「「ソーホー」光と影と闇」ラストナイト・イン・ソーホー 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
「ソーホー」光と影と闇
エドガー・ライト監督(1974年生まれ)
60年代の「ソーホー」に強い憧れがあるとの事。
人は過去でも現在でも、「見たいものを見て」
「聞きたいことだけを聞く」
だから生まれてもいなかった頃の「ソーホー」は、
新聞やテレビの伝聞で、エドガー・ライトが創作した理想郷なの
かも知れない。
パンクやヘヴィメタの流行る少し前。
ビートルズが一番元気のあった60年代。
エドガーに見える、見たい「ソーホー」はちょっと危ない
大人の世界。
エロイーズがサンディとシンクロして《生きたソーホー》
☆ナイトクラブ
☆ミュージックホール
☆バー。
そしてサンデイはクラブのマネージャー(黒服)のジャックと
出会う。
ジャックにとってサンデイを言いなりにさせるのは、
赤児の手をひねるようなもの。
歌手を夢見るサンディは結局、風俗嬢のような仕事をさせられるのだろう。
エロイーズとサンディがシンクロする映像が綺麗。
エロイーズが鏡を覗くと、写っているのはサンディだし、
お客とのダンスもエロイーズとサンディが目まぐるしく入れ替わる。
(CGは殆ど使ってないとの事)
ふとクェンティン・タランティーノ監督の
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
と比較したくなった。
1969年の2月と8月の物語。
タランティーノ監督は1963年にテネシー州生まれで、1971年にやっと
ロサンゼルスへ引っ越した。
だから記憶は後付けだと思う。
「ワンス・・・」は男2人(デカプリオとブラッド・ピット)の友情物語。
ハリウッドの1969年をお金をふんだんにかけて再現している。
一方この映画「ラストナイト・イン・ソーホー」は、
赤いネオン煌めく歓楽街→夜の光景が多い。
エロイーズに憑依したようなサンディは、エロイーズの夢の中で
ジャックに殺される。
大家の老婦人を演じたダイアナ・リグ。
彼女と白髪の男を演じたテレンス・スタンプ。
2人は1960年代に青春時代をロンドンで過ごしている筈だ。
ダイアナ・リグは「女王陛下の007」1969年作品でボンドガールを演じ、
ジェームズ・ボンドと結婚する予定だったとか。
人は「見たいものを見て、聞きたいことを聞く」
監督は作り上げたサンディを焼き払って、
エロイーズは乗り越えて行く。
「ワンス・・・」でディカプリオが火炎放射器で、ヒッピーを撃退したように。
過去のソーホーは、
過去のハリウッドは、
それぞれの監督作によってリセットされ、
・・・新しく生まれ変わった。
美しい映画だった。
琥珀糖さん、共感ありがとうございます。
おっしゃる通り確かに「ワンス・アポン~」とシンクロしてますね。全く気づきませんでした。
タランティーノ監督へのリスペクトの表れなのでしょうか。
「美しい映画」ホラーが少し苦手な私でも大きく共感です。
確かに、見たいと思ったもの、聞きたいと感じたものなんかが混じり合って、過去の記憶を作り上げていくのでしょうね。
琥珀糖さんのレビューを読んでいて、あのエロイーズとサンディの幻想的なダンスシーンを思い出しました。怖いけれど美しい。綺麗だけれど恐怖。
いいねだけして逃亡してごめんなさいm(_ _)m
ワンス・アポン・ア・タイム~と比較するとはとても面白い視点だなぁと思いました!なるほど設定が同じ年なんですね。
今晩は。コメント有難うございます。
エドガー・ライト監督は、大体私と同年代なので、60年代はリアルタイムでは知らないと思います。私も、最近「スージーQ」や「ローレル・キャニオン」を鑑賞しましたが、リアルアイム世代ではないのですが、紹介されたバンドのアルバムは後年、一通り聞いていたので、面白く鑑賞しました。
で、今作。
作品構成が、素晴らしく、又色使いも私好みで嵌った作品でしたね。
今更ながらに、60年代って凄かったのだなあと思いますね。
マア、私は80年代後期からのロックを中坊から聞いていたので、何となくエドガー・ライト監督の気持ちが分かった気がした映画でもありました。では。