死刑にいたる病のレビュー・感想・評価
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「爪、綺麗だね。」「剝がしたくなる? 私わかるなあ。好きな人の一部を持っていたいって気持ち。」
冷静なのか冷淡なのか、終始感情が揺れることなく落ち着き払う榛村(阿部サダヲ)。 生気もない青年が、次第に力強く、何かを得たかのように変貌していく雅也(岡田健史)。 対照的だった二人なのに、次第に榛村に導かれるように雅也の中の何かが共鳴していくようで、ゾクゾクが止まらなくなっていった。そう、ガラス越しに向かい合う二人の影が重なっていくのがその暗示のように。しかしそれは、榛村に"操縦"されていたのだった。雅也も、映画を観ている僕も。「死刑にいたる病」とはをうまくタイトルをつけたもので、ああ自分にはこの人の・・と思い込ませる仕掛けがあったわけか。 そしてその操縦は、ひとりふたりで済むことはなく、しかも、ずっと続いているってのがおぞましい。解けない魔法のような榛村による巧妙な操縦が、今も。それを目の当たりにして、得体のしれないものに出くわした気分の雅也。ああたしか、「凶悪」の山田孝之も、ラストこんな気分だったような。白石監督の仕掛けの妙かな。 なお、ロケ地は主に地元宇都宮。いたるところに既視感ある風景。だけどいませんよ、あんなパン屋さん。でも、いやだなあ、桜の花びらが人の爪に見えるようになったら。事件の真実を求めようとした雅也のように、何かに追い立てられるように、几帳面で高校生に優しく声をかけるパン屋さんがいるんじゃないかと近所を探してしまう衝動が起きるかもしれない。
シリアルキラーファンタジー
原作未読、予告などを見てかなり期待して観ましたが、映画にいまいちのめり込むことが出来ず、心の底から楽しむことが出来なかった。その理由は、おそらく計算され過ぎていたからだと思う。この作品に限った話ではないが、個人的には計算され過ぎた狂気というものはどこか現実味に欠け冷めた目で見てしまう場合が多い。 今作は凶悪のようなリアリティは無く、ファンタジーとしてシリアルキラーを描いた作品だと思う。 そのため、物語としてはよく出来ていて、一応最後まで納得させられる出来栄えにはなっている。特に作品の前半はとても良く出来ていて目が離せない。しかし中盤以降大きな盛り上がりはあまりなく淡々とこの物語の種明かしがされていく。しかも種が明かされれば明かされるほどこの作品の不自然さが目に付いてくる。 その不自然さとはリアリティのあるシリアルキラーとして描こうとしているのにあまりにも計算され過ぎているのだ。計算高い脚本、キャラクターが駄目だとは思わない。例えばソウの一作目とジグソウというキャラはその典型だと思う。しかしそこに映画としての不自然さは感じなかった。それはジグソウには核となる思想があり、その思想も作品を通して観客は理解できるようになっていたからだと思う。 一方で今作の榛村にはそこまで納得できるような思想は感じられなかった。シリアルキラーとしての趣向はあれど、観客を納得させるほどの思想が無いのでジグソウのような納得感があまり感じられなかったように思う。 最後に明かされる仕掛けもアイディアとしては面白いとは思うのだが、今一つ登場人物の行動原理にリアリティがないので、驚きよりも何で?の方が先行してしまい、プロット優先でキャラクターが動いてる感が否めなかった。 細かい部分だが、何気ない大学の風景として映される生徒たちの描写にもちゃんと意味があったのは素直に感心しました。あと役者達の演技は本当に素晴らしかったと思う。
白石監督好きなんだけど、邦画として普通のサイコサスペンスでした。
レイトショーなのにも関わらす、ほぼ満席でした。 白石監督の作品が好きなので、喜ばしい限りです。 最初の1/4までは、どんどん酷い話になるのかなと期待しましたが、そのまま平坦に終わってしまいました。 白石作品に期待するのは、グロ描写ではなく、暴力描写です。 また、我々誰もが持っている暴力性に気づかせて暮れることです。 R指定されないように抑えているのでしょうか? (もちろん、監督には期待されているものではない、新ことをどんどんやって、良い意味で裏切って欲しいです。) 原作は読んでいませんが、近いのはトマス・ハリスの『羊たちの沈黙』じゃなくて、『レッドドラゴン』でしょう。 