劇場公開日 2022年11月18日

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ある男のレビュー・感想・評価

全521件中、1~20件目を表示

4.5自分はどんな人間なのか?

2024年4月21日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

興奮

知的

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くまの

3.0城戸と大祐、二人の人間の「解放」の物語

2024年3月27日
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鑑賞方法:VOD

これは大祐と城戸という二人の人間の「解放」の物語であり、解放される過程、つまり彼らが彼らの人生を獲得していく過程をもっと見ていたかった。
原作は不勉強にして未読だけれど、少なくとも映画を見た限り、人間が「自分の前提」として無意識に受け入れている「ラベル」を外したらどうなるか、という思考実験をしているように思う。
人生には「社会からのラベル」と「内面のラベル」が付きまとっていて、前者は名前や家族、出身地や家族や社会での役割や経歴・学歴などで、後者は性格や能力や才能の有無、そして社会からのラベルなどを無意識かつ自己暗示的に刷り込んでいるもの。この物語は、「社会からのラベル」を交換し別人になりすましたら、という仮定のもとに構成されている。社会から勝手に与えられる外圧が完全に変わることで社会からの見る目が変わる。周りの態度が変われば、自分を無意識に縛る「内面のラベル」のひとつも消え、社会的にも内面の動きとしても自由度が高まる。その変化は、勝手に自分で設定していた性格や才能の有無などへも波及して、できること、やれること、受け入れられることが連鎖的に増えていく。だんだんと未来が開けていく実感をする。例えばSNSでは別人かと思う振る舞いができる場合があるように、「社会からのラベル」が外れることで、無意識下で縛っていた「内面のラベル」も外れていき、「自分はこういう人間だ」という枷から解放されていく。この映画は、社会から人生の前提として与えられる外圧を外せば、自由に振る舞え、それは解放であり、救いであると言っているように思う。
そして、大祐も城戸も、どちらも外圧が人間形成や人生の大部分に影響してきた人だった。その大きすぎる枷が外れたとき、得も言われぬ快感を感じたに違いない。自分を縛ってきた重い鎖から解放された人間は、別の自分をだんだんと獲得していき、それが「この人生、手放せませんねぇ」に集約される。
見事だった。
欲を言えば、その人間再生の過程、新しいラベルになじみながら、解放され、新しく生きなおす様子をもっと見ていたかった。この物語の肝が、城戸が大祐の人生にじわじわ侵食され感化されていくところだとしても。

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消々

4.0城戸が自分を見失う物語としての考察(空想)

2022年11月25日
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ニコ

4.0「ある男」たち、そして田舎まんじゅうのこと

2022年11月21日
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 冒頭から、すーっと物語に引き込まれた。白い壁に掛かった、鏡に映る男の後ろ姿の絵。ラストシーンで再び絵が登場し、本を閉じるように物語は幕を閉じる。(同時期に公開中の「窓辺にて」と同様の時系列だ。)事故死した男•大祐(窪田正孝)の過去を追う物語と思いきや、謎を追うことにのめり込んでいく、顔のない弁護士•城戸(妻夫木聡)こそが「ある男」だと改めて感じた。
 彼は、穏やかな人権派弁護士として慕われ、裕福な暮らしを手に入れている。けれども、義父の歯に絹着せぬ発言に、自分の出自を意識せずにはいられない。執拗に国籍を話題にする詐欺犯•小見浦に激昂し、ヘイトスピーチのニュースに感情を乱され、幼い息子にも声を荒げてしまう。それでいて、一番近しいはずの妻とは淡白なやり取りばかり。満ち足りているはずの生活のほころびが、次第にあらわになる。
 何不自由ないはずのこの生活は、本当に満ち足りていると言えるのか。そもそも、自分で望んだ生活なのかさえ、彼にはもう分からない。大祐の過去の謎に迫り、大祐と関わってきた人々の人生に触れるほどに、彼の心は揺らぎ、何ものかに追い詰められていく。
 一方里枝は、幾度かの喪失を経て、揺るぎなさを身に付ける。冒頭ではうつむき、今にも崩れ落ちそうであったのが、最後はしっかりと顔を上げてほほ笑む。中学生になった息子との、率直かつ親密なやり取りが忘れがたい。「ある男」たちより出番が少ないながら、安藤サクラの繊細な演じ分けは圧巻だった。
 些細なことではあるが、城戸たちが事務所でつまむものが、どれも外側と中身で成り立つ食べ物だったのも目についた。温泉饅頭、豚まん、そしてずんだ餅。皮とあん、それぞれの美味しさだけでなく、外と中のバランスが良く、一体であってこそ美味しい。
 例えるなら、里枝親子はごく普通のおまんじゅうだ。特別な食材を使っているわけでも、ネームバリューがあるわけでもない。でも、触れるとふっくらとして、手のひらに載せると程よい持ち重りがする。誰かと分け合って食べたら、きっとおいしい。とりとめなく、そんなことを考えた。

