ディア・エヴァン・ハンセンのレビュー・感想・評価
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孤独な少年の本音がポップ・ミュージックに乗って拡散
学校では友達がいない。家でも話し相手がいない。そんな孤独な少年エヴァン・ハンセンが自分に宛てた手紙が全く違う意味に誤解され、SNSで拡散され、彼は自分とは異なる自分を演じる羽目になる。こんな内向的な物語がブロードウェー・ミュージカルとして大成功する時代になったことに、まず驚く。
しかし、そもそもこのテーマは映画向きだったことが、今回映画版を観て分かった。カメラは至近距離でエヴァンの戸惑いと驚き、絶望と希望を映し出してリアルだし、彼がついた嘘がもたらす顛末の処理は映画だけに許された手法が用いられている。一方で、マイクも俳優に張り付き、舞台に引き続きエヴァンをエんじるベン・プラットの歌は同時録音で収録されている。必然的に、撮影当時27歳だったプラットはダイエットして高校生に変身。その成果についてメディアは否定的だったが、筆者は全然OK。それに、オープニングを飾る"Waving Through A Window"から始まる彼の歌唱力は、全編を通してやはり圧巻なのだ。
孤独過ぎる少年の隠したい本音が台詞ではなく、エモーショナルなポップ・ミュージックを介して劇場全体に広がる。これは舞台、映画の両方が持つ新鮮味だと思う。
☆☆☆☆ 《良かれと思ってつい口から出た【嘘】が周囲を巻き込んで行...
☆☆☆☆
《良かれと思ってつい口から出た【嘘】が周囲を巻き込んで行く。》
《良かれと思って行動する【親切の押し売り】は
、人を徐々に不幸にして行く。》
めちゃくちゃ良作。されど、ミュージカル映画として楽しい作品だったかと言うと、ちょっと考え込んでしまう。
僅かに笑えたところは、偽メールに関する嘘を付く歌での演出・編集の辺りでした。映画が始まってすぐの辺りですが、ここがミュージカル映画として明るく楽しい場面のピークだったように思えます。
どうやら賛否両論かなり分かれているらしい。
舞台版を観ている人が映像化にいちゃもんをつける気持ちは、少なからず理解出来る。同じ様な思考として、原作本の映像化もまた然り。
作品自体は主に、周囲に対して付いた〝 嘘が誠 〟になってしまった主人公。
思わぬ形でネットに拡散されて時の人になる。
ここまでが作品のほほ半分くらいに あたる。
そして半分の後半部分にあたるのが、その嘘によって苦しむ自分と周囲の人達と、更にはネットの怖さ。
〝 否 〟の思いを抱く人には、この【後半部分の暗さ】にあるのではないだろうか?
特に強調されていたのは、エイミー・アダムス演じる自殺した彼の母親の(台詞は違うけれども)「それで、それで!」感満載な主人公への圧力…とも言いづらいのだけれど、自分が「こうであって欲しい!」とゆうある種の押し付け。
その思いの強さゆえに発する更なる【親切の押し売り】には、観ているこちらもかなり戸惑ってしまう。
それだけに、反面で1番突き放していた…かの様に見える主人公の母親のジュリアン・ムーアが。登場人物の中では実は1番彼に寄り添っていたのでしょうね。
この後半での重苦しい展開の中では、彼女の存在が唯一の救いだったかも知れません。
そしてもう1人。自殺した彼に、密かに恋心を抱いていたアラナ。
彼女も良かれと思い。彼と、想いを抱いていた彼の為にと奮闘する。
その結果、つい焦りからか彼を含めた周囲をどん底へと突き落としてしまう。
出演者の中では個人的に、このアラナ役を演じたアマンドラ・ステンバーグがとても良かった。是非ともオスカーノミネートまで行って欲しい。
…と、ここまで書いてふと気がついたのですが。作品全体を考えると全く違う作品ではあるものの。映画に登場する何人かの性格には、今年公開された作品の中で同じ側面を持つ作品として。日本映画の『空白』とアプローチが似通ってはいないだろうか?…と。
勿論、内容全体は全然違っているので、当然の如く「何言ってるんだコイツ!」ではあるんですけど、、、💦
とは言え、この作品作品の底辺にあるのは『空白』とは全く違う。孤独な若者たちへの応援歌そのものであり、多くの佳曲に彩られた優しさに満ち溢れた歌声。
あの『ラ・ラ・ランド』のラストは、一見するとバッドエンディングに見えるものの。同じ想いを共有した2人だからこそ、叶わなかった恋ではあるものの。実はお互いの胸の奥底にひっそりとしまってある【モノ】を確認するハッピーエンディング。
それと比べてしまうと(本当は比べるモノではないのですが)バッドエンディングに見えて実はハッピーエンディングに…今ひとつなり切れていないきらいがあるのが、少しだけ物哀しい思いを感じて劇場を後にしました。
2021年11月26日 TOHOシネマズ日比谷/スクリーン1
高橋ヨシキ氏の過去に何があったのか。
歌がいい
とにかく音楽が良い!
