最後の決闘裁判のレビュー・感想・評価
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なかなかの見応え
尺が長いが、そこまで長く感じさせず。
3者の視点から同じ出来事までを描くのはとても面白かった。モテるアダムドライバーは、あの読書やラテン語のくだりで、マットデイモンの奥さんともう相思相愛だと思っちゃったんですね。ほんとにそういう勘違いってありそうだわ。色目使われた、とかさ。
マルグリッド役の女優さんは強くて美しい。
ただなによりマット・デイモンが本当にキモい旦那で、無理すぎました。いや、アダムがいいってわけじゃないんだけど、生理的にきつい。演技がうまいんですね。
ベン・アフレックの金髪は染めた感があったけど、久しぶりにみれてうれしかったです。クズだけどこんなかじゃいちばんましじゃないか?
女性にこそ見てほしい作品
凌辱や殺し合い、重いテーマで中世が舞台ですが、今の時代とマッチしています。
マルグリット自身非力で凌辱されてしまうのですが、作中に登場する誰よりも強い人物で、女性が声を上げることのできなかった時代に立ち上がった芯のある強く美しい女性が描かれています。
途中決闘で負ければ自身も火炙りで処刑される事を知らされるマルグリット、夫に息子の命を救う為なら迷わず目をつぶる事もできたと告げる辺りも見栄や私利だけに動く夫とは違い彼女の強さを感じました。
決闘後は民衆から惜しみない賞賛が送られていますが、彼女にとってそんなことはどうでも良いことで、(息子の)命が助かったことと自分の中の正義が初めて証明されたことの安堵だけだったのではと思います。
3者それぞれの真実(主観)が描かれていて、決闘シーンは息詰まる迫力でした。
やるっきゃ騎士(ナイト)
法廷ものが好きで、「リーガル・ハイ」から「シカゴ7裁判」まで手当り次第に見ているが、この作品は予想に反して裁判ドラマの要素は少なかった。そもそも原題は「最後の決闘」だし。
構成こそ「藪の中」風だが、三者それぞれのパートが証言ではなく回想なので、事実関係の差異はほぼない(“信頼できない語り手”の手法が使えない)。陵辱の行為そのものが観客には明白に示されるので、あとは心理の機微とかの問題になってくる。
それにしても審問におけるセカンドレイプはひどい。決闘に負けたら妻も火あぶりとか、決闘場の観衆の狂騒ぶりとか、中世騎士社会の高潔のイメージとは裏腹のかなりの俗悪さである(そう言えば、同じ百年戦争中にはジャンヌ・ダルクも火あぶりになっている)。
ラテン語はラテン語のまま発しているのに、百年戦争の最中にフランス人が敵国の言語で日常会話しているのはやはり違和感があるな。
当時の再現性は見事と言うしかない。片や日本の風景は近代化が進みすぎて、時代劇のロケーションにはハンディが多い。
老獪な領主を演じたベン・アフレックはなかなか良かった。
ラス前のシーンでの彼女の表情は、
「両方死ねば良かったのに」なのでは。命は助かったけど、これから先一生この男に繋がれて生きていかなきゃいけないのね。バースマシン。
難を言えば、視点を変えて繰り返すなら、もっと認識に差をつけて欲しかった。構成自体は好きだし、ちょっとしたことはなかなか上手く組み立ててあったので、期待したのだけど。アレキサンドリア四重奏とはいかなくても、もう少しこう、世界が反転するような衝撃が欲しかった。
男社会の愚かさ
「藪の中」的アプローチで始まったものの、言うほどそれぞれの認識に食い違いはなし。
特にジャックから見た視点が想像よりもずっと自分が加害者だと認識していたような…。もっと「え、そんなふうに思ってたの⁈」と思わせて欲しかった。
結局は男たちの虚栄心と征服欲の犠牲になって、図らずも命までかけさせられてしまう…日本の戦国時代の女性たちとマルグリッドが話す機会があったら、さぞかし男のくだらなさ加減に花が咲くだろう。
決闘のシーン、上から男たちを見下ろすマルグリッドのあの目はきっとそんな気持ちだったと思う。
考えさせられる、と言う意味では面白かったけど、ストーリーの浅い感じがもう一つだったので星3つです。
あまりの緊張感に目を覆った
GOTが好きなのもあり似たような雰囲気だし、リドリースコットだし、俳優も良いし、絶対観る!と意気込んで映画館に行きましたが、後半マッドデイモンとアダムドライバーが殺し合ってるところで完全に目を覆ってました。
それだけマルグリッドに感情移入してしまったのかなと...
