劇場公開日 2021年10月16日

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「ゴッホより普通の女の子、想像を遥かに上回る残酷な現実の革命前夜のヒロイン」プリテンダーズ たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ゴッホより普通の女の子、想像を遥かに上回る残酷な現実の革命前夜のヒロイン

2021年9月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

柔いポスタービジュアルからは想像も出来ないほど重めのボディブローを感じさせる映画。深く辛かった。舞台挨拶付きなので、それも交えて記していく。

先に言うと、前情報を抜いた方が圧倒的に衝撃を受けるのでオススメしたい。自主映画に近い形だけあって、パンチラインが絶妙かつ濃厚。同時に役者の熱量をひしひしと感じるコクの深い作品。単なるシスターフッドではないし、劇的なドラマを美しく描いているわけでもない。よって、作品が骨太かつバランスも全く取らないパンクのよう。

ただ、個人的には苦しすぎて観ていて胸を強く締め付けるので窒息しそうになる。それは自分が社会に順応しすぎてしまったが故の副作用なのかもしれない。実際、不登校を経験したという小野花梨の言葉が役にも滲み出ていて、見上愛の従順ながら迷いを照らし合わせる姿が印象的だった。

また、Youtubeを武器に世界を変えようとする姿は所詮暴動に写ってしまう。その道程に感情がジェットコースターのように乱舞する。社会のあらゆるリテラシーはとうに崩壊し、ただの形式になっているのではないかと同時に思う。手を取り合うことも実は大げさで、自分の周りだけが彩られれば最大幸福は得られるのかもしれない。

トークショーの中で感じたのは、凄く個々に対しての認識で常に作品の中で葛藤しているということだった。教育のレベルで敷かれたレールは社会に出れば、はみ出し者になる。そこに対しての問題提起の答えがコレだと思うと合点が行く。しかし、映画の枠組みの中では説明不足に思うし、暴力を伴いすぎているように思える。そこが作品のイメージと乖離していてしまったのが惜しいところ。

エンドロール後のラストシーン。鳥肌が立ってしまった。この革命前夜の二人、その行方と確かな嘘に大いに驚いて欲しい。

たいよーさん。