ストーリーはともかく、学園ものミュージカルは良いよね。多少の粗も「あばたもえくぼ」というところか(笑)
甘酸っぱくてそして切ない青春感が、たまらなくノスタルジックを掻き立てる。
特に本作は歌が良い!カジュアルに歌い上げているところがクスッと笑えるくらい身近で良い。中でも特に「He say~」はバッチリ刺さった。当たり前だがみんな歌うまいよね。随所で聴き惚れてしまう。
映像的には遊園地のシーンが印象的。メリーゴーランドでのラブラブ感は、コテコテ具合が最高潮に良い。そして一瞬だけ映ったメリーゴーランドはきれい過ぎでしょ、これはちょっと細か過ぎ視点か…(汗)
とにかく全体を通して泣けるのか笑えるのか中途半端感は否めないが、いずれにしても個人的にはもう一度観てみたいと素直に思える程の心に残る作品ではあった。
違和感だらけの自己陶酔ミュージカル。
嘘の残酷さを、ミュージカルの持つ自己陶酔感満載のセンチメンタルでぐりぐり塗りたくった、デマカセの感動を押し付けてくるなんともおぞましい作品。ひょんな事から自殺した生徒の友達と偽ってしまったコミュ障の葛藤を描いているのだが、ミュージカルにする事でそれが雑味にしかなっていない。主人公の内面や行動を歌で盛り上げれば盛り上げるほど、結局自殺した生徒の魂の置いてきぼりが浮き彫りになる。しかもその救われない魂を踏み台にして主人公の自己救済に完結する様は違和感しかない。全編「知らんがなっ!」まみれな、キモい作品!
思ってたよりミュージカル♪
よくまとまっているとは思う
診察はタダじゃないのよ
ディア・エヴァン・ハンセン
歌詞に共感も、ストーリーは暗い
2022年 81作目
ついて良い嘘
冒頭がよく出来てて引き込まれました。
こう言う事あってもおかしくないし、
それに対して取り繕って、訳の分からないところまで
行ってしまう。
10代ならあり得ると思って共感出来ました。
嘘によってどんどん好転して行くんだけど、
その分真実を知るのが自分だけになり、
誰にも言えない状況も息苦しく、どうなんの?
と若干の間伸びも感じたけど、ドキドキして見る事が
出来ました。
あの辺りは精神的にもだいぶ来てたと想像出来て
辛かった。
しかし、エヴァンの手紙をsns上に流した女!
あいつだけはどうしても許せん!
その後お咎めがないのも引っかかる!
ラストはリアリティーを重視したのか尻窄みな感じは
したけど、
やはり音楽の力があって、全ての音楽が素晴らしく
それを聴くだけでも力をもらえるし観るに値するん
じゃないかと思います。
お互いの両親が、エイミーアダムス、ジュリアンムーア
と言うのも僕得でした。
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