流浪の月のレビュー・感想・評価
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原作好きな方はご注意を
原作が大好きで期待に胸を膨らませ映画館へ。
更紗が文に対して「死ねって言われたら死のうと思った」というシーンは涙腺がブわっときましたがその後からが私個人の感想ですが酷すぎる。
あまりにも文と更紗の人生を甘く見すぎている。軽く見すぎている。
原作の伏線のようなものは所々ちりばめられているものの回収はせず。
なぜ大切なシーンを端折り物語をわかりにくくするのか分からない。
リピートは無しかなという感じです。
原作が大好きで見に行く!!!という方は二次創作でもifの世界線でもなく登場人物の名前が同じの別の作品であると思われた方がいいかと思います。
衝撃の!というよりは、あまりにも「気の毒な」ラスト…そしてポップコーン容器でアイス食べたくなる映画。
まず、更紗の少女時代を演じた白鳥玉季ちゃんの、天真爛漫かつ純粋無垢なキャラクターが特筆に値するものがありました。
また文字通り体当たりの演技を披露してくれた広瀬すずさんも、もちろん素晴らしかったです。
そして十代終わりから三十代への幅広い役どころを違和感なく演じきった松坂桃李さんの好演も見事でした。
かなりイラつく、ウザい役作りの横浜流星さんも。
私にしては珍しく、役者さんへの賞賛から始まる、真面目な滑り出しレビュー?いやいやいや、油断しちゃダメですよ…
この映画切ないですね。
私には更紗の気持ちも文の気持ちも痛いほどよくわかりました。
ロリコンとかそういう不埒な気持ちじゃないよ!
“自分を救ってくれるかもしれない”寂しく、いたいけな少女へ対する純粋な優しさ。
“自分を救ってくれるかもしれない”ちょいと年上のお兄さんに惹かれる純粋で淡い想い。
決して結ばれることも報われることもない、お互いの純粋な心。
痛いなぁ…つらいなぁ…純粋であればあるほど、結末はド腐れきった世間で、残酷にズタボロに引き裂かれる運命にあるんだよなぁ。
トロッコに乗って逃げて行ける夢の国があればいいのに。
それもきっと地獄なんだわー!(筋少ネタぶっこみました)
私が純粋だからわかるんだって?冗談じゃありません!私はもう穢れきってくたびれきった、ただのオッサンです!でも!わかるんです!わかるんです!←大切なことだから二回言いまs…
幼少の頃から亡き母に「あンたは、繊細過ぎる。女の子に生まれてきた方がよかったのに」とかは言われ続けてはきましたけれど(笑)
女装した時も、そこそこ純真でちょっと天然ボケしたOLという設定ですけれど (๑>• ๑)テヘペロ
レビューでしたよね…今回も使う恒例の『閑話休題』
正直、少女時代の更紗と青年時代の文の出会いと別れのパートが印象的すぎました。
なので更紗が大人になってからのパートにはあまり感情移入できなかったです。
タイトルにもある月が物語に何度も描かれていて、何かを暗示していたと思うのですが、アホの私には、ちょいとよくわかりませんでした。
流れゆく雲の合間の、紺い月明かりの美しさには魅せらましたけれど。
衝撃の…というよりは、その紺い月明かりの下で晒されるのは、あまりにも「気の毒な」ラストでした。絵面は衝撃的すぎましたけれどね!
((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
結局、文は超米且〇ソだったのですね。女性と交わるには、あまりにも自信がなさすぎる体だったのですね。
(ここ、わかっちゃう人にはわかっちゃうから、ネタバレ設定でレビュー公開しました)
考えてみると性別問わず、大人を前にした時の文の自信なさげな“おどおど感”はぱねぇ感じでしたもんね。
思えばそこへの伏線は、いくつも張られていたのですが、あまりにも予想外・想定外すぎて、全く考えが至りませんでした。
文が語っていた「墓場まで持っていきたい秘密」とは、決してロリコンっていうニセ性癖なんかじゃあないとは思っていたのですが。
まさかなぁ…
調てみると、先天的にそのような病気?があるそうです。
「できそこないだから根っこから引き抜いた」お母さん、先天的な要因は、あなたに責任があるかもですよ!
調てみたサイトで、こう記されていました。
[母親のお腹の中にいる時には、母親が食べる物によって影響を受けるということもあるようです]
何食べてたん?アイス?ケチャップぶちまけすぎのオムレツ?
しっかしあのアイス美味しそうだったなぁ。
上映中の期間限定で、あの容器と同じプリント柄のポップコーンの容器でアイス売ればいいのに。
底のほうに、そこそこ残ったアイスを劇場売店で売ればいいのに。もちろんスプーンはふたつで。(大盛じゃないところがミソ)
名前は、そのまんま『流浪の月』(量が少ないので税込み価格330円)なんてロマンチックなネーミング♡←自画自賛ときたか…
( ´•д•`; )
カップルで食すにはピッタリじゃん!
あっ…私…いつもぼっちだゎ… o(*>Д<)ゝ <チクセウ!!
