劇場公開日 2021年11月26日

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「☆☆☆☆ 《良かれと思ってつい口から出た【嘘】が周囲を巻き込んで行...」ディア・エヴァン・ハンセン 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0☆☆☆☆ 《良かれと思ってつい口から出た【嘘】が周囲を巻き込んで行...

2024年3月20日
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☆☆☆☆

《良かれと思ってつい口から出た【嘘】が周囲を巻き込んで行く。》

《良かれと思って行動する【親切の押し売り】は
、人を徐々に不幸にして行く。》

めちゃくちゃ良作。されど、ミュージカル映画として楽しい作品だったかと言うと、ちょっと考え込んでしまう。
僅かに笑えたところは、偽メールに関する嘘を付く歌での演出・編集の辺りでした。映画が始まってすぐの辺りですが、ここがミュージカル映画として明るく楽しい場面のピークだったように思えます。

どうやら賛否両論かなり分かれているらしい。
舞台版を観ている人が映像化にいちゃもんをつける気持ちは、少なからず理解出来る。同じ様な思考として、原作本の映像化もまた然り。

作品自体は主に、周囲に対して付いた〝 嘘が誠 〟になってしまった主人公。
思わぬ形でネットに拡散されて時の人になる。
ここまでが作品のほほ半分くらいに あたる。
そして半分の後半部分にあたるのが、その嘘によって苦しむ自分と周囲の人達と、更にはネットの怖さ。

〝 否 〟の思いを抱く人には、この【後半部分の暗さ】にあるのではないだろうか?
特に強調されていたのは、エイミー・アダムス演じる自殺した彼の母親の(台詞は違うけれども)「それで、それで!」感満載な主人公への圧力…とも言いづらいのだけれど、自分が「こうであって欲しい!」とゆうある種の押し付け。
その思いの強さゆえに発する更なる【親切の押し売り】には、観ているこちらもかなり戸惑ってしまう。

それだけに、反面で1番突き放していた…かの様に見える主人公の母親のジュリアン・ムーアが。登場人物の中では実は1番彼に寄り添っていたのでしょうね。
この後半での重苦しい展開の中では、彼女の存在が唯一の救いだったかも知れません。

そしてもう1人。自殺した彼に、密かに恋心を抱いていたアラナ。
彼女も良かれと思い。彼と、想いを抱いていた彼の為にと奮闘する。
その結果、つい焦りからか彼を含めた周囲をどん底へと突き落としてしまう。
出演者の中では個人的に、このアラナ役を演じたアマンドラ・ステンバーグがとても良かった。是非ともオスカーノミネートまで行って欲しい。

…と、ここまで書いてふと気がついたのですが。作品全体を考えると全く違う作品ではあるものの。映画に登場する何人かの性格には、今年公開された作品の中で同じ側面を持つ作品として。日本映画の『空白』とアプローチが似通ってはいないだろうか?…と。
勿論、内容全体は全然違っているので、当然の如く「何言ってるんだコイツ!」ではあるんですけど、、、💦

とは言え、この作品作品の底辺にあるのは『空白』とは全く違う。孤独な若者たちへの応援歌そのものであり、多くの佳曲に彩られた優しさに満ち溢れた歌声。
あの『ラ・ラ・ランド』のラストは、一見するとバッドエンディングに見えるものの。同じ想いを共有した2人だからこそ、叶わなかった恋ではあるものの。実はお互いの胸の奥底にひっそりとしまってある【モノ】を確認するハッピーエンディング。
それと比べてしまうと(本当は比べるモノではないのですが)バッドエンディングに見えて実はハッピーエンディングに…今ひとつなり切れていないきらいがあるのが、少しだけ物哀しい思いを感じて劇場を後にしました。

2021年11月26日 TOHOシネマズ日比谷/スクリーン1

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松井の天井直撃ホームラン