「『マーターズ』を鑑賞できたとしてもキツイ作品」死刑にいたる病 トモチャフスキー•イノフさんの映画レビュー(感想・評価)
『マーターズ』を鑑賞できたとしてもキツイ作品
私はグロ映画としてよく話題に挙げられている『マーターズ』(リメイク前)を観ることができた。
しかし本作品は、『マーターズ』以上にダメージが大きかったと考える。
この2作品の間の差は、「酷い殺し方をする殺人者が結局何をしたかったのかが明確だったか否か」だと考える。
今回の『死刑に至る病』の連続殺人犯の目的は、
①17歳•18歳の少年少女を性癖的に好んでいた。
②親から虐待を受けて育ってきた子どもたちを選択させることで、彼らの行いを認めてあげたかった。
の2つに分かれる…ように思えた。
しかし連続殺人犯は、自身が幼い頃に、偶然見つけた小学生の女の子を後遺症に至るまで痛めつける行為を行なっていた。
そのような彼のポリシーに関係のない行いをされると、視聴者の脳も混乱するし、最終的に何をしたいのか分からなくなった。
結局、スプラッター映画としてもSAWのような一種の滑稽な痛快さもなく中途半端。サスペンスとして見ても謎が回収されないまま。どの映画の種類としてカテゴライズされてもしっくり来ない、言わばカオスな映画と化していた。
このカオスな状態だと、「グロ」のシーンが特に視聴者の頭に残ってしまい、後味が特に悪い映画となってしまう。
比較している『マーターズ』の場合は、「共感はできないが、なるほど、ああいう考えをする奴もいるんだね〜」くらいには思えるので精神的ダメージは低くて済む。
また対象年齢12歳は少し低すぎではないだろうか。出演者のファンでノリで見てしまった中学生•高校生たちが流石に可哀想だ。
私は酷いシーンでもポップコーンを食べていられたが、R18にしても良いくらいのインパクトはあるように思う。
ちなみに他のレビュー者も述べているが、面会シーンでの心が触れ合うシーン、複数個の映像が流れているシーンなどは工夫が凝らされていて良かった。体に触れることはできないという面会の特性を活かしながら、心の動きを可視化できた点は良かったため★1.5に設定した。