「エドガーライト監督は信頼できる男」ラストナイト・イン・ソーホー tkryさんの映画レビュー(感想・評価)
エドガーライト監督は信頼できる男
まさにそれにつきるかな、と思いました。
不満点もあり、監督の最高傑作とは呼び難いですが、持ち味のジャンルミックスの面白さに加えて、若手女優2枚看板の良さも光っており見応えありです。
相変わらず60年代ポップスの選曲センスも良く、ビジュアルも冴えており、怖さや驚き感動など複数の感情を揺らしてくれますし、お得な作品であることは間違いないです。
ただし、個人的には人物描写に不満ありですね。
弱点というよりは、監督の作家性なのだろうと思います。
ベイビードライバーのヒロイン描写でも顕著でしたが、少し単純化し過ぎる傾向があり、深みや実在感に欠けると思います。
今回でいえば、相手役であるジョンはあまりにも包容的かつ肯定的であり、逆にどんでん返し的な裏があるのかと勘繰ってしまいます。
サンディに関しても、夢の中の幻影であるので単純化されていてもさほど気にはならないですが、よくよく考えると動機が希薄な人物であり主人公がそうであるほどには共感できないように感じました。
ベイビードライバーなど過去作では良しとできても、本作のようにMeToo的な要素を含んだお話においては釈然としなさも残ります。
やろうとしている事の意義、監督の持ち味、俳優の演技など高い水準ではあるので、恐らくディテールの描き方についての好みの問題かもしれません。
くどくど文句を垂れてしまいましたが、監督の過去作同様に大好きな作品となりましたし、特に1回目は映画館の大画面で鑑賞しないと良さは分かりにくいでしょうね。
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