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cma

4.5実存はどこにあるのか

2022年11月30日
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タイトルが地味だけど、こう言うしかない。自分は何者か、肩書や人種や国籍や、色々なものをはぎとって本質を見つめた時、残るものは何だろう。戸籍を入れ替えて過去も名前も捨てた男が死んで、彼が本当は何者だったのかを追いかける弁護士は国籍を日本に帰化した在日3世。自分は日本人か在日か、アイデンティティはどこにあるのかと問わざるを得なくなる。個人を個人として規定するものは、内面なのか、社会的な立場や評価、戸籍などの記録か、血筋なのか。自分はこういう人間だと内面で強く思ったとしても、世間は、犯罪者の息子は犯罪者の息子として扱ってくる。だから、自分は何の罪も犯していなくても犯罪者の息子として生きざるを得ない。
戸籍を交換し、外面の肩書などを全て外した時に残るものはなんなのだろうか。「ある男」としか言いようがない存在になっても、何かが個人の証として残るものがあるのかどうか。自分に残るものはなんだろうと考えてしまった。

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杉本穂高

4.5「唯一不可分な個人」と「自分探し」からの解放

2022年11月26日
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悲しい

知的

本作「ある男」の評論を当サイトに寄稿したので、このレビュー枠では補足的なトピックについて書いてみたい。

評では原作小説を著した作家・平野啓一郎が提唱する“分人主義”に触れ、「対人関係ごとに分化した異なる人格を“分人”と呼び、それら複数の人格すべてを『本当の自分』として肯定的に捉える」と紹介した。この分人主義と対照的なのが、従来の「個人の自我が唯一無二でそれ以上分けることができない最小単位である」という考え方。この考え方に基づいて、現状の自分に何かしら不満を持っている人が、「本当の自分はこんなはずじゃない」「いつか真の自分に出会えるはず」と思い込み、“自分探し”の旅に出たりしたのだろうと想像される。だが分人主義の考え方に立てば、どんな相手といる時でも、どんな状況でも、どんな気分でも、いろんな自分があっていいのだし、それらもすべて自分として受け入れられる。映画に寄せて考えるなら、出自や戸籍にとらわれず、さまざまな人生を生きていいじゃないかという、ある意味ラディカルでアナーキーな思想ととらえることができる。

自分の中の多様性を認めることは、他の人たちの多様性も認める寛容な社会につながるはず。小説にしろ映画にしろ、「ある男」に触れてそんな理念に近づく人が増えるといいなと願う。

もう一つ触れておきたいトピックが、評の冒頭でも言及したルネ・マグリットの絵画『複製禁止』に関すること。映画の中に登場するのは原作小説の冒頭に書かれていたのを踏襲したからだが、それとは別に、映画オリジナルのマグリット絵画への目配せがある。美術好きならきっと気づいただろうが、それは妻夫木聡が演じる弁護士の城戸が死刑囚の絵画展で目を留めた、顔の中心が潰されたように消された肖像のスケッチ(小説では肖像画は登場せず、風景画の画風が似ていることで、城戸は“X”とその父の関係に気づく)。マグリットは、顔の位置に照明の光があって顔がまったく見えない絵や、顔の中央にリンゴが配されている絵などを描き、「描かれた顔=個人のアイデンティティー」という肖像画の約束事の脱構築に挑んだ画家でもあった。映画の製作陣がマグリット風に顔が消された絵を登場させたのは、分人主義に基づく物語で『複製禁止』に言及した平野の秀逸なアイデアへのリスペクトであり、映像としてインパクトのある実に映画らしい脚色と言えるだろう。

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高森 郁哉

4.5考えさせられる

2024年10月27日
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泣ける

怖い

難しい

良い映画でした。
自分の好きなタイプの映画です。
ただ、後半何か驚きがあればもっと良かったかな、とは思いました。

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汚いおじさん

5.0平野啓一郎先生の作品のテーマだと思う。 実存主義 と アイデンティ...

