劇場公開日 2022年11月18日

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「見応えある秀作」ある男 アラカンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0見応えある秀作

2022年11月18日
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鑑賞方法:映画館

原作は未読である。子供は親が誰であるのかを知らずに生まれ、成長と共に知ることになる訳であるが、犯罪者の子供は犯罪者なのかというのは古くからの命題であり、聖書の原罪の根拠にもされている。しかし、親が犯した犯罪で子供が裁かれるのは理不尽である。同じことは在日の者にも言えて、好きで在日の子供に生まれてきた訳ではないのに日本人からのバッシングを受けるのは理不尽だと言いたがっているように見えた。

しかし、親が犯罪者である場合と在日である場合は全く事情が異なるものである。犯罪者は犯行の手口を我が子に教えたりはしないが、在日の家では日本人に対して終戦以降代々受け継がれて来た根深い恨みつらみが物語として継承されている。また、犯罪者の形質が遺伝することは考えにくいが、在日の遺伝形質は間違いなく伝わっている。その相違は明確に区別すべきである。

他人の戸籍を勝手に詐称するのは、相手が存命の場合は極めて難しいが、死亡した者になりすましたり、あるいは戸籍を変えたい者が二人いる場合に交換というのはあり得る話で、戸籍には顔写真などが付いていないのでそうした抜け道が可能性として残されている。将来的には DNA 型も併せて登録するとかにしなければ不正を完全には防げないだろう。

犯罪者の父親譲りの風貌に絶望しながら、それでも懸命に生きていこうとした者の哀しさと、正体不明の人物を徐々に明らかにしていく展開が非常に見応えがあった。真相に行き着くまでの展開に無理がなく、実に丁寧な物語の進行には、見る者に深く納得させるものがあった。見事な脚本だと思った。

窪田は、父親のトラウマを抱えながら懸命に生きる人物を好演していた。ボクサーとしての身体の鍛え方も見事であった。妻夫木は、普段は上機嫌で物腰も柔らかいが、一旦キレると別人のように凶暴になるという在日らしさを実に良く演じていた。安藤は少し表情に乏しく、どんな場面でも同じように見えてしまったのは残念だった。真木は適役だったというべきだろう。柄本は相変わらずの怪演だった。

非常に濃密な映画で、見応えがあった。ただ、音楽が凡庸過ぎたのが残念だった。
(映像5+脚本5+役者4+音楽1+演出5)×4= 80 点

アラカン
アラカンさんのコメント
2022年11月20日

やれやれ、やっぱり来たか。

アラカン
いぱねまさんのコメント
2022年11月19日

"在日の遺伝形質"って?
"終戦以降代々受け継がれて来た根深い恨みつらみが物語として継承されている"って?
もしかして、作中の弁護士の義父の人物設定の話?

もし恨みつらみを言うならばまさしく現在も貴殿の言質が一役買っているのでしょうね

いぱねま