個人の意見・見解ですので・・・
この李相日監督の作品は初めてで、小説も未読での今作の鑑賞でした。
うーん150分この内容は、自分はどうしても長く感じてしまいました……何故だろう。泣けるシーンは、あったし共感出来る所もちゃんとあったのに、どうしてもベットシーンや「いやいやそうはならんやろ」みたいなツッコミな所がありやや残念だったなと思いました。亮君の彼女を心配する余り過剰な束縛や暴力的になるシーンはどっぷりと見入ってしまいました。それだけの映像や暴力シーンだったので飽き飽きはしませんでしたが、出てくる人がなんかみんな嫌な人達だなと思いました。ファミレスなどにいるババァ共はどうして群れになって1人を徹底的に潰そうとするのか……
そして冒頭からの更紗と文の関係性初めはお互い初々しいですが、更紗の事情を知ってからの文の行動は、行き場を失った少年少女からすると本当に救いだよなと思いました。どうして親と言う物はここまで子供にクズなのか本当に不思議でありません😱。さらに「世間一般」ではどれだけ優しい大人が子供の事情を知り預かったり側にいるだけで誘拐された子と誘拐犯という関係に戻ってしまう。そういった見解になってしまうのは、仕方ない事だが、大人の汚い部分がより見えて19の自分にはまだ早いのかなと感じました笑そして豪華キャスト陣だったので3.5にしました。
これが原因でパラサイト半地下が中々見れないのかも知れない、
最強純愛の恋愛ドロドロ映画だなと思いました。少し評価は低くつけます。
多部ちゃんがただただ可哀想で仕方がなかったぞ!
深いテーマ
ネタバレです。
更沙:性的虐待、
文:性染色体疾患、
亮:DV歴、
安西:ネグレクト…
偶然だけど、最近観た映画が虐待的なテーマが多い。
心が満たされていない大人によって子どもが傷つく。
そして、被害に遭った子どもが大人になった時、
同じことをする。
無意識に。
悪気もなく。
そして後で後悔する。
障がいがある、ない、に関わらず
周囲の人が受け止めてあげる社会になってほしい。
子どもの時の記憶は、大人になって忘れているように
みえて、潜在意識として残っている。
どこかで負の連鎖を断ち切り、子どもが幸せになれる
社会になることを願う。
弱さを持って生きる
なんていうか、超大作だった。
話がしっかり1部2部で分かれてるイメージ
とりあえず広瀬すずがやばい。
文とのシーンで少女に戻ってるんよ。
あれはすごい。
松坂桃李の説得力もいいよねー。
文の実家のシーンはものすごく半地下の家族を感じた。
なんか、音楽の使い方もすごく印象的だったし、作り込まれてたー!って感じ。
松坂桃李の秘密も絶対そんなことないのになー、って思いながらあぁーやっぱりってなるし、構成として面白かった。
92/100
いろいろリアル
はじめから終わりまで引き込まれてました。文と更紗の、お互いに相手のために遠慮しながらもどうしょうもなく、求めてしまう気持ちになんとも言えない気持ちになった。周囲に賛同されない関係だとしても、最後のシーンでは更紗の隣にいるのが文でよかった。演じるキャスト陣も難しい演技だったことでしょう。特に文、更紗、彼氏役の流星くん、更紗子供を演じた子。流星くんとすずちゃんのリアルなシーンが(ベッドシーン)衝撃的でした。流星くんはこれからもいろいろな役で活躍を期待してます。
役者の演技力と映像美で持たせる退屈な時間
全体構成が冗長でつぎはぎ感があります。
どこかで見たような表現の寄せ集めといった印象で、人物描写もステレオタイプです。
純愛を押したいのだとしたら、「大人になったさらさをふみが愛せるのか?」という点に葛藤を持たせた方が、際立ったのではないでしょうか。
小児性愛に対する偏見や生きづらさを描くのであっても同様に感じます。
彼にとってさらさが特別である理由がありません。
また、最終的にふみは病気を患っているために大人になれないというコンプレックスが明かされますが、
それと小児性愛はイコールにならないのでは?
なんかそれっぽく可哀想で切ない感じにまとめられて、
性に歪な2人が手を取り合って受容しながら生きていく…となっていますが、
それと互いを愛しているかは別の話ですよね?
主題のわからない中にそれぞれの人物が抱える苦悩が熱量高めな演技で詰め込まれ、
情緒不安定な作品といった印象。
泣いている人は一定数居たので、
ポイントで感情移入して楽しめる方なら切なくなれるはず。
子役が広瀬すずに似てる
あらすじから非現実的で主演の2人になかなか共感できなかったけど、
松坂桃李の浮世離れしたキャラクターと減量したのか骨が浮き出た体がすごかった
広瀬すずの愛想笑い、無表情のギャップがすごいよかった
世間の反応の方はすごくリアルで、2人しか事情≠事実を把握してないので現実でも主に更紗の同僚と同じ反応してしまうかも
店長さんは最初から更紗のシフト伏せたり、心配しつつもプライベートに踏込んでこない理想の上司だった
反対に亮は演技とわかっていても横浜流星のことが嫌いになってしまうほどにヤダ味を濃縮したヤツだった
彼女をほぼ意図的に支配、コントロール
非正規の仕事を見下す
カフェでの態度や振舞い
何より気に入らないと暴力
本当にいい演技だし、良い反面教師だ
更紗が好きになろうと努力するのも良いけど、やはり関係を深める段階で更紗と亮はもっと会話しなければならなかったと思う(亮がちゃんと話を飲み込めるかは疑問だけど)
まあレイプ被害を被害者に語らせる二次被害が起きてしまうのがまた難しいところ
タイトルの「流浪の月」はエピローグの2人、セックスのない愛の逃避行って解釈した
【良かった点】 李監督らしい人間の心理描写を丁寧に魅せるつくりに酔...
