「66歳のおじいさんが鑑賞してみたら、涙は出なかった!」余命10年 いなかびとさんの映画レビュー(感想・評価)
66歳のおじいさんが鑑賞してみたら、涙は出なかった!
泣ける映画だと評判がいいので、66歳の爺さんでも泣けるかと期待して観てみた。普段なら、このたぐいの映画は見る気も起こらない。若者同士の恋愛及びその死別など、この歳になると阿呆らしく思えて仕方がない。気分転換も兼ねて鑑賞した。
観客の9割は高校生や大学生らしき若者たち。私が普段観る映画の観客層とは、全く違っている。大ヒットする映画は、この若者たちが支えているんだなと感じた。映画製作会社は製作資金を回収しなければ、次の映画が作れない。彼らにとって、観客動員できる映画が良い映画である。そういう意味では、この映画は良い映画だろう。資本主義の世界に生きている以上、文句を垂れるのはお門違いである。
私は心底泣ける映画を求めている。どこが駄目だったのだろう。以前観た映画で、小松菜奈の演技力に感心した。しかし、この映画ではその演技力を活かしていない。耐えて泣いているばかりだ。
生への執着をもっと露骨に表現させていないのが原因か。恋人に病気の真相を知らせず、交際するのも不自然だし、将来を考えて身を引くのも気持ちはわかるが、納得出来ない。なら、最後の病室での面会は避けるべきだろう。
実話だからといって、全て事実の通りにしなくてもいい。説得力があれば、脚色したってかまわない。
私事で恐縮だが、昔中学校のPTA会長をしていた時、中学3年生の男子生徒が白血病で亡くなった。
葬儀でお母さんは終始泣きづめだった。短い闘病生活で、お母さんは現実を受け入れることができなかったと推測する。泣くことが彼女の唯一表現方法だった。
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