「ベール」死刑にいたる病 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
ベール
冒頭から感じていた紗幕ごしの感覚。
終幕まで見終えてなるほどと唸る。
彼は、全く本心を語らなかったのではなかろうか。いや、法廷でのみ本音を語っていたのだろうか。
サイコパスと区分すれば分かり易いのだろうが、その詳細までは全く理解が及ばない。
人の形態をしてはいるが、宇宙人とか異世界の住人と対面しているようだった。理解が及ばない存在として悪魔と呼称してもよいのだろう。DNAの細部が違うような感触…今作のアベサダヲをなんと形容してよいのか分からない。
人の通念の外側にいる存在。
物語としても混沌を極める。
話の主軸が主軸ではなく、それ自体が餌であり罠であり…シリアルキラーの遊びに付き合う事になる。
彼に善意を見出そうとするのは無駄のような気もする。のだが…犯行が発覚したのが被害者の逃亡だとして、自らのルールに反する殺人を犯したのには、どんな理由があるのだろうか?
24番目の殺人。
25番目の被害者が逃亡。
アザのある男を苦しめる為、逃した獲物を狩る、一石二鳥だとしても、その殺害方法は自身の趣向に準じても良かったはずだ。
…新たな遊びを思いついたって事なのかな?
今の方法に飽きてきて、いつかは捕まるだろうその日の為に仕込んだネタ。
まぁ、常人の考えが及ばない側の人なので、考えたとこりで答えに行き着くような気はしないのだけど。
色々と気持ちの悪い部分はあって…。
父と母のなり初めだったり、キリエさんって主人公のおばあちゃんなのかな、とか。なんか別人のように思えてたのだけれど、母親と養子縁組してたりするから祖母にあたるのだろうけれど、の割には、初めて見た人のような登場の仕方だったり。
彼女からの告白といい…最後の最後まで危うい作品だった。
主人公の男の子が、途中から松田優作さんに見えてきてた。