【良かった点】
李監督らしい人間の心理描写を丁寧に魅せるつくりに酔いしれることができた。
2人が選んだ道は険しく、到底理解はできないが、応援はしたいと思わせる説得力があった。
【良くなかった点】
2人のパートナー役だった多部未華子さんと横浜流星さんが不憫すぎる。せめて2人のその先も少しは気にしてあげてほしかった。
2人にしか分からないこと
重そうな雰囲気に150分とまあまあの長尺に若干の不安を感じてはいたけれど良かった。
亮くんが激昂するところ以外は、ほぼ静かにゆっくり進んでいく。
男の子がいるか、女の子がいるかでも感じ方は違うだろう。更紗を家に帰りたくないと思わせた人は被害者家族で、文だけが悪いのか?
真相はどうであれ、法ではやはり誘拐になるし、世間(特にマスコミ)はよりセンセーショナルに捉えたがる。
ファミレス同僚のヒソヒソや、店前で文の写真を撮る中学生男子とか、被害者は一生被害者で加害者は一生加害者でいなければいけないという社会を見せられた。文と更紗が
一緒にいたら、それはそれで頭おかしいみたいな方向に持って行きたがる。
SNSをやってない自分にはイマイチ理解できない場面でもあった。
150分ながら、飽きる事も眠くなる事もなく引き込まれたのは作り手の力量か。
横浜流星くんが空手チャンピオンだったのは有名だけど、それだけにあの本意気のパンチ、怖い
原作は本屋大賞に輝いた凪良ゆうの同名ベストセラー小説。 あ、本屋大...
原作は本屋大賞に輝いた凪良ゆうの同名ベストセラー小説。
あ、本屋大賞受賞作だったのね・・・ というのを知っていれば、この展開も無べなるかなというところ。
突然の雨に濡れながら公園のベンチで本を読んでいた10歳の少女・更紗(さらさ)。
彼女の目の前に傘を差しだしたのは、大学生の文(ふみ。松坂桃李)。
行き場のない更紗に「家に来るか」と声をかけ、そのまま、何日もが経過してしてしまう。
孤独な文と更紗は他意のない共同生活を続けただけだったが、世間の目からは「幼女誘拐・拉致」と映ってしまった。
それから15年。
成人した更紗(広瀬すず)は、社会人の彼氏と共同生活を営んでいる。
しかし、ふたりの間はぎこちない。
彼女の過去だけでなく、彼氏の束縛にもよるものだった。
そんなある日、同僚の女性と田舎町には珍しい深夜営業のカフェを訪れた更紗。
その店の経営者は、文だった。
彼氏との共同生活の果てに行き場を失くした更紗は、そのカフェに名を告げることもなく、何度も訪れ、ただ静かにコーヒーを飲むだけだったが、いつしかその行動は束縛の強い彼氏の知るところとなり、文の現在がネットに晒されてしまうようになる・・・
といったところから物語で、ここまでで3分の1ぐらいか。
どこまでも落ち着く場所のない更紗と文の物語は、古くは近松門左衛門の道行きものに通じるところがある。
李相日がそれを意識したかどうかはわからないけれど、行き場のないふたりを作ったのは「世間」というものだった。
「世間」からみれば、
文は幼女誘拐拉致のロリコン少女愛好者という唾棄すべき人物であり、
更紗はそんな性愛者に洗脳された少女の成れの果て、罠にかかったままの悲しむべき人物
ということになる。
更紗がそんな人物ではなく、両親を亡くし、叔母のもとに引き取られたが、叔母の息子(従兄にあたる年長の少年)がいかがわしい行為をし、それを口に出来ないまま、居場所を失くした。
そして、文が彼女に居場所を与えた、つまり、希望を与えたということは前半すぐにわかる。
それを「世間」が観ていないだけ・・・という文脈のようなのだが、映画が進むにつれて、文側にもなにか秘密があるように描かれていきます。
この映画の核はそこなのだけれど、そこを書くのはさすがに気がひける。
けれども、文の行き場のなさを「それ」(という特殊事情)に着地させることで、映画のものがたりにおける普遍性を失ってしまい、とても残念に感じました。
つまり、特殊であるがゆえに納得できるという、これまた「世間」の論理が持ち込まれてしまい、非常に落ち着きが悪い。
そんな特殊事情がなければ、このものがたりは納得できないのか?
