劇場公開日 2021年12月10日

  • 予告編を見る

「ホラー風味の良作サスペンス!」ラストナイト・イン・ソーホー おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ホラー風味の良作サスペンス!

2021年12月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

幸せ

ホラーは苦手ですが、「タイムリープホラー」という宣伝文句と、レビュー高評価につられて鑑賞してきました。率直な感想としては、タイムリープというよりサイコメトリーといった感じでしたが、思った以上におもしろかったです。しかも、ホラーというよりホラー要素を取り入れたサスペンスといったテイストの作品で、これも自分好みでよかったです。

物語は、デザイナーを夢見て田舎からロンドンに出てきたエロイーズが、下宿先で夜な夜な1960年代にタイムリープし、その夢の中で出会ったサンディという美しい女性と彼女を取り巻く男たちとのトラブルに巻き込まれ、やがて四六時中現れるようになった幻影に苦しめられるというもの。

序盤は、ホラーとは思えないような明るい展開と、かわいさ爆発のトーマシン・マッケンジーを楽しめます。また、60年代ファッションに身を包むサンディ役のアニヤ・テイラー=ジョイも魅力的でした。そしてこの二人を、鏡写しのように同化させて見せる演出やカメラワークが実に印象的でした。そこに、流れる60年代(?)のナンバーも心地よく、もうこれだけで観にきたかいがあるというものです。

その後、徐々に雲行きが怪しくなっていきますが、ホラー要素はそこまで強烈ではありません。むしろサンディが何者で、エロイーズが見る幻影は何を意味するのかという謎のほうに観客の注意は惹きつけられます。そして、巧妙に張り巡らされた伏線を回収しながら、終盤でその謎が明らかになります。この鮮やかな展開はおみごとで、まんまとやられた心地よさを味わえます。また、ラストで描かれる、その後のエロイーズの姿のおかげで、ホラーとは思えない後味のよさも印象的でした。

ゾクゾクするようなホラーを求めている方には物足りないかもしれませんが、ホラーが苦手な人でも楽しめる、万人向けの良作だと思います。

おじゃる