劇場公開日 2021年9月24日

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「聴覚障害の制約をうまく活かした脚本」殺人鬼から逃げる夜 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0聴覚障害の制約をうまく活かした脚本

2021年9月24日
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鑑賞方法:映画館

吉岡里帆主演の「見えない目撃者」(韓国映画「ブラインド」のリメイク)と基本構図が似ている。殺人鬼に追われ、障害があるゆえの様々な困難に遭遇しながら主人公が生き残ろうとするというお話。
本作は主人公(とその母)が聴覚障害という設定。人が近づいてきても気づかないというだけでなく、状況をうまく伝えることができないという、聞こえない(声を出せない)ことの制約をうまく活用した脚本だった。母親も聴覚障害者の設定にすることで、手話での会話が他の人にはわからない秘密の会話として成立させていたのも面白い。
健常者だったらもっと簡単に状況を伝えることができるのにとか、なんで警察はそんなにバカなんだ!とか、殺人鬼がすごく頭がいいわけではないのになんで捕まらなかったんだ?とか、軍人ども!バカ!とか、ヤキモキしてしまった。もちろんそれは脚本上の粗さや穴だったりするんだけど、そんなところも含めて楽しむことができたんだから個人的には大満足。あまりグロいシーンがないのにハラハラドキドキしてしまった。
何よりギョンミ役のチン・ギジュが素晴らしかった。手話で語るときの豊かな表情、逃げるときの疾走感、わずかに声を出しながら話す迫真の演技。とても魅力的だった。
これ、日本でリメイクするときにまた吉岡里帆がやったら面白いんじゃないか。殺人鬼から逃げるシリーズ第2弾!

kenshuchu