いや、そうではないだろう。
そう思えて仕方がない。
李相日監督はこの特殊事情をどう感じたのだろうか?
これだから仕方がない、とは描いていないが、この特殊事情だから多くの観客にも受け入れられると思ったのだろう、たぶん。
最終的に「衝撃作!」という印象が残ってしまうことが、この映画の問題なところで、受け手としての自分の気持ちはどうにも適切な着地点を見いだせないでいます。
とはいえこの映画を否定することでもなく、この評価です。
実は原作を購入ているが未読である(笑) どんな話なのだろうと思って...
実は原作を購入ているが未読である(笑)
どんな話なのだろうと思って鑑賞してきた。
流浪の月とは松坂桃李が演じる佐伯文のことと理解した。月は欠けている。それは、自身が完璧な人間ではない、ということを意味してると、私は捉えた。
文は男性器が成長しないという病気らしい。そんなことがあるのか、私は知らない。調べてみると類宦官症というものがあるが、どうだろうか。
文は男性器が成長しないことについてコンプレックスなのだろう、性格が暗い。暗い設定のはずなのに、子供と戯れるときは明るいし、彼女がいたりする。
文は川?湖?で仰向けになって月を眺めた時に泣いたのだが、その時は何故泣いたのか全く意味がわからなかった。だけど、最後に文が裸になった時に、自身が完璧でないから泣いていたと理解できた。
文は完璧でないこと、成長していないこと、にコンプレックスを抱いている。文は子供の頃に、母が庭の成長しない木を抜いてしまったところを目撃していて、この体験をいつまでも強く記憶している。成長しない木と自身を重ね、母に自分が外れかどうか問い質すこともあった。
文は恋人に15年前に少女誘拐したことがバレてしまう。恋人はショックを受けた。文は自身が少女が好きと嘘を言う。嘘をつくことが彼にとって楽な選択だったんだろう。悲しい。
松坂桃李は役のためか、ガリガリだった。体重を落としたと思われ、プロフェッショナルだ。
一方、ヒロイン更紗を演じるのは広瀬すずだ。名前は知ってるけども、というくらいで
彼女の演技、というか仕事ぶりを見るのは初めてだ。エッチなシーンを演じるなど気合が入っているように感じた。演技は何も問題はない。
更紗は少女の頃、文と出会い誘拐されている。事実は雨の中公園にいる更紗に文が声を掛け自宅に誘ったのだが、誘拐というより保護に近い。行方不明となっている更紗を通報するなどの当たり前の行動をしなかったことが良くないのか、何故か誘拐と片付けられてしまっている。そして文は少年院に入るのだが、更紗は自身が文を酷い目に合わせたと考えずっと後悔していた。
更紗もまた可愛そうな人だ。家庭環境が複雑で、少女の頃に同居する中2の男にイタズラされていたようだ。また、大人になっても事件の被害者としてネットで調べられればすぐに気付かれてしまう。何故か暴力的な彼氏を引いてしまう。
文と更紗が15年後に再会し、それが週刊誌に報じられる。とはいえ、今ならYouTubeなどのSNSでいくらでも自分たちのことを説明できるのにしない。何故だろう?
そういえば、後半で文が吐いたシーンがあった。何故なのか分からなかった。どういう意味があったのだろうか?
話としては結局最後に文と更紗は結ばれたと私は思った。きっとね。
長い長い旅へ
原作は読んでいません。
幾度も出てきた街の夕暮れの空が、本当に息を呑むほど美しかったです。青インクが滲んだような空と雲が、知らない国の地図に見えたりしました。
◉雨と夜空の物語
雨に惹き寄せられるように、青年佐伯文(松坂桃李)と少女更紗は出遭い、何年か後に、夜空に引き込まれて文と更紗(広瀬すず)は再会する。青年と少女が身を委ねたものは事件ではなく、心の安らぎだったと言うのが話の核になっている。
更紗の少女役を演じた白鳥玉季の、幼い逃亡者の雰囲気が絶妙。観ている者も文の取った行動に共感してしまうほどでした。文は戸惑いつつ更紗に惹かれていく。
◉壊れた人 壊れていく人
文の表情は母親との関わりにおいて既に壊れてしまった人のもので、更紗の表情は堪えてきたけれど、間もなく崩壊する人のものだった。
作品によって怒号を上げたり、無言だったりするけれど、松坂桃李の凍てついたような表情は、いつも何かを予感させてくれていいです。無言がもどかしい時もあるけれど、後で、その訳が柔らかく分かったりする。
広瀬すずの方は、ちはやぶる以来、しばらく作品の中で晴れ晴れと笑う顔を見たことがないような気がします。一度死んでくれのラストシーンで笑いましたかね。
常に翳りと対になったような役が多い。美しいけれど、例えば抱きしめて救うことの出来ない儚さが、こちらももどかしい。
◉やや急進的な破局へ
文は過去の事件を更紗の恋人に暴露されて、彼女(多部未華子)と破局を迎え、更紗も結婚寸前で別れてしまう。骨董屋で、細かな細工の施されたグラスにじっと見入った更紗は、壊れることへの危機を予見していたとか。
