「映像表現の妙」死刑にいたる病 Movieアパートさんの映画レビュー(感想・評価)
映像表現の妙
監督の代表作の一つ 凶悪 に近いテイストを感じて鑑賞。
実際見てみるとプロットの構造も凶悪に似た流れで進んでいくが、登場人物の感情の流れは違った印象。
まず、阿部サダヲの食えないサイコパスな演技は流石。
あの目でジッと見られるだけで不安が押し寄せてくる笑
個人的には浦沢直樹の モンスター のヨハンに少し近いかなぁ あとは言わずもがなハンニバルレクターとか
人の心を蝕み支配していくタイプのサイコパス
正直、最近この手のサイコキラーが出てくる映画が多いので若干見飽きた感はあるが阿部サダヲのパワーでキッチリ仕上がってる
そのほかの若手俳優の方達は初めてみる人ばっかりだったけどいい感じ!
3代目の彼はちょっと浮いてた感もあったけど…
※演技の質の話じゃなく3代目としての佇まいが見てる側として少しノイズに…笑
と、役者陣についていろいろ書いてきたが今作の最大の特徴は役者の演技ではなく映像表現の部分にある。
主人公が大学内を歩く場面、周りは動きがスローなのに対して主人公のみ通常の速度で動いていたりとキャラの立ち位置とか心情が映像表現面で演出される場面が多数。面会室で主人公と阿部サダヲが映像上文字通り 同化 してるように撮られたり(この演出は是枝裕和の三度目の殺人でもあったが)終盤は 脳内映像 みたいなものがそのまま映し出されたりと、結果凶悪の時とは根本的なアプローチの方向性が違う印象。
まぁ映像表現として バッキバキに垢抜けてたか? と聞かれるとそこまででもなかった気もするのが残念な印象もあったりはするが‥
結局阿部サダヲの演技に映像表現が喰われていた感は否めず。
もう少しカメラワークとか構図の面で特徴が感じられたら全般的に筋の通った質感になったのかもしれない
ラストのオチ?については
そう言えばこの子傷ペロペロする女の子だった
という事踏まえると納得感もあったし、キレも良かったけど… なんか別の着地欲しかったようか気もする
白石監督の映画は最近なーんか 無い物ねだり 的な消化不良感があるんだよなぁ
方向性とかは完全に自分好みなのに振り切れてない感というか…
まぁ今後も追い続けますが!