劇場公開日 2022年5月6日

  • 予告編を見る

「シリアルキラーファンタジー」死刑にいたる病 サラダチキンさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5シリアルキラーファンタジー

2022年5月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

原作未読、予告などを見てかなり期待して観ましたが、映画にいまいちのめり込むことが出来ず、心の底から楽しむことが出来なかった。その理由は、おそらく計算され過ぎていたからだと思う。この作品に限った話ではないが、個人的には計算され過ぎた狂気というものはどこか現実味に欠け冷めた目で見てしまう場合が多い。
今作は凶悪のようなリアリティは無く、ファンタジーとしてシリアルキラーを描いた作品だと思う。
そのため、物語としてはよく出来ていて、一応最後まで納得させられる出来栄えにはなっている。特に作品の前半はとても良く出来ていて目が離せない。しかし中盤以降大きな盛り上がりはあまりなく淡々とこの物語の種明かしがされていく。しかも種が明かされれば明かされるほどこの作品の不自然さが目に付いてくる。
その不自然さとはリアリティのあるシリアルキラーとして描こうとしているのにあまりにも計算され過ぎているのだ。計算高い脚本、キャラクターが駄目だとは思わない。例えばソウの一作目とジグソウというキャラはその典型だと思う。しかしそこに映画としての不自然さは感じなかった。それはジグソウには核となる思想があり、その思想も作品を通して観客は理解できるようになっていたからだと思う。
一方で今作の榛村にはそこまで納得できるような思想は感じられなかった。シリアルキラーとしての趣向はあれど、観客を納得させるほどの思想が無いのでジグソウのような納得感があまり感じられなかったように思う。
最後に明かされる仕掛けもアイディアとしては面白いとは思うのだが、今一つ登場人物の行動原理にリアリティがないので、驚きよりも何で?の方が先行してしまい、プロット優先でキャラクターが動いてる感が否めなかった。
細かい部分だが、何気ない大学の風景として映される生徒たちの描写にもちゃんと意味があったのは素直に感心しました。あと役者達の演技は本当に素晴らしかったと思う。

サラダチキン
BAMBiさんのコメント
2022年5月8日

ファンタジー、同意です。
「凶悪」は、本当に生な感じがあり、白石監督との相乗効果が生まれた気がします。

BAMBi