ところでDV夫(横浜流星)は、こんな言い方は失礼かも知れませんが、私が予想した倍以上、狂気の瞳を見せてくれたと思います。思えば、この夫も何とも子供っぽくて、もどかしかった。血塗れで担架で運ばれて行きながら、もういいと呟いて更紗の手を離すシーンは切なかった。
制作陣と俳優陣の力が、凄い勢いで作品に昇華してくれたことを、観客として素直に喜びたいと今、改めて思います。
ただし過去の事件が、異様に呆気なく周囲やマスコミに拡散された筋書きは、観ていて少し肩の力が抜けたのは事実です。長尺を生かして、もっと自然にして欲しかった。何なら3時間越えでも 笑
文が自らの身体の異常を告白する、ちょっとホラーめいたシーンから一転して、気持ちを決めた二人を照らす月のシーンの、諦めも滲ませた透明感の素晴らしさ。文と更紗は天空の地図を辿って、長い旅に出る。
「文」は綴る言葉を、「更紗」は織り上げる布を表象していて、しかし、その言葉と布は、誰にも読めない見えない…だったりするんでしょうか。
原作を読んでみます。
テーマが重くて受け入れるのに時間がかかる
原作は見てないけど、面白そうだったので観に行きました。
ストーリーとしては面白かったが、最後が衝撃の展開でビックリした。人に言えないトラウマを持った2人がお互い惹かれ合うべくして惹かれあい、それが社会の常識との葛藤しながらもお互いの気持ちを確かめ合い、最後は文の秘密を共有することで、2人とも本当に心から結ばれ救われたのかなと思った。
広瀬すずの文とそれ以外に見せる表情の違いがよかった。しかし所々広瀬アリスに見えてしまい、やっぱり広瀬すずは小悪魔、奔放な役柄の方が可愛いし輝く気がした。湖での白鳥ボートのシーンの広瀬すずはイキイキして可愛かった。
濃厚なキスシーンやベッドシーンは結構攻めてて、映画館で見るにはちょっと気恥ずかしいくらいだった。
あと子役の子が上手いので惹きつけられた。友達の子どもの方もいい味出してたね。
結局は文はロリコンではなく、ただ帰りたくないという少女に同じにおいを感じて、連れてきたという感じと考える方が自然かなと思った。
現実的に考えれば、そういう病気なら出来損ないとかで片付けずに治療とかすればいいのではとか、もうネットで素性がバレていながら文に子どもを預けてバイトに行くとかは普通はありえないかなと思ったり、少年院なら実名報道はされてなさそうなのでそんなにすぐにバレないのでは?と思ったりしたが、まぁそれを差し引いても役者やストーリー、映像など良く、色々考えさせられる見応えのある映画だった。
慣れた方がいろいろと楽でしょ
最近映画を見る時、台詞を気にすることが増えました。
前半、サラサが話す「慣れた方がいろいろと楽でしょ」を聞いた時、サラサを表す一言だと感じました。
その瞬間にこの物語に入り込めた気がします。
根底にあるテーマは、私の解釈では、『人の気持ちは、自分以外には、絶対にわからない』ということな気がします。
全然関係ありませんが、最近岩松了さんの「青空は後悔の証し」という舞台を見て、そこでも同じような印象を受けたためかもしれません。
閑話休題。
この映画でも、サラサやフミの気持ちなどないがしろにして、周囲は勝手に自分の解釈で物事を片付けたり、カテゴライズ化してしまう表現が印象的でした。
登場人物が極端に少なく、メインの俳優以外の刑事やスマホ片手に他人をバカにする学生などに、まったくフォーカスがあたらない、ほぼシルエットで見せているのもそれゆえなのかなと思いました。
後半でまとまりなく飛ぶ鳥たちの実景がこの映画を象徴していた気がします。
それから、フミがサラサの時はただ見送るしかなく、リカが警察に連れていかれる時は気持ちを爆発させる、ああいう心理描写の変化が丁寧に描かれていてグッときました。
最後に内田也哉子さんの佇まいが樹木希林さんのそれに見えて驚きました。
映画館で時間をかけてじっくりと観るべき映画な気がします。
この生き辛い世界の中に私たちの居場所と自由に流れ着くまで、生き続けていく
これぞ李相日の真骨頂。
そう思わせてくれる新たな力作!
あらすじだけでも答えの無い答えを投げ掛けているようだ。
かつて世間を騒がした女児誘拐事件。その被害者と加害者が時を経て再会する…。
我々は“映画”として観ているからであって、これが現実だったら我々も“吐き気を催す”側だろう。
誘拐事件の被害者と加害者が…。いわゆる“ストックホルム症候群”。
普通に考えたら、ありえない。ヘン。異常。ビョーキ。
でも我々は事件の“上っ面”しか知らず、当事者だけの“何か”がそこにある…。
夕刻の公園。一人ベンチに座って本を読んでる女の子。
突然雨が降ってきても帰ろうとしない。
心配になって、傘を差して聞いてみる。
「お家に帰らないの?」
すると、女の子は言う。「帰りたくない」
もしこんな場に遭遇したら、あなたならどうするか…?