『レッドドラゴン』は電話越しに、遠隔地で話が進んでいるはずなのに、後半にかけてどんどん恐怖が増していきます。 本作は緊迫感が感じられませんでした。容疑者捕まってるし、怪しい人たちは主人公よりは弱そうだし、走れば逃げれそうだし、銃も無い。 凶器は文房具とヤットコ位しか出てこない。すでに終わった事件の感想をみんなで言い合っているようです。 岡田健史さん、よくやってました。 阿部サダヲさん、『彼女がその名を知らない鳥たち』ではウザいダメ男役が最高でした。 今回は、普通に良い人に見える人がシリアルキラーと言う役所ですが、普通すぎで本当は何にもしていないのに、異常な承認欲求を満たすために嘘ついているのかと思ってしまいました。 サイコパスなんだから、一見普通なんだけど、どこかに不自然な言動があって、この人気持ち悪いと思わせないと。まあ、これは脚本の問題かもしれませんが。 岩田剛典さん。誰が演じているのかわかりませんでしたが、ミスキャストでは? 無理におどおどしているように見えます。結構、難しい演技が要求うされていますよ。 あと、原作の問題ですが、痣を隠して髪伸ばすって何だよ。太田母斑なら、気にせず露出して生きている人は山ほど居るし、小さい時からコツコツレーザー治療ができるし、カバーマークで綺麗に隠すこともできますよ。最初のころは普通に公園で遊んでたじゃないの。ちゃんとリサーチしたのかな? 面会室の映像は、どこまでが現実かわからなくなるようにしてあったので、全編この調子にすればもっと良かったと思います。 総合すると、邦画で見られる普通程度(偉そうで済みません)の作品でした。
サスペンスとしてなかなか
サスペンスとして面白かったと思います。 面会室の演出も自分は好きでした。だんだん支配されていくような感じがゾクゾクします。 グロ苦手な人は要注意! 若い頃のときのサダヲさんがゆってぃに見えて、最後のエンドロールで探しちゃいました。違うだろ、いやまさかと。
なかなかエグい作品だった
色んな意味でエグかった。映像もストーリー展開も阿部の演技力も、本当エグかった。 原作未読だが、なかなか良く出来たストーリーだ。伏線張りの思わせ振りからドンデン、さらなるドンデン。さらにラストのおまけ的?なドンデン(これがまた一番効いたかも)で幕が閉まり、一気にゾワゾワしたww 殺害シーンや死体処理シーンの連続に、邦画もここまで来たかと。こりゃあ立派なR指定だなと。 阿部の際者絶品演技に並ぶのは、ミポリンの旦那役(敢えてこういう言い方)の不気味さだろう。これも凄かった。 残念なのは岡田の演技力の乏しさ。表情は良いが棒読み感含め下手だなと。 いずれにせよ、邦画で久々の当たり作だった。
阿部サダヲ最恐
オープニングからタイトルがでるまでがゾクゾクした。韓国映画みたいにあのままのグロで最後まで突っ走ってくれればよかったのに。 刑務所に入ってしまっているから無理か。 途中で、ん?てのが何回かあった。最後に回収されたけど、すっきりしなかったな。もう一度観たいとか、原作読んでみたいっていう内容の話ではないから、途中で引いてしまったのが残念だった。 何が伝えたかったんだろう、と身も蓋もない感想を持ってしまった。 主役のふたりはよかったけれど、中山美穂と岩田剛典はどうだったんだろう。面白いキャスティングだけど、あんな中山美穂や岩田剛典は誰も見たくないんじゃないかな。 父親役、弁護士役の俳優さん、あまり見かけない方(失礼)だったのがかえってよかった。 傍聴席に阿蘇山大噴火が座ってたのはなんだかなぁ、この作品にこういった遊びは必要ないような気がする。 阿部サダヲ「マザー」のクズ男も良かったけど、今作のシリアルキラーは最恐。人の良さそうな俳優さんがこういう役すると本当に怖い。 上映前の予告編、阿部サダヲ主演の「アイアムまきもと」。英国映画「おみおくりの作法」のリメイクらしい。すごく楽しみ。
白石監督渾身の残虐シーン
孤狼の血がまともなのか?と勘違いするくらいの残虐シーンには目を覆うが、これが白石監督の真骨頂。 阿部サダヲさんは、今後トラウマになるであろうの熱演で、街中で偶然彼に会っても近づきたくなくなるくらいの目の奥の怖さがあった。 数種のマインドコントロールが散りばめられて、見ているこちらも騙されていく。 そして、ウエディングハイとは180度違うがんちゃんの演技に拍手!!