史実はどうだとか、男性目線、女性目線で色んな解釈ができる作品ですが、いろんな視点の意見が飛び交うから面白いんだなと思わせてくれます。
マルグリッド...何を思ってるの...??と
裏表があるようで無いような絶妙な演技。笑
魅力的でした。
長いと思わなかった。
この時代の人立達は生き残るためにうまく立ち回るしかないよね...
GOTじゃもはやコミカルに決闘裁判してましたが、ここまでじっくり背景語られると殺し合いも手に汗握りますね
古典世界から突き抜けてくる女性の闘い
とても現代的な映画だった。と言っても描かれてるのは1800年代だし、描かれる手法は羅生門だし、至って古典的。だけど、描かれる事件は、まんま最近もあったよつな証拠の示しようのないレイプ事件。3人の視点から描かれるレイプに至る道筋。そして本人の視点があるのだからそれが真実になる。なら真実だけ描けばいいのにその亭主と亭主のライバルでありレイパーの視点が入る。亭主は見栄と建前の権化。レイパーは奔放の権化。その両方の犠牲になる女性。結果女性は義理の母もレイプにあったが黙ってた、という生き方を無視し、レイプを公表し、決闘へ亭主を促す。この決闘、亭主が負けたら自らもレイプどこではないリンチ以上の死が待っているというもの。決闘がはじまっても終わっても一言も語らない女。その視線のみ。盛り上がる群衆と名誉を得た亭主。しかし女のみ無言。勝者も敗者もない、ただ子供との未来があった。それがこの女性のレジスタンスだった、と感じた。考えてみれば、出てくる男出てくる男、みんな時代が産んだろくでなしである。その中でマルグリットだけが現代にも通じる女性に見えた。
壮大だがリアル
映像の美しさ、脚本の完成度、演技の見事さ、いずれにおいても高いクオリティを実現していると感じました。14世紀フランスの風景なども再現度が高く、見ごたえがあります。
一つの事件を多視点で語るという手法については、通常それぞれの視点で事実が全く異なるという見せ方にしたほうが、何が真実なのか分からなくなるという意味で物語に複雑さやリアリティを与えると思います。
この作品は「何が真実」を明確に提示しているため、鑑賞者に考える余地を与えていません。むしろヒロインの境遇を真実に据えることで、ミソジニーについて問題提起しているように見えます。
ただし、三視点の描写にそれぞれ微妙なズレを見せることで、人間の心理を巧み描いているという面白さがあると思います。
伝記映画すべてに言えることですが、これを本当の話だと思い込んで鑑賞するようなバイアスを持った映画の本質を見失うような見方だけは避けるべきでしょう。
決闘裁判も含め、当時の空気感を堪能
一つの事件を三者三様の視点で描き、最後の決闘につなげる。3つの真実、当時の女性観など考えさせられることもありつつ、なにより決闘の様子は迫力満点で、153分と少し長尺ですが、飽きさせない構成になっているなと感じました。
百年戦争中の14世紀フランス、当時の空気感が伝わる衣装やセットも見応えがあります。
この決闘裁判という裁判方式、勝った方が正義というのはある意味潔い。現代社会ではあり得ませんが…。
嫌味な八の字がキラリと光る
リドリー・スコットの采配に、マット&ベンの親友映画バカコンビが化学反応を仕掛けた、一見地味なのにトルクの強さで引っ張られる、お見事な作品でした。
「グラディエーター」「」に続く欧州時代劇。其々に角度が違う感じは流石としか言いようがありません。まぁ、好きだから甘々なのはありますが、役者陣の見事な演技も相まって、極上のドラマに仕上がっております。
皆が皆、素晴らしかったのだけれども、アゴ控え目で八の字眉毛フルスロットルだったベン・アフレックが一番好きだったな。あの、嫌な感じは観てて思わず笑っちゃった。お酒が手放せなくて、生きてるのに乾いてる感じは、少しリアルとシンクロ?なんて、思ったりしたりして(苦笑)。
尊大なマットも強欲なアダムもナイス。てか、ろくな男が居ない映画だったな。
マット・デイモン
個人的にマット・デイモンの死闘が見れただけで満足している。
映画館だから見れたが、なかなか長い。
同じ猥褻シーンを2度映すのはいかがなものか。
ジャン、ジャック、マルグリット。
自分に都合のよい記憶を作り上げる主要人物3名の各視点で、決闘裁判までの過程が描かれる。
男同士のプライドに巻き込まれて散々な目に遭ったマルグリットに焦点が当てられている印象だが、
3人とも真実のようで嘘のようにも見える。
とはいえ過程からオチが見えてくる話ではなく、オチがあってその過程を楽しむ作品。
勝つことが大事なのか、生きることが大事なのか、真実が大事なのか。
最後の戦いぶりは一撃ごとにその振動が伝わるほどに重みがあった。
しかし勝利した者が正義というルールでは「なぜ正しいのか」の疑問が消滅する故に、
勝っても負けても心の落とし所を付けられない。
そのためどちらが勝ったところで客観的な違いは無く、結局は当事者が生きるために勝つという話になる。
物理的な決闘を重視した映画では無いようなので、
最後の決着を一発であっけなく終わらせる見せ方もありでは、とも思う。
なんとなくシグルイという漫画を思い出した。
何故?今、中世の「決闘裁判」なのか?