それでも「帰った方がいい」と言ってしまうだろうか。
言ってしまうだろう。それが普通。当たり前。一般常識。
でもその時、一抹でも考えた事あるだろうか。女の子が帰りたくない理由を。そこまで言わせるよほどの理由がある。口にもしたくないような…。
「良かったら、家に来る?」なんて言ってはいけない。ましてや、相手は女の子。その時点で世間一般的にアウトだ。
しかし、そう言葉を掛けた。別に“助ける”なんて綺麗事ではない。何かを背負い、悩み苦しんでる女の子に、手を差し伸べて上げたかった。
そして、その女の子は拒まなかった。
二人にとって、悲劇か、救済か。
この物語の主人公、更紗と文の運命の始まり…。
世間は思う。
女の子が何者かに連れ去られ、何か“されている”に違いない。
実際更紗は…
文の自宅アパートで悠々自適に過ごす。
アイスもアニメDVD(今敏監督作品!)もゴロ寝も好きなだけ。
どんなに自由に好き勝手しても、ありのままでいさせてくれる。大量のケチャップかけは少々ドン引き顔されたけど。
本来居るべき場所=自分の家では感じた事の無い解放感。
何故なら、家では…。
父が亡くなり、母は恋人と暮らし、伯母の家に預けられるも、息苦しい。何より彼女を苦しめるのは、毎夜自分の身体に触ってくる伯母の息子…。
更紗が家に帰りたくない理由はこれだった。あの家に私の居場所は無い…。
事件が連日ニュースで報道され、更紗は文に聞く。
「私、帰った方がいい…?」
「帰りたかったら帰ってもいい」
女の子を自分の家に連れ帰った自覚はある。
が、悪質な誘拐の意思はない。
帰りたければいつでも帰り、留まりたければ好きなだけ留まればいい。更紗のしたいように。
更紗が選んだのは…。
「誘拐犯にされて怖くない?」
「怖いのは、人に知られたくない事を知られる事」
この言葉が何を意味するのか、それは最後になって明らかになるが…
文は更紗をどうこうしようとする卑猥な行為は一切無かった。それどころか、指一本すら触れず…。
世の中には性行為には及ばなくても、女の子の姿をただ眺めてるだけでいいという輩もいるらしいが、
文の場合は違う。ただ優しく静かに傍にいてくれるだけ。
居る居場所が無い私に、唯一の居場所と自由をくれた人。
そんな時間は永くは続かない。
湖に遊びに行った時、警察が現れ、文は逮捕。
世間はこう思っただろう。遂に変態ロリコン野郎が捕まった。
更紗は激しく抵抗。
世間はこう思っただろう。誘拐犯に洗脳された可哀想な女の子。
事件は解決。が、考えた事あるだろうか。被害者のその後、加害者のその後。再びこの事件が槍玉に挙げられた時…。
15年。
更紗は成人し、ファミレスでウェイトレスのバイト。
過去の事件と言っても実名報道で残り、時々周囲から話の話題になる。
慣れるしかない。そうやって生きてきた。
一流企業に勤める恋人もいて、婚約中。
新たな人生、幸せを手に入れた。
…一見は。
ある夜、同僚と夜しか開いてない隠れ家的なカフェへ。
「いらっしゃいませ」
このたった一言で、かつての記憶がまじまじと蘇るような、絶妙なシークエンス。
カフェの経営者は、文。
更紗は激しく動揺。が、あっちは気付いていないようだ。
その後どうしても気になって、度々一人で来店。それでもやはりあっちは気付いていないようだ。
ある夜仕事帰りの彼をこっそり尾行。彼は今恋人もいて、穏やかに静かに暮らしてる。
その姿を見て思わず言葉が漏れる。
「良かった…」
私が文の人生を壊したと思っていた。私だけ幸せに暮らしていたら…?
でも、そうじゃない。心からの、良かった。
またこの社会で彼も生きられるなら…。
しかし…。
恋人・亮が更紗の“異変”に気付く。
カフェに突然現れ、ある時は更紗の手首を痣が残るほど強く握る。
彼の実家に挨拶に行った時、親族から“悪い癖”を聞く…。
その亮がSNSに今現在の文の写真と経営しているカフェを投稿。
それまで控え目で従順な彼女でいたが、初めて反発。
カッとなった亮から激しい暴力。さらに無理矢理…。
亮は更紗に自分だけへの愛情を求めると共に、執拗に性欲を貪る。
それを見て思った。どっちがゲスなのだろう。
女の子を連れ帰り、指一本も触れず、居場所や自由を与えてくれた誘拐犯か。
“可哀想な女の子”の目で見て、過剰な愛情と性欲を求め、遂には暴力を振るう恋人か。
同居していたマンションを飛び出した更紗。
向かった先は、やはり“あそこ”しか無かった。
これじゃあ昔のまんま。同じ事の繰り返し。
成長し、新たな人生を踏み出したかと思ったのに、私はあの時から時が止まったまま。
それは分かっているのに、また彼の人生を壊してしまうかもしれないのに、それでもやはり…。
こんな私にまた手を差し伸べてくれた文。
どうやら更紗の事を気付いてはいたようだが、敢えて声を掛けなかった。何故なら、また更紗の迷惑になるかもしれないから。
かつての誘拐事件の被害者と加害者が時を経て再会した時…。
そこから何が始まるのか…?