死刑にいたるその病に興味なし
この病については 2時間観たところで理解できる類のものではないし、関心持てないし 一般人が理解できる範疇超えてて だから何なの?と言いたくなる。 より激しい グロテスクな映像が 凄い映画ではないと思うし。 ラストの終わり方が ますます難解で 得られたものは 何もありませんでした。
まぁまぁですね
思ったよりはグロくなくてよかった。 阿部サダヲ淡々としてるからこそ怖いですな。。若い時代にちゃんと若い顔になっててさすが。子役似てたな。 岡田くんも安定感出てきましたな、だいぶ。岩ちゃんはなぜキャスティングされたんだろう。 宮崎優がちょっと気になった。 最後はこの間みちょぱが知らないで話題になった、阿部サダヲの名前の由来の阿部定事件に絡めてきたのかな。
PG12の水準とは思えないほど描写がきついので注意
今年132本目(合計406本目/今月(2022年5月度)9本目)。 原作となる小説があるのは後で知ったところです。したがって、その映画化である以上、もとの小説を基本的に下敷きにしている以上、あることないこと書けないという事情は確かに存在します。 多くの方が書かれている通り、「よくPG12で通ったなぁ」という状況で、拷問シーン等結構きびしいです(リアル視聴者のメンタル的な部分にも依存します)。まぁ、正直なところR15レベルは覚悟したほうが良いのでは…というところです。 一方で映画の趣旨的に誰が真犯人でトリックがどうだのということを書き始めると趣旨的にネタバレであり、結局この映画はそこに全部帰してしまうので(このことはずっと予告編などでも話されていたこと)、正直レビューサイトなのにレビューが書けないという珍妙な映画です。 気になった点などいくつか考慮しています。 --------------------------------------- (減点0.2/配慮不足) いくつか指摘がありますが、正直なところ、「ただの素人」(大学生)が弁護士事務所を訪れても、資料を見せたりということはないのでは…というところです。さらに最初の訪問時の指示が「中途半端」であったために大学生が勝手な行動を取るところがあります(このような事件で、特に控訴審(通常は、高裁)で争われている中で、弁護士資格がない人があっちこっち聞きまわったり現場に行ったりすると、当事者の心象が悪化したり、裁判の進行に支障をきたすような状況さえ発生しえます)。 正直なところ、普通の人は一般常識でやらないし、(弁護士でない)法律系資格「だけ」を持っている方(行政書士など。私もその類型)は「もっと」やらないので(それらがまずい行為であることは当然にわかりうる)、この部分は正直どうなのか…と思います。 (まぁ、最初に事務所に訪れたときに「どこまでやってよく、これはやってはいけない」という明確な指示を出していないこと、それ自体が一番まずいと考えるのが妥当?) (減点0.1/配慮不足) 上述通り、PG12というレベルではとても見るのはきついです。また、現在(2021~2022)でも問題視されている「とある事項」(福祉行政的なお話)に触れている部分もあり、実際に当事者の方もリアルには(数は少ないかもしれませんが、確実に)います。 そうした方にも配慮はやはり足りていないのでは…というところです。 ---------------------------------------
【操られる映画】