2024年10月22日
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マサシ

3.5事実

2024年10月16日
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すごくテンポが良くて観やすい作品でした。

過去は変えられない。
自分の力ではどうにもできないことだって起こる。間違いだって起こす。
そんな過去を、どうしようも無い今を捨てたいと思ったことない人はいるのかな。

過去なんてどうでもいい。
そう言ってくれる人がそばに居たらそう思えるのかもしれない。
でも記憶にも、記録にも過去はついてくる。

人種差別だって、過去を見てるから起こること。

今だけを見られることができたら、色んな問題が解決するのに。
でもそういう訳にはいかない。
大切な家族がもし殺されたら、私は犯人が生きることは望めない。

事実はその人にとってひとつだけど、人の数だけ事実があって、過去を変えたいと願う人は、人になりすまさないと人生を変えられない人が、今この世界にいる。

お芝居の技術が素晴らしかったです。
その人としてそこにあること、それはどんなに難しいだろう。

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みのすけ

3.5ドキュメンタリーを見ている感じ?

2024年10月6日
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tarotaiu

3.0ヒューマンミステリー

2024年10月4日
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興奮

驚くべき真実に近づいていくゾワゾワ感..

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小雨

3.0①誰って思って調べてそれ紐とくのなら、2人目ももう少し内容あっても...

2024年9月24日
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あさみ

5.0自分の過去を消したくて、何度も別の人生を上書きしようとする。他人の...

2024年9月22日
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るる 移行

自分には時間の無駄

2024年9月14日
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これほど退屈な映画をみたのは久しぶりでした。この監督の映画は二度と見ません。

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TTT

4.0谷口視点で見たかった

2024年9月2日
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知的

難しい

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たけかず

3.0不許複製 / Not To Be Reproduced

2024年8月31日
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不許複製 / Not To Be Reproduced
エドワード・ジェームズの肖像
映画で重要な意味を持つアイコンから始まる映画
全般的に、好きなトーンである
が、内容が身近なだけに、少し引いた目で見てしまったかもしれないし、そうはならんやろ感はあったものの、役者たち、特に安藤サクラ演じる里枝の息子役の悠人くんの好演に引き込まれて、よくまとまっていた。

戸籍を売買してまで、自分の過去を打ち消したい男たちの話。
そこに存在している自分が自分であり、自分の過去なんて変えられないのにね。
その点には里枝が言及するのに、城戸(妻夫木聡)は、他の人の過去を自分の物語として語ってしまう。
うーん。その辺りは、原作そのものが甘いのでしょうか。。。。。それとも男は形式にとらわれる生き物だと主張しているでしょうか???
在日に対するヘイトを描くなら、そのテーマだけにしてほしい。上っ面で描くなんて、勘弁。
城戸が在日であることを恥じていて自分を、reproduceしたのだ、みたいなのって、わかってないなぁ、と社会の無知も痛感できる、まぁ勉強になる映画でした。

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サニーインティライミ

良い流れ

2024年8月9日
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泣ける

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foo

4.5ラベル

2024年8月1日
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家族のすれ違い、家族とは何!名前も過去も大切ではなくて今を大切にしているかがよくわかる映画でした。

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まさ

3.0安定の安藤さくら

2024年7月28日
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妻夫木がめちゃくちゃ良い演技してましたね!
怒りを内に秘めてちょっとした仕草と表情で演技していて凄かったっす。
あと脇を固める役者さんがいちいち良かったです。
ただ終始静かな展開なので一瞬気絶してしまいました。

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お主ナトゥはご存じか2世

4.0ヒューマンドラマと、娯楽ミステリーの

2024年7月27日
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wutang