更紗は文の隣の部屋で暮らし始める。
端から見れば奇妙な光景だ。異常な光景だ。
隣同士とは言え、かつての誘拐事件の被害者と加害者が“一緒に”暮らしている。
が、この平穏、温かさ、居ていい居場所は何なんだろう…。
この二人の再会の行く末は…?
かつてと同じなら、行く末も同じだろう。
更紗が同僚の娘を預かった時から、私の心にどんよりとした何かが落ちた。
一時は幸せでも、また…。
李相日とこの実力派キャストの組み合わせを見た時から、確信。
広瀬すずと言えばスポ根的な王道青春ムービーの奮闘女子が鉄板だが、名匠と組めばそれとは違う面を魅せる。何か暗い過去や重いものを抱え、その苦悩を体現。複雑な内面、抑えた感情、本格的な濃密な濡れ場も…。
ベストに挙げてもいいくらいの熱演。改めて広瀬すずという女優に魅せられ、圧倒され、頼もしさすら感じた。
今何をやっても巧い松坂桃李。彼もまた複雑な内面、抑えた感情、影を込めた演技…絶品! この繊細さ、危うさ、哀しみは、同世代で表せる事が出来るのは限られる。松坂桃李はその一人だ。
共演に横浜流星と聞いた時、力量不足と思った。彼の映画やドラマを全て見てる訳でもなく、その実力のほどをよく知らない。極真空手の世界一に輝いた経歴を持つ、ステレオタイプなイケメン…。
が、本作の彼には本当に驚いた!
前半は“理想的なイケメン恋人”。それが中盤~後半は、目付きも表情も演技も豹変。歪んだ愛情から暴力や狂気に堕ちていく。
その様に本当に怖くなった。ファン離れていくんじゃね?…と心配にすらなったほど。複雑な役柄だったら広瀬や松坂以上かも。
間違いなく本作は、彼にとって大飛躍の一本になるだろう。もしこれが認めなければ、日本映画界はどうかしている。
たった一本で印象を変えてしまう私もミーハーだが、それくらいの存在感!
ご贔屓多部ちゃんが出番が少なかったのは残念。
更紗の少女時代に、天才子役の白鳥玉季。その実力に圧倒された『ステップ』からまた成長。過去パートで非常に大きな役回りと印象を残す。
文の母親役で、内田也哉子。初登場シーンに驚いた。樹木希林と見間違えた。
6年ぶりの監督作となる李相日。
重厚で、複雑で、繊細で。
見る者の心を抉るほどのテーマを投げ付け、単純に割り切れない善悪や感情を揺さぶる。
厳しい演出で知られるも、そこから役者から名演を引き出す。
重たい題材で2時間半は身構えさせるが、見始めたらあっという間。終始緊張感を維持し、今にも壊れそうな感情やテーマを掬い取っていく。
話題の『パラサイト 半地下の家族』のカメラマン、ホン・ギョンピョによる映像美。
部屋や屋外に差す陽光、木漏れ日のような美しさ、街の夜の明暗…どれも魅せられるほど。
美しくあると同時に哀しみも滲み、それがまた本作にマッチ。
原摩利彦による音楽も胸に染み入る。
アパートを突き止め、郵便ポストを漁る亮。
それだけでもヤベー奴だが、我が耳を疑ったのは、「戻れば許してやる」。
自分のやってる事は理解し難いかもしれないが、何故許しを乞わなければならないのか…?
作品的に憎まれ役の亮だが、彼もまた哀れでもある。
更紗の心が自分に戻らないと知った時、自殺を図る。
歪んだ愛情かもしれないが、彼は彼で心から更紗を愛していたのだ。
救急車に乗せられる亮から思わぬ一言。
「もう、いいから」
更紗を解放し、亮の中の良心を垣間見た。
SNS社会の恐ろしさ。
瞬く間に拡散する。
週刊誌にあれこれ、野次馬の茶化し、悪質な嫌がらせ書き…。
さらに問題になっているのは、かつての変態ロリコン野郎がまた小さな女の子(同僚の娘)と一緒にいる事。
ヘンな奴がいた時だけ、世の中は誹謗中傷という正義で一致団結して叩く。
更紗はバイト先を辞職。(この時の店長の言葉に人格を見た)
でも何より更紗を苦しめたのは…
同僚の娘は警察に保護され、文は今回は逮捕されなかったものの、また私のせいで文の人生を壊してしまった。
文がどんな思いで人生を持ち直したか…。
あの事件の後、少年院を出てから実家へ。文は離れに住まわされ、両親の監視下に。
母親との関係が複雑。
ある時文は、母親が育ちの悪い苗木を抜くのを目撃する。
それを自分に当てはめ…。
「僕はお母さんにとって外れなの…?」
それに対し母は、
「外れを産んだ私が悪いの?」
更紗以上にこの世界に居場所が無い文。
恋人に知られ、責められる。
それに対し文が返した言葉。ただ聞けば酷い言葉だが、本心からじゃないだろう。
こんな自分との別れを決心させる為。彼女のこれからの出会いや幸せを思って。
だが一つ、本当の気持ちがあった。
自分は小さな女の子が好き。
衝撃の告白に聞こえた。
やはり彼は、ロリコンだったのか…?
