「サスペンス要素も楽しい傑作ホラー」マリグナント 狂暴な悪夢 といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
サスペンス要素も楽しい傑作ホラー
私はホラー映画が苦手です。特にスプラッター系のホラー映画が苦手で、自ら進んで鑑賞することはほぼありません。しかし本作は映画ファンの間では非常に評価が高かった作品であり、私が楽しめた数少ないホラー映画『ソウ』の監督であるジェームズ・ワンのオリジナル作品と言うことで、重い腰を上げて鑑賞いたしました。
結論ですが、かなり楽しめました。
私が苦手なグロ描写を含んだ作品でありながらも、サスペンスのような謎解きや伏線回収、そして今まで観たことのない新感覚のアクションシーンなどが盛り込まれていますので、あまり怖がらず鑑賞することができて楽しかったですね。
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子供を切望しながらも死産を繰り返していたマディソン(アナベル・ウォーリス)。度重なる死産で夫婦仲は冷え切り、夫からDVを受けるようになっていた。そんなある日、マディソンは謎の怪物が人を殺すという幻覚を目撃する。翌日のニュースで、幻覚の中で見た女性が実際に殺害されたことを知り、妹のシドニー(マディー・ハッソン)とともに警察に相談をするのだが……。
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多くの映画ファンが大絶賛している本作。アメリカ本国での興行収入はあんまり振るわなかったらしいんですが、日本での評価はめちゃくちゃ高いですね。
低予算ながら大ヒットを記録した名作ホラー映画『ソウ』や『死霊館』シリーズの監督であるジェームズ・ワンが、『アクアマン』や『ワイルドスピード』などの大バジェット映画を経て、原点回帰として制作した低予算のホラー映画。細かな分類をするなら殺人シーンをメインとするミステリを指す「ジャッロ(ジャーロ)映画」というジャンルあたるらしいですが、私はそういう細かいことは分かりません。
R18+作品と言うことでグロシーンは結構あります。しかしながら「R18 +の割にはこの程度か」と思うくらいのグロ描写だったので、あまり構えずに鑑賞しても良いと思います。先日観たP12映画『死刑にいたる病』の拷問シーンの方がよっぽど残酷でしたね。映倫の基準が全然分からん。
序盤はホラー映画としてしっかり怖いし、中盤あたりからのミステリ的な謎解き要素も面白いし、終盤のモンスター映画的なアクションシーンも見応えがあり、ジェームズ・ワンお得意のミステリー的ホラーだけではなく、『アクアマン』や『ワイルドスピード』で培った迫力のアクションシーンなども堪能できます。ジェームズ・ワンの集大成とも呼べる作品に仕上がっていると感じました。
個人的に印象に残っているのは映画の序盤、夫を亡くしたマディソンが家の外から何者かの気配を感じ、家の窓やカーテンを閉めて回る場面ですね。どうやって撮影したのか想像もつかない、頭頂部が見えるくらいの真上からの俯瞰ショット。そしてそのまま家の中を走り回るマディソンをカメラが追いかける。テレビゲームではよく見掛けるアングルなんですけど、実写映画でそれをやってしまうというのは驚きです。非常に新鮮でしたね。
また、終盤の警察署でのアクションシーンも面白かったですね。
今まで観たことがない後ろ向きでのアクションシーンは、『TENET』の逆再生アクションを観た時と同じくらいの衝撃がありました。後ろ向きで歩いているだけで、こんなに恐ろしい化け物に見えるんですね。
DVDの特典映像も見ました。ジェームズ・ワン監督が本当に楽しそうで、「撮りたい映画を撮ってるんだな」と観ていて感じましたね。
今後も、ジェームズ・ワン監督のホラー映画には期待していきたいですね。オススメです!!