のお二方。安藤サクラさんに、窪田くん。素晴らしかったです。
安定の演技力。 窪田くん、役作りで相当体絞られたんだろうけど、出来上がりパーフェクト。表情鬼気迫り過ぎて怖かった。すんごいです。
そして、さすがの柄本明さんですね。
怪演でした。。。
話の途中でスパイス効きすぎやし、もちろんジワジワくるし。。。あ〜、もうこの人出てくるだけで、間違いないと思える安心感。大好きっ。
清野菜名ちゃんや、太賀くんも、いい味でてた。太賀くん一瞬やのに、何あの存在感。この2人のシーンは、重いストーリーの中で、フッと光が差したシーンでしたね。
自分自身はこんなにも、本来の自分を消してしまいたいと思っているのに、その自分を受け止めてくれる人がいるって事が、無条件で心に突っ張りを緩めてくれる。
内なる自分と、社会で区別されラベルを貼られて、何かに属したり評価されたりする自分。どちらもとても不安定で、確定なものでないと思う。
自分の力ではどないもできないこと(犯罪者の親の血とか、もともとの国籍とか)があって、そこに雁字搦めになってる人がいるってこと。想像しないと気が付かず、ましてや、差別したり、誤った表現をしてしまったりしてしまう事もきっと私もある。
だからこそ、こういう作品を見て、もっと考えたい、もっと知りたい、もっとフラットな人になりたいと思わされる。なので、見てよかった。
未だに人種差別とかしてる人おるんやな、なんてそんな呑気なことは思わないけど、出来るならそういう人の周りには行かないように気をつけたい。間違いなく気分を害されるから。。。頼むから、他人があーじゃこーじゃ言わんでって思う。
ユウトくんが、亡くなった父親について、妹には話すのどうしよっか?と母に聞かれた際、「僕が話す。どんなお父さんだったか。」てセリフ。グッときたよ。それよそれなんよ。とテレビの前でつい声が出ました。
あの台詞が聞けて、それだけでこの映画みてモヤッとしてた部分が晴れました。ありがと。