気になっていた作品なので、遅ればせながら鑑賞して来ました。
構成的には、黒澤明の「羅生門」に影響を受けているのは一目瞭然。
黒澤監督の偉大さも感じますネ。
今でもレイプ被害の女性が、その後の迫害や中傷を懸念して事実の公表を躊躇うという心情は良く聞く話ですが、中世ヨーロッパの当時は更に酷かったという事が言えるのでしょう。
裁判という態を為してはいますが、客観的事実が有ったか否かという事よりも、当時の社会の秩序維持といった側面や政治的な思惑も強く感じられました。
勝った方の主張が正当と認められ、負けた死者に全ての罪が被せられる。
今の時代から考えれば明らかに理不尽とも思われますが、勝った側(生き残った側)は英雄と持て囃され、中世の閉塞社会に、一服の清涼感と秩序維持の効果をもたらしたのは事実であったのでしょう。
ラストシーンで、興奮の頂点に達した観衆から、殺せ!殺せ!の大合唱が発せられます。
ローマ時代のコロッセオでの剣闘士同士の殺し合いの結末を彷彿としました。
観衆は自身が安全である限りに於いては、血生臭い事柄が大好きで、決闘はその為の口実の様にさえ見えました。
日本でも江戸時代、敵討ちは許可を得て合法でしたが、お上(行政?司法?)が、自らの責務を当事者に丸投げしていたとも取れる訳で、極論、どちらかが死ねば事は治まった訳ですよネ。
男同士の名誉を賭けた殺し合いと、その狭間で耐えながらも強かに生き抜き、命を繋いで来た女性の姿を垣間見ました。
何故?今どき、中世の決闘裁判?…とも思いましたが、それって、外国の人から見たら「何故今どき、江戸時代末期の新撰組の映画がSF作品の金字塔・DUNEよりも、興行成績が上なんだ!」と同じ位愚問でしたネww
あちらの方々には、自分達を形作ってきた歴史そのものなんですから。
名匠リドリースコット監督による重厚で血塗られた歴史絵巻を堪能しました。
最後まで緊張感が続き、長さを感じさせない
レビューの評価の高さに釣られて鑑賞、期待どおりの良作だった。自分が観た回は満席だったが、すでに上映を打ち切る映画館が続々のようで実にもったいない。特に歴史の知識が無くても十分楽しめると思うので興味を持った方は早めに映画館に行くことをお勧めします。
中世のフランス。騎士ジャン・ド・カルージュ(マット・デイモン)と美しい妻のマルグリット・ド・カルージュ(ジョディ・カマー)、ジャンの旧友ジャック・ル・グリ(アダム・ドライバー)の3人を軸に物語が展開、3人それぞれの視点から同じシーン(だが微妙に異なる)が繰り返され、段々と細かい事実が明らかになっていき、事件の全貌が分かるという構成。
ジャンとジャックは百年戦争を共に戦い、親友だったが、ピエール伯(ベン・アフレック)に教養や仕事(税金の取立て等)の腕を見込まれ、何かと引き立てられるようになったジャックと、武骨な性格ゆえ"ゴマすり"などできない真面目なジャンは次第に疎遠に。さらにジャンの父の死後の不公平な処遇によって完全に決別。数年が経ちジャンがマルグリットと結婚後、ジャックと再会し和解するが、マルグリットの美貌と教養にすっかり魅了されたジャックは恋に落ちてしまう。ジャンの留守中、一方的な恋心を押さえきれなくなったジャックはマルグリットを強姦してしまう。ジャックは口止めしたが、マルグリットは事件を全て夫に話し、妻を信じるジャンは無実を主張するジャックを訴え決闘裁判(フランス国王が正式に認めた、神による絶対的な裁き)に持ち込む。勝者は正義と栄光を手に入れ、敗者は決闘で命拾いしても罪人として死罪になる。もし夫が負ければマルグリットも偽証の罪で火あぶりの刑を受けるという、正に生死を賭けた過酷な裁判。
本作のパンフレットには"裁かれるべきは誰なのか"とあるが、やはり旧友の妻を強姦しておいて無実を主張するジャック以外に考えられないと思う。この手の犯罪者の常套句"合意の上だった"とでも言いたいのだろうが、夫が留守中の人妻の家を訪れ、自分は隠れて部下を使ってドアを開けさせ無理に室内に押し入っただけでも既に犯罪だろう。マルグリットに何ら落ち度は無く、ただ教養があり美しいというだけで性犯罪の被害者となってしまい気の毒としか言いようがない。