ガラス越しに巧みな言葉で操ってくる殺人鬼。衝撃のラストは、見ているこちらも2時間通してじっくりと操られた感覚に。阿部サダヲと岡田健史の狂気の“目”の演技にも注目。 ◆トリビア ○役作りのため、監督は阿部サダヲにビッグボス(日本ハム・新庄剛志監督)イメージの歯のホワイトニングを指示した。 ○阿部サダヲが演じた榛村は、阿部サダヲ史上最悪の殺人鬼。 ○ラストは原作と違う。 ○ 原作小説は出版当初から“イヤミス”(イヤな気分になるミステリー作品)の傑作として、ラスト10ページの展開が大きな話題を呼んだ。 ○原作者の櫛木理宇は、作家デビュー前から世界中のシリアルキラーを集めたサイトを作っており、その想いを本原作で初めて描いた。 ○白石監督と阿部サダヲのタッグ作品『彼女がその名を知らない鳥たち』で、監督が『5分前に人を殺してきたような目をしてもらっていいですか?』と指示したシーンの阿部の目が忘れられず、今作の起用に至った。 ○本作で効果的に使われている雨。白石監督は、本音では全編雨の映画を撮りたがっている。 ○ 白石監督は次回作「仮面ライダー BLACK SUN」(今秋配信予定)を撮りあげ、女子プロレスの作品を構想中。 ◆関連作品 ○「凶悪」('13) 白石和彌監督作品。実際に起きた殺人事件を元にしており、死刑未決囚が手紙を出す内容は本作と酷似。プライムビデオ配信中。 ○「彼女がその名を知らない鳥たち」('17) 白石和彌監督、阿部サダヲ主演。2017年度ブルーリボン賞監督賞、主演男優賞受賞作品。白石監督が阿部サダヲを本作で起用するきっかけとなった目のシーンは必見。ラスト衝撃です。プライムビデオ配信中。 ○「クリーピー 偽りの隣人」('16) 邦画のサイコパスといえばこれ。香川照之がどハマり。Netflix配信中。 ◆概要 【原作】 櫛木理宇(くしき りう)「死刑にいたる病」 【脚本】 「そこのみにて光輝く」高田亮 【監督】 「孤狼の血」白石和彌 【出演】 阿部サダヲ、岡田健史、岩田剛典、中山美穂、宮崎優、鈴木卓爾、佐藤玲、赤ペン瀧川、大下ヒロト、吉澤健、音尾琢真 【公開】2022年5月6日 【上映時間】129分 ◆ストーリー 24件の殺人容疑で逮捕され死刑判決を受けた榛村は、犯行当時、雅也の地元でパン屋を営んでおり、中学生だった雅也もよく店を訪れていた。手紙の中で、榛村は自身の罪を認めたものの、最後の事件は冤罪だと訴え、犯人が他にいることを証明してほしいと雅也に依頼する。独自に事件を調べ始めた雅也は、想像を超えるほどに残酷な真相にたどり着く。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆緊張感 何が真実なのか。次第に明かされる雅也の出自、榛村や母との関係性、長髪の男の正体。そして衝撃のラスト。目を覆ってしまう残虐なシーンも、面会室での心理戦も含めて、独特の緊張感に包まれる2時間。特に面会室での心理戦は、いわば鑑賞者目線の雅也と、それを操る榛村の巧みな言葉に、見ているこちらも飲み込まれるようだった。“ゆっくり時間をかけて信頼を得る”事で、ターゲットを手にかけてきた榛村。同級生の加納も洗脳していたラストは、まさに本作を通して視聴する側をも信頼させ、一気に手にかけられたような被害者感覚すら味わうものだった。 ◆目 冒頭、証言台で自身の怠慢を語る榛村の、廃人のような目。後半、金山を凍り付かせ、根津かおるを襲うよう仕向けた榛村のあの目。阿部サダヲにしかできない、どハマりとしか言いようがない役柄でのあの目の演技が素晴らしい。さらに雅也を演じた岡田健史も、全体的に台詞感のない自然体な口回しで、鑑賞者目線により没入させてくれる好演ぶり。こと同級生を抱いた後の、まるで榛村が乗り移ったような、一度も瞬きをしないあの刺すような目の演技も素晴らしかった。 ◆演出 面会室のガラスを超えて手を握ってくるのはまるで「リング」のあのシーン。ガラス越しに顔が重なり心理戦になるのはまるで「三度目の殺人」も彷彿とさせる。画変わりの限界がある面会室のシーンで、ありとあらゆる変化をつけたという白石監督。実の親子である事を印象付ける(結果違うのだけど)両者の顔が一致する画作りや、榛村の目を大きくガラスに映す恐怖のそれもとても効果的。爪剥がしや、むき出しになる足の骨も、「孤狼の血」シリーズ同様、露骨に描き切る白石流の形がしっかり見受けられた。胸糞が悪くなるほど徹底した作り込みは、見終えると逆にどこか清々しい。
新たなサイコパスが誕生
