「白黒の決着をつけにいった女騎士」最後の決闘裁判 Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
白黒の決着をつけにいった女騎士
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灰色の世界
表と裏のそれぞれに別の世界が存在する、ヨーロッパ中世が舞台。姑は女が一生を穏便に終えたければ、黒白をつけようなどとせずに、黙して灰色に染まらなきゃダメだと妻を諭す。兵士に犯された村の女たちも、口を噤むし、私も暴行を話さずにここまで生きてきた…と。口を開けば、正しくとも社会からは徹底的に弾かれてしまう。
ハリエット・ウォルター演ずる姑の言葉を、たとえ一瞬でも揺るぎない正しいものに感じてしまうから、演出も演技も凄い。
パリの街や、領主の城や山並みがグレーの霧に包まれて、それはつまり映像美でもあったのですが、結局は白黒つけないで済ませる世界の在り方を象徴していたみたいです。
妻は騎士になる
しかし、灰色世界に決別を告げた潔い妻に、私も改めて心に楔を打ち込まれました。まあ、だから映画の題材になった訳ですが、決闘に近づくほどに、魅惑的になっていく妻の容姿に虜になりました。ジョディ・カマーが本当に綺麗だった。
群衆に紛れて
マット・デイモン演ずる夫を殺せと叫んだ群衆は、勝負がつくとたちまち翻って賞賛の拍手を捧げる。一見、腑抜けのまま舞台から下がると見えた王も、決闘に夢中になってはしゃぎ回るし。どちらも呆れたけど笑いました。
三者三様も理解できますが、自分含めて、人と群衆の身勝手さを、しっかり思い知らされました。
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