「様々なテーマが凝縮された良作」ある男 bu__kaさんの映画レビュー(感想・評価)
様々なテーマが凝縮された良作
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遅ればせながら配信で視聴。
映画館で見ていたら、暫く呆然としてしまっていた気がする。
国籍による差別、親の境遇による周りからの目線、家族関係…別の人生を生きることでしか脱却できない悩みや苦しみがあるということが、非常に説得力のある形で描かれていた。
本作に印象的なモチーフとして使われている「複製禁止」、および謎解きの大きな鍵となる窪田正孝演じる小林謙吉/原誠の描く、顔のイメージが一部ぼかされた絵画も、ルネ・マグリットがモチーフとなっているだろう。
ルネ・マグリットも、彼の絵画人生に母の自殺が大きく影響しており、この作品との繋がりを感じさせられる。
そして衝撃のラスト。妻夫木聡演じる弁護士の人探しの旅は、自分の人生探しの旅であったのかもしれない。
母と息子の描き方も非常に素晴らしかった。息子の演技も圧巻。個人的には、まだ何も知らない幼い娘がこれからどのように育ち、自分の境遇と向き合っていくのかについても考えさせられた。
短い時間ながらも、一つ一つのテーマを可能な限り丁寧に描いていると感じる良作。
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