気になったのはマルグリットの義母の行動とジャックの部下の意味あり気な薄笑い。義母は何故使用人達全員を連れて外出したのか? 何故その日にマルグリットが1人になることをジャックは知っていたのか? 日頃からマルグリットと折り合いが悪かった義母はわざとマルグリットを1人残して外出したのではないだろうか?その情報をジャックの部下に知らせ、部下はジャックを焚き付けて襲わせたように感じた。羅生門のオマージュとも言われているようだが、ジャックの部下の狡猾さはシェイクスピアの"オセロー"のイアーゴウを想起させる。マルグリットの友人も何かを隠しているように見え、カルージュ夫妻の周囲の人間も事件に複雑に絡んでいたように思える。
2時間超と長いが、全く中だるみすることもなく、最後まで緊張感を保ち見応えある作品だった。上映打ち切りの映画館が多いのが残念だ。
神は、真実を語る者を守る。
映画は、「夫の友人にレイプされた妻」の訴えを、『羅生門』的アプローチで展開するストーリーと聞いていたので興味があった。三者それぞれの主観は価値観を反映するように異なり、どれも自分を正当化している。ただ、本家『羅生門』のように主張自体がまるで食い違うのかと思っていたが、基本的には"出来事"は三人とも同じであった。つまり、sex行為はあった。それが、レイプであることもニュアンスは違えども一緒だった。だから僕は、おや?ル・グリの主張は「してない」ではないのか、と思ったのだ。でもこれは中世ヨーロッパ、女性が政治的にも夫婦間でも道具として扱われていた時代のこと。男は、女の意志など関係なく単なる性欲の対象でしかなく、それを女性たちは諦めながらも受け入れていた時代だったのだ。それは、カルージュの母の蔑むような言葉からもわかる。まるで言葉の拷問のような裁判の尋問でもわかる。「快楽の頂点に達しないと受胎できない」という認識の時代だもの。
そしてカルージュの訴訟は、妻の尊厳のためなどではなく、あくまで自分の名誉のため。名誉のためなら命だって賭ける。そんな男たちの決闘の場は、他人にとっては見世物。王様にいたっては、滅多にない興行を楽しみにしてるが如き喜々たる笑みで眺めている。現代なら悪趣味の極みだが、これが当時はごく当たり前の感覚だったのだろうなあ。
勝者には、それまでの評価など忘れたかのような手のひら返しに惜しみない賛辞を送られ、敗者は、残酷な扱いを強いられる。現代社会なんて、動物を傷つけるだけでやいのやいの外野が騒ぐっていうのに。中世ヨーロッパは、怖い。
親友のなれの果て
98年のグッドウィルハンティング以来のマット・デイモン、ベン・アフレック親友コンビの脚本となれば見ないという選択肢はない。
ましてや私は『偶然の恋人』を偶然見て以来のベン・アフレックファン。
殆ど前知識なく喜び勇んで劇場へ出かけて行きました。
ベンの役柄はこれまでのキャリアに無いほどやな奴だったけど、中世のフランスが舞台の史実に基づく物語は見応えたっぷり。
チャプター1はジャンの視点…
と、いう事は他の視点からも展開するんだな、と冒頭からワクワクさせられる。
無骨で不器用で戦う事で王に忠誠を尽くすが報われない、生き方が下手な男には世にも美しい妻がいた。
かたや語学や数学に長け、領主の寵愛を受けて出世していく世渡り上手なモテ男。
かつては戦友で親友だった二人の男が一人の女性を巡って決闘で命を懸けて戦う事になる。
女性が名誉を守る為に声を上げる事は許されなかった時代。
彼女もまた命を懸けて裁判に挑む。
審判は神が下すのだ。
人間が裁くことが出来ないからと、勝った方には地位と名誉を。負けた方は殺されてから丸裸にされて逆さ吊りにされる。
こんな残酷な審判を委ねられる神サマも迷惑だよなー。
ただこの話、真実の愛のために戦ったのなら美しい純愛の物語だったのだけど…
決闘シーンは大迫力で見応え十分。
競技場に響き渡る「殺せ!殺せ!」のシュプレヒコールに群衆心理の恐怖を感じながら、
マットの出演作は数々見てきたけれど、こんなに
「マット、頑張れ!」と心の中で叫んだ事は無かった。
作品の面白さは流石のリドリー・スコットだし、
脚本も素晴らしかった。
再びベンとマットの親友コンビにオスカーを取って欲しい。
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