いや、本当の意味なのだ。
ここで明かされる文の“人に知られたくない事を知られる事”。
文は大人になれない。
成長する上で身体…性的部分に成長が表れない病気。
男としてそれがどんなに恥ずかしく、哀しい事か。
好きな人が出来ても身体でそれを示す事が出来ない。
故に小さな女の子しか…。
更紗も性に対して抵抗意識が。少女時代のトラウマ、亮の過剰な性欲…。嫌で嫌で仕方なかった。
愛し合う男女が身体を求め合う行為はごく自然な事。
しかし、絶対的にそれが必要なんて事はない。
自分にとって本当に大切な存在だから…。
更紗だから。
自分に通じるものを感じたから。境遇、孤独、今尚抱えるもの…。
二人の関係を単に“愛”とは呼べない。
成人男性が未成年の少女を愛す。
誘拐された被害者が加害者を愛す。
それは偏見かもしれないし、正しい見方かもしれない。
何とも生きにくいこの世界。
二人の関係は、互いを受け入れ、心に寄り添ってくれる“居場所”。
それは愛という形より崇高で純粋で、穢れなき形に見えた。
あの湖で手を握ってくれたその日から。
だから今までこうして生きてこられた。
これからどんな社会の荒波に呑まれても、もうこの手を離さない。
生き続けていく限り、自分たちの居場所や自由に辿り着くまで。
流れ流れゆくあの月のように。
世間の目
自分もそうだけど、世間の目ってどうしても青年が少女を2ケ月も2人でいると少女を誘拐したロリコン男のレッテルを貼ってしまいますよね。反省すべき点ですが、色眼鏡は外せないと思います。でも、サラサが必要以上に文に接しなければ良かったとは思いますが、サラサにとっての文の存在がそうさせなかったのでしょうね。二人が静かに暮らせて行ける事を願うばかりです。
ぼくはハズレですか。。。
世間でいうロリコンではなく、身体的病気に加えて、
母親からの愛に飢えた青年の孤独を松坂桃李が
見事に演じていた。
横浜流星も嫌なヤツを演じていて、新たな一面を見た。
子役も上手かった!
終始重い空気の中150分の長さは感じなかった。
手と手を繋ぐだけの愛
李監督の映画は「怒り」を鑑賞したことがある。
その時もある刑事事件が巻き起こす人間ドラマが描かれていた。
そういえばその時も広瀬すずさんが出てたなぁ。
そして今作。
凄まじい没入感で主人公達が行き当たる困難にむずむずじりじりやるせない気持ちになっていた。
更紗と文の誘拐事件の真相を知らずに、洗脳だなんだと騒ぎ立てる世間に腹が立つものの、じゃあ自分が同じような報道を目にしたらやっぱり同じように「洗脳されてる」と思うだろうなともやもやした。
役者さんも皆さん素晴らしい演技で、特に松坂桃李さんが陰がどことなく見えるけど悪い人ではないそんな雰囲気を見事に体現されててハマり役。
特に今まで色んな人の色んな思いを黙って受け止めてきた文が真っ裸になって更紗に自分のコンプレックスを吐露するシーンは心が震えた。
SEXにコンプレックスがある2人。
手を繋ぐだけでも満たされる愛もあるんだろうなとそれも一つの愛の形かもなと思った。
結局のところ当人同士にしかわからない事情もあるのだから他人の事に首を突っ込んでおせっかいをしないほうがいいんだろうか?
2人の周囲の人はどうすれば良かったんだろうか?
どうにかしようと思うことがもう既に余計なことなんだろうか?
深く考えようとすればするほどモヤモヤする。
苦しみを抱えながら必死に生きる人間たち
めちゃくちゃいい作品でした。
登場人物がそれぞれ苦しみを抱えており、良い面も悪い面も抱えて必死に生きている様が印象的でした。見ていて胸がつらいシーンや自分と重ね合わせる部分も多かったです。
亮は一見ただのやばいやつでしたが、彼の持つ愛情は本物で彼なりにもがいていたんだろうなと思います。
亮にしろ谷さんにしろ報われない恋をしてしまった側の葛藤が痛いほど伝わってきました。
とちゅう更紗がバイト先の店長に自分のことを大切にしてくれる人の声を聞いて欲しいと言われるシーンがありましたが、理解しつつもそこに苦しんでいたのが文、更紗をはじめとする登場人物だったのかなと勝手に思いました。
パラサイトに続いて楽しめました!
あと松坂桃李さんはほんとにいい役者さんだと思います
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