傑作ミステリー小説を白石監督が映画化したサイコサスペンス。白石監督らしい痛々しく惨忍なシーンも多々あり見応え充分。二転三転する予測不能な展開にも引き込まれた。ラストはあっけない幕切れではあるが強烈な印象で新たなサイコパスが誕生したようだ。 2022-82
頑張った感は伝わるが、、、
今一歩でしたねー。サイコサスペンスですよね、グロい場面もあり不気味でしたが、テンポが悪くて、、、。 台詞が聞き取れなかったりもあり映像と理解がずれたり。個人的にストーリーはとても好きだが、役者皆さんも存分に演技を発揮出来てない様な、、。
観た後も怖さが残ります
いやぁ、怖い。 観たあと劇場出てなお恐怖が残るのは久々ですね。 死刑囚が「罪の一部が冤罪だ」と告発する内容は以前白石監督が作った「凶悪」にも共通していますが、あちらは実話を元にした作品でこちらは小説原作のフィクション。 また、告発の調査をさせるのが記者ではなく何故か岡田健史演じる雅也という一般人に調査を頼ませるというのも特徴でした。 今作の魅力はサイコパスの心理や人物像が非常にリアルだったことです。 邦画に出てくるサイコパスは殺害の動機が「人を死ぬのを見てみたかった」等という安直な理由が多くて、どこか物足りない所が多かったのですが、今作ではシリアル・キラーの特徴や殺害の動機にサイコパスらしさが出ていて興味深かったです。 そのシリアル・キラーを演じた阿部サダヲが本当に素晴らしい! 人当たりの良い感じでどこか表情に色味が感じられなくて、なおかつ静かな狂気を感じる様を見事に表現してました! また、岡田健史の演技は今回初めてしっかりと観たのですが、正直まだ彼が演技力があるのか解りません。しかしながら、この役には非常にマッチしていたと思います。社会に馴染めなさそうでどこか根暗な所が彼の少し未熟さの残る台詞回しとどことなく滲み出るスター性から見事に役を表現していました。 そして、一番驚いたのはキーパーソン金山一輝を演じた岩田剛典です! 彼の今までの演技は良くも悪くも「3代目 J soul brothersの岩田剛典」という感じが出ていたので、演技が上手くてもどこか物足りなさを感じてました。 しかし、今作は正直終盤になるまで彼がロン毛の金山を演じてる事に気が付かなかったです。彼の暗くてどこか陰鬱な演技が気持ち悪く、もはや「3代目の岩田剛典」は完全に消えてました! 変わって演出ですが、 劇中の阿部サダヲが被害者に行う拷問シーンは白石監督作品らしくエグく、目を背けたくもなりましたが、シリアルキラーの恐ろしさを体現していて良かったです。 また、面会室の場面ではガラス越しに二人の姿が重なって映してる場面が上手いと思いました。 この映画は自分は結構楽しめたのですが、「微妙だった」と評価する人も少なからずいて賛否分かれてる気がします。 確かに、相変わらずの説明過多な所や映像表現が大袈裟で臭く感じる邦画あるあるが目立つ部分も確かにあります。 ですが、今作は「この場面、この登場人物いる?」というような場面が実は最後まで観ると実は重要な場面だったというのも解り、そういったサプライズを含めて今作は結構怖かったです。 不必要な場面が少なく、2歩3歩先を読むかのように伏線を回収するミステリーとしても秀逸で、演出に怖さを感じたりと、観た後にも怖さが残る作品として評価したいです!
娯楽の境界線を越える生々しい痛み
肯定でも否定でもなく 阿部サダヲ演じるシリアルキラーに どんどん引き込まれる恐怖。 ある意味人の死を娯楽の材料として 利用するのが映画。 その死(加虐)を直視出来ないレベルの リアルな残酷さで表現し きちんと不快にさせる意図は? 白石監督が演出するその生々しい 痛みや狂気や死は娯楽の境界線を超え 自分の日常も無関係では無いと 思わせる説得力がありました。 劇中の被害者と痛みを共有することで 初めて理解に近づくリアルな恐怖。 白石作品はいつも面白かっただけでは 終わらせてくれません。
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